あらすじ
新聞という産業は今、様々な危機に直面している。止まらない読者の減少、低下し続ける広告収入、ITの包囲網、消費税アップ、特殊指定の見直し――そして何より、金科玉条としてきた「部数至上主義」すなわち泥沼の販売競争は、すでに限界を超えている。いったい新聞は大丈夫なのか。生き残る方策はあるのか。元大手紙幹部が徹底的に解き明かす、新聞が書かない新聞ビジネスの病理と、再生への処方箋。
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Posted by ブクログ
元 毎日新聞の役員。
新聞社と販売店の泥々な関係図、新聞社の今後について、自身の意見で書かれている。特に、読売と朝日に続く第三局を業務提携で作るべき、との持論は面白かった。
新聞社は瀬戸際の状態。消費税UPで破綻もありうる中、船頭は必死で安全な岸に船を付けようとしているが、船の中は花見酒の宴会が続く現状を描いている。
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筆者にはいろいろお世話になったのだが、お世辞抜きで、彼が毎日新聞を不本意な形でやめたことは毎日新聞のみならず新聞業界にとって大きな損失だ。
内容は、新聞ウォッチャーなら薄々知っていることが多いとはいえ、元三大紙の役員が具体的な数字を元にあげる真実性というのは類書にないもの。業界人必読の本である。
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著者は毎日新聞社で記者からスタートし、社長室室長、常務取締役を歴任した人物。新聞社経営が崖っぷちであることを認識しながら、新聞再生を模索。業界は違っても・・と明日はわが業界もを感じさせる本。
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2007年3月初版の古い本だが、なかなか刺激的だった。2013年の今、新聞社は大して変化していないように見える。しかし確実に「新聞社を見る目」は変わっており、傘下の放送事業と併せて斜陽産業と見做され、経営は展望を失っている。そして彼らの記事はますます実態からの乖離してしまい、批判や嘲笑を受けて、記者は希望を失いつつあるように見える。
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解決策は過激な感じがしましたが、内容としてはわかりやすいし、入門書としてはとてもいいのではないかと思います。新聞ってここまでやばいのね… 本当に変わるならいまだろうと思わされました。
Posted by ブクログ
著者は元毎日新聞の常務である。本書を読むと新聞社も綺麗事をいっても所詮ビジネスという事がわかる。決して公正ではないし欠点も多いのだが、民主主義のためにはなくてはならない。読者としては割り切って活用する事が求められるであろう。もちろん単なる内幕ものとしても十分に楽しめる本である。
Posted by ブクログ
何のかんのとまとまった時間が取れず読むのに結構時間がかかってしまいました。読み終わりました。
新聞、と言う情報媒体の現状と生き残り策の提示が具体的に説かれています。自分は父の仕事が新聞社と言う事もあり、同年代の人よりは新聞に関心があるほうだと思うのですが知らない事だらけでびっくりです。ただ確かに今の時代欲しい情報はネットですぐに検索でき、テレビをつければ最新ニュースは報道されている中で新聞が果たす役割とはなんだろうな、と思ったことはあります。
大学時代、アメリカの教授が講義の中で新聞を取る人は既にニュースはテレビ・ラジオでそのニュース概要を把握している。それでも新聞を読むのは活字として認識することによってそのニュースが事実であることを再確認するのだ、と言うようなことを言っていました。その時はああ、そうだな、テレビのニュースはまだ100%の信頼度を得ていないのかな、と納得したのですが。それから10年。時代は変わりました。今の時代、活字で読むニュースもテレビもネットも信頼度はさほど変わらないと思うのです。実際問題、自分の友人も新聞取っている人ってどれくらいいるのかな?正直自分も一人暮らしで新聞を取るか?と言われたら考えてしまいますし。(実際新聞を読む時間が無い。電車通勤なら違うのかもしれませんが車通勤だとちょっと無理。新聞読むために早起きするのは…)それでもやっぱり自分は新聞を取るとは思うのですが。(個人的にはやっぱりきちんと読まなくては、と思ってはいます。)自分で読みたい記事だけ選んで読むネットでのニュースだとどうしても偏りが出てしまうので。とは言えあまり世間の動向を知らないですごしていることばかりなのですが…
