久生十蘭のレビュー一覧

  • パノラマニア十蘭

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    文庫で読む十蘭傑作選、好評第3弾。ジャンルは、パリ物、都会物、戦地物、風俗小説、時代小説、漂流記の10篇。全篇、お見事。

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    2011年12月12日
  • 久生十蘭短篇選

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    万華鏡のような後味は他の作家にはないかもしれない。
    アコーディオンの伴奏にのせて物悲しく奏でられるBGM。モノクロの八ミリ映画の哀愁。ラジオから流れる雑音混じりの音声。懐かしい昭和の香り。「鶴鍋」「無月物語」が特に印象的だった。

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    2011年04月13日
  • 久生十蘭短篇選

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    河出文庫より先に出てたのに(そして先に買ったのに)、こっちのほうを後から読んじゃった。全15篇。……こちらに採られているもののほうが、私は好きかな(甲乙つけがたいような気もするけれど)。巻末「解説」が丁寧。この人の著作は初出と最終稿ではかなり違うらしい。自分の書いたものに後からジクジク拘る私としては他人事ならぬ。そしてこの岩波の編纂は、様々考慮して、「あえて定本全集とは異なる底本による短編集を編むことにした」とのこと、「ヴァリアントを読み比べていただきたい」とは、素晴らしいではないか。さすがの岩波文庫!!

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    2011年07月19日
  • 久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集

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    堪能しました!明治35年生まれの著者の短編、あらゆる味わいの十編、「絢爛豪華な傑作群」というに相応しい。(著者について詳しいことはこの文庫の年譜などご参照ください)。昔、教養文庫か何かのを読んだだけと記憶していた(それでも「久生十蘭」という名を忘れられなかったのだ)けれど、どれも懐かしい(最初の『生霊』は鏡花的)。『葡萄蔓の束』(アナトール・フランスをも思い出す……)や『藤九郎の島』(芝居の俊寛などを想起)を強烈に記憶しているように感じられるからには、そもそもいったい何を読んだのだったか、そのへんの記憶さえ曖昧。既視感ならぬ鮮明な既読感……まさか。国書刊行会の全集は手に入れられそうにないから(

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    2011年07月19日
  • 久生十蘭集 ハムレット ―怪奇探偵小説傑作選3

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    重厚。ぐっとくるほどの何かが魅力です。恋愛を軸にした話が多かったけど、どれもセンスがあって好きでした。ストーリーというよりは、その世界観を楽しむ作品。ハムレットをゼミ発表で使う予定ですが、ストーリーは刺客、細かい描写はやはりハムレット。これだけの世界、知性が無くてはかけるはずが無い、と思えるほどものを感じます。

    読めばはまる人はどこまでもはまると思う。私もその一人。
    是非全集制覇をしたい。
    傑作だ・・・とただただ感じます。だけど、それは近年のミステリのようなトリックとかキャラクタ性とか、ストーリー性おいてではなく。

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    2009年10月04日
  • 湖畔 ハムレット 久生十蘭作品集

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    ハムレットが大好きです。
    美しい文章もさることながら、徐々にあかされてゆく過去に寂しげなハムレットの癖が切なさを誘って…
    この人は本当にあの”顎”捕物帳シリーズの人なのかしら、なんて思うような(って失礼ですけど)しっとり感が大好きです。

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    2009年10月04日
  • 湖畔 ハムレット 久生十蘭作品集

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    ちょっと訳あって探してみた。
    うをー!面白い!勢いで全集を揃えてしまいそう。
    この中ならやっぱり『母子像』だろうか。
    あぁもう私はきっとジュウラニアンだ。うん。むしろそう呼ばれたい!

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    2009年10月04日
  • 湖畔 ハムレット 久生十蘭作品集

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    すばらしい、久生十蘭の作品を読んだのは初めてなんだけど。もうひさおとパソコンで打つと、久生とすぐ出てくるくらいにハマってる。

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    2009年10月04日
  • 久生十蘭集 ハムレット ―怪奇探偵小説傑作選3

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    読み方がわかりにくいですが、「ひさおじゅうらん」と読むのが一般的らしい。
    同郷で先輩で、一等好きな作家。

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    2009年10月04日
  • 久生十蘭短篇選

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    古い時代の男性作家が読みたくて、読んだことのない久生十蘭(1902-57)を読んだ。

    1946〜19057年に発表された短篇15篇。

    初めは独特で苦手かもと思ったのに、読み続けるうちに十蘭ならではの文章と世界が心地良くなった。クセになるのも分かる。
    物語は最初と最後が好きだった。
    やっぱり古い文学は良い。

    初めて十蘭を読む私にとって丁寧な解説がありがたかった。非常に興味深かった。
    ちなみに十蘭のペンネームはシャルル・デュランから弄ったらしい。

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    2025年10月03日
  • 久生十蘭短篇選

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    冒頭『黄泉から』で一冊分の元は取れる。戦後すぐにこの内容で幻想文学を書きますか……。YA向けのアンソロジーで出逢って以来自分にとってずっと忘れえない作品。
    本屋で手に入りやすい作品から鑑みるに探偵小説作家として注目されることが多く、国語便覧などではあまり見かけないが、『黄泉から』『母子像』を読むと、久生十蘭とは戦争文学の書き手でもあることがわかる。
    岩波文庫では『湖畔』などが収録されたもう一冊が出ていて本書を補完する。または講談社文芸文庫の短編集ともかぶりが少ない(母子像だけかな)ため、併せて読んで欲しいやつだ。

