久生十蘭のレビュー一覧
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冒頭の「生霊」のドメスティックな物語からは想像もできないオチがまるでコルタサルでいきなり度肝を抜かれる。精緻で端正な文体と小説という表現スタイルだけが引き起こしてくれるめくるめく感覚。
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素晴らしい。
収録されているどの短編も、驚くほどに生々しく、それでいて技巧に富んでいる。
なのに全く作為のようなものが感じられない。あまりに自然で、しかし緻密で、澄み切っているのにずっしり重たい。
最初の数編を読んで、そのあまりの出来栄えに私は舞い上がってしまった。これは凄い、これは素晴らしい、思...続きを読むPosted by ブクログ -
『湖畔』
イギリス留学中に決闘を行い顔に大きな傷を負った奥平。帰国後出会った少女・陶と結婚したが上手く結婚生活を営めない。陶の浮気を疑い追い出した奥平。発見された水死体。疑いをかけられた奥平の弁護を担当した高木。
『ハムレット』
祖父江と名乗る人物が連れている老人の秘密。祖父江が所属していた劇団が...続きを読むPosted by ブクログ -
「湖畔」「ハムレット」「玉取物語」「鈴木主水」「母子像」「奥の海」「呂宋の壺」
湖畔・ハムレット・母子像がよかった。
ほかは歴史小説のような形式で仮名遣いなどがかなり読みづらい。
玉取物語は文字どおりすぎて笑ったwPosted by ブクログ -
「フィクションとしての小説というものが、無から有を生ぜしめる一種の手品だとすれば、まさに久生十蘭の短編こそ、それだという気がする」と、解説で澁澤龍彦が指摘しているが、その通り。
私は作者が現れてくるような作品の方が好きな場合が多いけれど、久生十蘭のプロ技は素直に凄いと思う。
『無残やな』『死亡通知...続きを読むPosted by ブクログ