色々と企業間の関連など知らない事が多くてへえ、と感心したり、そうなんだ、と驚いたり。面白かったです。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
新聞という産業は今、様々な危機に直面している。
止まらない読者の減少、低下し続ける広告収入、ITの包囲網、消費税アップ、特殊指定の見直し-そして何より、金科玉条としてきた「部数至上主義」すなわち泥沼の販売競争は、すでに限界を超えている。
いったい新聞は大丈夫なのか。
生き残る方策はあるのか。
元大手紙幹部が徹底的に解き明かす、新聞が書かない新聞ビジネスの病理と、再生への処方箋。
[ 目次 ]
第1章 新聞の危機、その諸相(朝日と読売の「共闘宣言」 異常な販売コスト ほか)
第2章 部数至上主義の虚妄(新聞は「あちら側」 言論と企業活動のギャップ ほか)
第3章 新聞と放送、メディアの独占(相次いだメディアの「不祥事」 空文化した「放送政策の憲法」 ほか)
第4章 新聞の再生はあるのか(産経新聞の実験-夕刊廃止と低価格 携帯電話と読者の高齢・無職化 ほか)
第5章 IT社会と新聞の未来図(新聞版のロングテール ポータルサイト争いで完敗 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
社会の実態を報道し批評する立場にあるはずの新聞社の経営体質の古さ、
そのことによって生じている様々な問題について書かれた本。
発行部数と実売部数の差(残紙による水増し)
テレビ局の系列化による報道機関の寡占化
業界にとって都合の悪い事実は一切報道しない体質
等々
4章は毎日新聞の問題にフォーカスしすぎており、あまり必要ないかも
ここからはあくまでも私見であるが、
これらの問題の根底にあるのは、
記者クラブや再販制度といった既存新聞社の権益を守る制度であり、
政治の側も新聞業界の問題にはメスを入れてこれなかった現状が垣間見える。
(再販制度に関しては以前問題になったことがあるが、
各社が一斉に反発してお蔵入りになっているようである)
政治家にしてもこの問題を取り上げて、
ほぼ全ての新聞で一斉に批判されたらたまったもんではないから、
新聞業界の既得権益が維持されてきたのもある意味では当然であるとも言えるのだが。
でも、毎日新聞の取締役をやってる人が、こんな本を書くという現状を見ると、
かなり追い込まれた状況であるようなので、
今後大きな動きが起こってくるかもしれない。
Posted by ブクログ
新聞社はもう終わってるのだな、もう破綻してるのだな、ということがよくわかる。それは新聞社だけじゃない。出版社だって同じ…。印刷・紙媒体はいったいこれからどうなる、どうする。この業界に飛び込んだばかりで、これからも生きていこうと思っているわたしも一体どうする。
Posted by ブクログ
★先行き見えず★経営が苦しい毎日新聞の元常務によるだけあって、切実さが募る。金勘定を知らない記者出身者が経営トップに立ってもこれまでうまく回ったのは、それだけ甘いビジネスだったと指摘しているのだろう。紙がネットに置き換わり、広告も販売も収入が落ちる。じわじわと衰弱するしか方向性が感じられないのが産業として痛い。「大新聞」という業態は無理で、新聞はテーマごとに専門化するしかないのだろうか。毎日・中日・産経が手を組むべきとの著者の主張と対立(先取り)するかのように、折りしも朝日・読売・日経がネット事業で連携したのは、分析の正しさを示している。
Posted by ブクログ
元毎日新聞幹部が執筆しており、非常にリアリティがある業界事情が分かります。
新聞やテレビの業界が形成されてきた政治的背景、新聞業界のタブーとされてきた押し紙の真相、系列を超えた販売網再編などの提案など筆者の示唆・分析に富んだ内容になっています。
系列間での印刷工場統合、記事コンテンツの流用などは非常に斬新に感じました。
身近な新聞業界と通じて、業界再編やイノベーションの理解を深めることができる一冊です。
