河内孝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
社会の実態を報道し批評する立場にあるはずの新聞社の経営体質の古さ、
そのことによって生じている様々な問題について書かれた本。
発行部数と実売部数の差(残紙による水増し)
テレビ局の系列化による報道機関の寡占化
業界にとって都合の悪い事実は一切報道しない体質
等々
4章は毎日新聞の問題にフォーカスしすぎており、あまり必要ないかも
ここからはあくまでも私見であるが、
これらの問題の根底にあるのは、
記者クラブや再販制度といった既存新聞社の権益を守る制度であり、
政治の側も新聞業界の問題にはメスを入れてこれなかった現状が垣間見える。
(再販制度に関しては以前問題になったことがあるが、
各社が一斉に反発してお蔵入りになっているようである)
政治家にしてもこの問題を取り上げて、
ほぼ全ての新聞で一斉に批判されたらたまったもんではないから、
新聞業界の既得権益が維持されてきたのもある意味では当然であるとも言えるのだが。
でも、毎日新聞の取締役をやってる人が、こんな本を書くという現状を見ると、
かなり追い込まれた状況であるようなので、
今後大きな動きが起こってくるかもしれない。
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Posted by ブクログ
★先行き見えず★経営が苦しい毎日新聞の元常務によるだけあって、切実さが募る。金勘定を知らない記者出身者が経営トップに立ってもこれまでうまく回ったのは、それだけ甘いビジネスだったと指摘しているのだろう。紙がネットに置き換わり、広告も販売も収入が落ちる。じわじわと衰弱するしか方向性が感じられないのが産業として痛い。「大新聞」という業態は無理で、新聞はテーマごとに専門化するしかないのだろうか。毎日・中日・産経が手を組むべきとの著者の主張と対立(先取り)するかのように、折りしも朝日・読売・日経がネット事業で連携したのは、分析の正しさを示している。
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Posted by ブクログ
メディアとしての新聞が、かつての影響力を失って久しい。
今日では、テレビやインターネットなどの新興メディアが台頭したことで、新聞は「無くては困るもの」ではなくなった。しかし、この現状を新聞社は正確に把握できているのであろうか。元毎日新聞の常務取締役を務めた著者の答えは「No」である。
本書は、新聞の言論機能ではなく、あくまで「産業としての新聞の現在」(p.4)を論じることを目的としている。特に、新聞社の販売制度やテレビ局との関係を分析対象として、これらのビジネスモデルは既に「破綻」していると批判する。例えば、現在の新聞社は、その販売経費が四〇~五〇%を占める「相当なコスト高体質」(p.19)に陥っている。この背景には、部数の増加による広告収入の増益を以って、そのコストをカバーするというビジネスモデルがある。しかし、新興メディアが台頭する今日では、部数の増加は必ずしも広告収入の増益に繋がらなくなった。もはや、このビジネスモデルは「破綻」しており、それどころか様々な歪(「押し紙」問題など)を生じさせていると指摘する。
著者は、今日の新聞界の最大の問題は「過剰な部数至上主義と過当競争体質である」(p.165)と力説する。既にオールド・メディアとなった新聞にとって、言論機能とビジネスモデル-この両輪の改革は遅かれ早かれ不可避となることは明らかである。一般的には、前者の問題点が注目されがちであるが、後者の問題点を簡潔にまとめた一冊として、本書は勉強になった。
ただ、この破綻したビジネスモデルに代わる新しいビジネスモデルを構築することは並大抵のことではない。本書でも、著者の改革案が提示されているが、これはあまり説得的ではない。今後、新聞社はどのようにして生き残っていくのか、あるいは、生き残る必要はないのか・・・。この問題はまだまだ議論の余地がありそうである。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
世界的な経済危機、さらに少子高齢化や、インターネット社会の誕生によって、国民の新聞離れ・テレビ視聴の多様化という構造変化が急速に進んだ。
その結果、既存メディア業界の経営は、軒並み崖っぷちに立たされている。
この状況から日本のメディア産業は、どのようなビジネスモデルを見出し、再編成されてゆくのだろうか。
日本の未来予測にとって重要な指標となるアメリカの事例を参照しながら、メディア産業の未来を描く。
[ 目次 ]
プロローグ
第1章 アメリカ新聞界のカタストロフ(「新聞死亡ウォッチ」;「新聞社に最悪のニュース」 ほか)
第2章 化石のような日本メディア界(日本新聞界のいま;なぜ売れていない新聞を引き受けるのか ほか)
第3章 メディア・コングロマリットの光と影(流れなかった緊急放送;FCC(連邦通信委員会)の歴史 ほか)
第4章 “次に来る”メディア産業図(メディア・ホールディングスの誕生;挫折した竹中改革 ほか)
エピローグ
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
ジャーナリズム論ではなく、ビジネスとしての新聞社論。著者は06年まで毎日新聞社常務取締役(営業・総合メディア担当)を務めた河内孝氏。上場企業ではない新聞社の経営はブラックボックスになっており、経営側の人間からの著書というのは珍しい。
新聞産業は転換期を迎えている。部数減、広告収入の落ち込み、消費税、特殊指定の見直し。同書ではテレビと新聞社の関係、最近、裁判にもなっている「押し紙」(新聞社が販売店に必要以上の新聞を押し売りすること)など、新聞社の暗部に言及。これらは新聞では語られない部分である。
河内氏は諸悪の根源は今や常軌を逸した「発行部数至上主義」と断じる。過当競争、編集工程を含めた生産や流通面の非合理性を改善することが「生き残り」の最低条件で、再生策としては読売・朝日に対抗する第三極を作って、過当競争を正常化し、設備、人員の合理化を図るべきだ、と主張する。
同書が発行されたのは07年2月。その後、読売、朝日、それに日経の3社は同年10月、1)インターネット事業、2)販売網、3)災害時の協力体制を約束した「ANY連合」を発表。さらに、今秋には読売と朝日はさらに相互印刷、共同輸送などで基本合意した。著者は「勝ち組」3社の連合を想定して、提言を急いだのかもしれない。
昨今、新聞を購読する人は減った。たいていのニュースはインターネット、携帯電話で知ることができるからだ。しかし、新聞がなくなったら、当然、ネットや携帯で見ることはできないことも忘れてはいけない。
新聞社の経営には問題があるのは確かだ。しかし、新聞はなくなっていいものではない。表現の自由、多様な言論を守るためには、多くのメディアが切磋琢磨することが望ましい。新聞の危機は実はひとつの業界の危機ではなく、国民全体の危機である。もちろん、何よりも急がれるのは新聞社の経営改善である。