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    2025年08月15日
  • 久生十蘭短篇選

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    短編集。
    戦後の作品のみで、すごく難しい文体ではないはずだが、ぼーっと読むと置いていかれる。
    いまいち内容が理解できていないものもあるので再読したい。
    黄泉から、予言、母子像、黒い手帖が面白かった。

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    2025年07月09日
  • 墓地展望亭・ハムレット 他六篇

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    短編小説の名手による作品集。冒頭はショートショー傑作選とかに入りそうな作品だ。
    女スリ一代記、他人の女になりすます話、王妃とのロマンスなどジャンルが豊富。表題作の『ハムレット』も自分の予想とは全然違う話で印象に残る。
    個人的なお気に入りは『湖畔』。作者が推敲しまくってオリジナルとだいぶ違うとの事。異様な語り口と生死の解釈が分かれそうな内容といい個人的には傑作。

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    2025年07月01日
  • 墓地展望亭・ハムレット 他六篇

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    久生十蘭の短篇を沢山収録した本。
    どの作品にもなんとなく、生と死、虚実、といったニュアンスか漂っていて面白い。
    作者の久生十蘭は、なんと文学座に所属していた事もあるようで、舞台の演出などもやっていたそう。
    独白体の妙にリアルな台詞の書き方はそのせいなのかもしれない。
    著作権が切れている作家ながら、今読んでも新鮮味を感じる文章で面白い。
    この本のタイトルにもなっている『墓地展望亭』は、映画やドラマで観たいような、展開に富んだラブストーリーだった。
    引き続き色々と読んでみたい作家。

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    2024年09月07日
  • 久生十蘭短篇選

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    久生十蘭の短編集ですね。
    久生十蘭(1902ー1957)函館生まれ。小説家。
    十五篇の短篇が納められています。
    解説の川崎賢子さんは『久生十蘭は、文学の諸ジャンルを横断し、複数の文化のあいだを越境し、おびただしい書物を批評的に引用し再編しつつ、戦時下・占領下の困難な現実にそこなわれることのない、珠玉のような作品を残した。』と語らされています。
    戦後期の文学を高めた名手と言えます。
    人間味あふれる、深みのある作品は読みごたえがあり、感慨深いですね。

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    2024年04月07日
  • 久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集

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     収録作品の初出は1940(昭和15)年から1956(昭和31)年。
     実に巧緻な久生十蘭の短編小説集。一作一作が異なる方向を向きながら、完成度が高い。語彙が豊かなので分かりにくい熟語も出てくるけれども、物語色の強い短編小説を究めたい人なら読んでみるべき作家である。
     しばしばガルシア・マルケスみたいに物語が奔走する感じで、本書中では「美国横断鉄路」が、残虐なリンチの場面が淡々と描かれていて強烈だった。
     久生十蘭を読むことは物語を読むことの大きな楽しみをもたらす。ただしそこはどこか閉鎖的な空間のようでもある。あまりにも技巧的でカメレオン的であるので、個々の作品は「閉じて」いて、外部を寄せ付け

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    2023年04月25日
  • 魔都

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     1937(昭和12)年—1938(昭和13)年の作。
     久生十蘭の比較的初期の頃の、長編小説である。殺人事件の謎を追いかける点でミステリと言えるが、いわゆる本格推理小説の類とは全く違う。
     何しろ、一作ごとに文体も手法もがらっと変えてしまう十蘭は、ピカソもストラヴィンスキーも目じゃないほどの「カメレオン」作家だ。本作では江戸の落語家のような、諧謔を交えた非常に闊達な口調で地の文が語られ、エンタメ小説としてぴちぴちとした生きの良い全体を形作っている。短時間の内に目まぐるしく事件は発展し、二転三転四転五転とどんでん返しが畳みかけられる。ドタバタコメディのようで、ふつうに面白いエンタメ小説だ。さす

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    2022年07月13日
  • 十蘭レトリカ

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    ネタバレ

    初めての久生十蘭。短〜中編集。
    パリに留学中の貧乏学生お嬢さんが振袖でカジノに乗り込み一攫千金を狙ってすってんてんになる「モンテカルロの下着」目当てで買ったけど、他も全部滅法面白い。
    小説がうまい。
    良くも悪くも肝の座った/意地を通す人間がたくさん登場するのが収録作の共通点かな。読後、なんとなく爽快。

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    2022年03月05日
  • 十蘭錬金術

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     初出は1927(昭和2)年から1954(昭和29)年。
     数冊出ていたらしい河出文庫の久生十蘭短編集シリーズ、明示されていないが、一応各巻に編集テーマがあったのかもしれない。本書は事実に基づいて書かれた小説か、あるいは事実っぽく書かれた小説が中心ということなのだろうか。
     後者の「事実っぽい」作品、事実と見分けがつかないほど巧みに書かれているし、相変わらず隙の無い文体・構成で、迫真の重さがある。語彙の豊富さは言うまでもなく、実に多様な領域に渡る博識も相当なもの。1編の短い小説を書くに当たってもすこぶる周到な資料収集を心がけた作家であったのかもしれない。
     がっちりと堅牢で意味内容が濃密な十蘭

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    2022年01月03日
  • 昆虫図

    ネタバレ 購入済み

    「隣人が妻を殺して隠した」という結論を示すために、虫を描写して導くのが、心理的効果がよく発揮されて、すごくイヤな感じがした(誉め言葉)。

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    2022年01月02日