久生十蘭のレビュー一覧

  • 久生十蘭短篇選
    河出文庫より先に出てたのに(そして先に買ったのに)、こっちのほうを後から読んじゃった。全15篇。……こちらに採られているもののほうが、私は好きかな(甲乙つけがたいような気もするけれど)。巻末「解説」が丁寧。この人の著作は初出と最終稿ではかなり違うらしい。自分の書いたものに後からジクジク拘る私としては...続きを読む
  • 久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集
    堪能しました!明治35年生まれの著者の短編、あらゆる味わいの十編、「絢爛豪華な傑作群」というに相応しい。(著者について詳しいことはこの文庫の年譜などご参照ください)。昔、教養文庫か何かのを読んだだけと記憶していた(それでも「久生十蘭」という名を忘れられなかったのだ)けれど、どれも懐かしい(最初の『生...続きを読む
  • 久生十蘭集 ハムレット ―怪奇探偵小説傑作選3
    重厚。ぐっとくるほどの何かが魅力です。恋愛を軸にした話が多かったけど、どれもセンスがあって好きでした。ストーリーというよりは、その世界観を楽しむ作品。ハムレットをゼミ発表で使う予定ですが、ストーリーは刺客、細かい描写はやはりハムレット。これだけの世界、知性が無くてはかけるはずが無い、と思えるほどもの...続きを読む
  • 湖畔 ハムレット 久生十蘭作品集
    ハムレットが大好きです。
    美しい文章もさることながら、徐々にあかされてゆく過去に寂しげなハムレットの癖が切なさを誘って…
    この人は本当にあの”顎”捕物帳シリーズの人なのかしら、なんて思うような(って失礼ですけど)しっとり感が大好きです。
  • 湖畔 ハムレット 久生十蘭作品集
    ちょっと訳あって探してみた。
    うをー!面白い!勢いで全集を揃えてしまいそう。
    この中ならやっぱり『母子像』だろうか。
    あぁもう私はきっとジュウラニアンだ。うん。むしろそう呼ばれたい!
  • 湖畔 ハムレット 久生十蘭作品集
    すばらしい、久生十蘭の作品を読んだのは初めてなんだけど。もうひさおとパソコンで打つと、久生とすぐ出てくるくらいにハマってる。
  • 久生十蘭集 ハムレット ―怪奇探偵小説傑作選3
    読み方がわかりにくいですが、「ひさおじゅうらん」と読むのが一般的らしい。
    同郷で先輩で、一等好きな作家。
  • 久生十蘭短篇選
    久生十蘭の短編集ですね。
    久生十蘭(1902ー1957)函館生まれ。小説家。
    十五篇の短篇が納められています。
    解説の川崎賢子さんは『久生十蘭は、文学の諸ジャンルを横断し、複数の文化のあいだを越境し、おびただしい書物を批評的に引用し再編しつつ、戦時下・占領下の困難な現実にそこなわれることのない、珠玉...続きを読む
  • 久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集
     収録作品の初出は1940(昭和15)年から1956(昭和31)年。
     実に巧緻な久生十蘭の短編小説集。一作一作が異なる方向を向きながら、完成度が高い。語彙が豊かなので分かりにくい熟語も出てくるけれども、物語色の強い短編小説を究めたい人なら読んでみるべき作家である。
     しばしばガルシア・マルケスみた...続きを読む
  • 魔都
     1937(昭和12)年—1938(昭和13)年の作。
     久生十蘭の比較的初期の頃の、長編小説である。殺人事件の謎を追いかける点でミステリと言えるが、いわゆる本格推理小説の類とは全く違う。
     何しろ、一作ごとに文体も手法もがらっと変えてしまう十蘭は、ピカソもストラヴィンスキーも目じゃないほどの「カメ...続きを読む
  • 十蘭レトリカ
    初めての久生十蘭。短〜中編集。
    パリに留学中の貧乏学生お嬢さんが振袖でカジノに乗り込み一攫千金を狙ってすってんてんになる「モンテカルロの下着」目当てで買ったけど、他も全部滅法面白い。
    小説がうまい。
    良くも悪くも肝の座った/意地を通す人間がたくさん登場するのが収録作の共通点かな。読後、なんとなく爽快...続きを読む
  • 十蘭錬金術
     初出は1927(昭和2)年から1954(昭和29)年。
     数冊出ていたらしい河出文庫の久生十蘭短編集シリーズ、明示されていないが、一応各巻に編集テーマがあったのかもしれない。本書は事実に基づいて書かれた小説か、あるいは事実っぽく書かれた小説が中心ということなのだろうか。
     後者の「事実っぽい」作品...続きを読む
  • 昆虫図
    「隣人が妻を殺して隠した」という結論を示すために、虫を描写して導くのが、心理的効果がよく発揮されて、すごくイヤな感じがした(誉め言葉)。
  • 十蘭レトリカ
    「胃下垂症と鯨」「モンテカルロの下着」「ブゥレ=シャノアヌ事件」「フランス感れたり」「心理の谷」「三界万霊塔」「花賊魚」「亜墨利加討」の全8作品。お試し感覚で読んだ久生十蘭の一冊目が、本当にこれで良かったのだろうか。決して読みやすくはないが、どれも癖になる味わい。とくに難航路の河川を遡る「花賊魚」は...続きを読む
  • 十蘭レトリカ
     再び久生十蘭の短編集、今度は河出文庫で数冊に渡って出版されたセレクション。
     終戦前の作品が8編収められている。本巻の最初の2編は1927(昭和2)年、1938(昭和13)年に発表されたものだが、あまり良くなかった。あれ? こんなものかな?と思ったが、楽しいユーモア小説「フランス感れたり」(194...続きを読む
  • 久生十蘭短篇選
     久生十蘭の2冊目。1編を除いて戦後、1946年から1957年に発表されたものが収められている。1957年は十蘭が55歳で亡くなった年であり、この付近は晩年の作と言うことになる。
     先に読んだ同じ岩波文庫の短編集『墓地展望亭・ハムレット』と同様に、非常に凝縮された見事な表現が目を惹くが、物語の構成も...続きを読む
  • 魔都
    この作品は、フォローしている方のレビューから、知ることができました。ありがとうございます。

    一時期、「新本格もの」ばかり、読み耽っていた頃がありまして、私の中で探偵推理小説といえば、それらのようなものだとイメージしてしまう傾向があります。ただ、あまりに読み過ぎて食傷気味になって、今では海外ものや、...続きを読む
  • 十蘭万華鏡
    ――

     恐るるなかれ、恐るるなかれ。

     物語は境界に生まれる、お化けみたいなものかもしれない。

     日常との境界。
     混沌との境界。



     多面体作家、久生十蘭の短編集としては王道に感じるものが揃っている。その分、流動的な文体や論理展開、緻密な背景設定を楽しむには丁度良いかもしれません。
     お...続きを読む
  • 魔都
    ――

     いやー驚いた。
     怪奇系ミステリかと思って読み始めたので、びっくり。
     げにおそろしきエンタメ小説である…! ん? 誤用か? まぁいいやまさか昭和初期の探偵小説で上質な入れ替わりコメディ読まされることになるとは思いもしなかったし驚きのあまり誤用くらいすらぁな。所謂十人十色の推理合戦、がこう...続きを読む
  • 魔都
    昭和9年の大晦日、東京。新聞記者の古市加十は顔なじみの女に誘われたバーで安南国の皇帝と知り合う。連れられるまま皇帝の愛人・松谷鶴子の住まう有明荘を訪ねたのが運の尽き、加十は思いもよらぬ大事件に巻き込まれ、皇帝の影武者をやることに。松谷鶴子の他殺疑惑、公園の噴水の鶴が歌う珍騒動、300カラットのダイヤ...続きを読む