Posted by ブクログ
新聞社の押し紙問題は非常に根深い。また、押し紙に関わる新聞本社と販売店の間のやり取りもなかなかに複雑だ。販売店は新聞代収入を一旦本社に納め、そこから販売手数料と販売奨励金を受け取る。販売奨励金は基数により変動があり、戦略的に実質原価ゼロとなるような奨励金を出す場合もある。(ただし、2013年現在では、単純な基数制度は見直されているようだ)
本書は2007年の発刊であり、5年経過後の現在どうなっているのか、追跡確認が必要。
Posted by ブクログ
メディアとしての新聞が、かつての影響力を失って久しい。
今日では、テレビやインターネットなどの新興メディアが台頭したことで、新聞は「無くては困るもの」ではなくなった。しかし、この現状を新聞社は正確に把握できているのであろうか。元毎日新聞の常務取締役を務めた著者の答えは「No」である。
本書は、新聞の言論機能ではなく、あくまで「産業としての新聞の現在」(p.4)を論じることを目的としている。特に、新聞社の販売制度やテレビ局との関係を分析対象として、これらのビジネスモデルは既に「破綻」していると批判する。例えば、現在の新聞社は、その販売経費が四〇~五〇%を占める「相当なコスト高体質」(p.19)に陥っている。この背景には、部数の増加による広告収入の増益を以って、そのコストをカバーするというビジネスモデルがある。しかし、新興メディアが台頭する今日では、部数の増加は必ずしも広告収入の増益に繋がらなくなった。もはや、このビジネスモデルは「破綻」しており、それどころか様々な歪(「押し紙」問題など)を生じさせていると指摘する。
著者は、今日の新聞界の最大の問題は「過剰な部数至上主義と過当競争体質である」(p.165)と力説する。既にオールド・メディアとなった新聞にとって、言論機能とビジネスモデル-この両輪の改革は遅かれ早かれ不可避となることは明らかである。一般的には、前者の問題点が注目されがちであるが、後者の問題点を簡潔にまとめた一冊として、本書は勉強になった。
ただ、この破綻したビジネスモデルに代わる新しいビジネスモデルを構築することは並大抵のことではない。本書でも、著者の改革案が提示されているが、これはあまり説得的ではない。今後、新聞社はどのようにして生き残っていくのか、あるいは、生き残る必要はないのか・・・。この問題はまだまだ議論の余地がありそうである。
Posted by ブクログ
天下を誇るビジネスモデルが壊れようとしている。確かに考えてみればおかしい部分はたくさんある。
新聞社が今危機的状況にあるのは間違いない。読者への信頼を誇る分、経営も健全であってほしいものだ。
Posted by ブクログ
ジャーナリズム論ではなく、ビジネスとしての新聞社論。著者は06年まで毎日新聞社常務取締役(営業・総合メディア担当)を務めた河内孝氏。上場企業ではない新聞社の経営はブラックボックスになっており、経営側の人間からの著書というのは珍しい。
新聞産業は転換期を迎えている。部数減、広告収入の落ち込み、消費税、特殊指定の見直し。同書ではテレビと新聞社の関係、最近、裁判にもなっている「押し紙」(新聞社が販売店に必要以上の新聞を押し売りすること)など、新聞社の暗部に言及。これらは新聞では語られない部分である。
河内氏は諸悪の根源は今や常軌を逸した「発行部数至上主義」と断じる。過当競争、編集工程を含めた生産や流通面の非合理性を改善することが「生き残り」の最低条件で、再生策としては読売・朝日に対抗する第三極を作って、過当競争を正常化し、設備、人員の合理化を図るべきだ、と主張する。
同書が発行されたのは07年2月。その後、読売、朝日、それに日経の3社は同年10月、1)インターネット事業、2)販売網、3)災害時の協力体制を約束した「ANY連合」を発表。さらに、今秋には読売と朝日はさらに相互印刷、共同輸送などで基本合意した。著者は「勝ち組」3社の連合を想定して、提言を急いだのかもしれない。
昨今、新聞を購読する人は減った。たいていのニュースはインターネット、携帯電話で知ることができるからだ。しかし、新聞がなくなったら、当然、ネットや携帯で見ることはできないことも忘れてはいけない。
新聞社の経営には問題があるのは確かだ。しかし、新聞はなくなっていいものではない。表現の自由、多様な言論を守るためには、多くのメディアが切磋琢磨することが望ましい。新聞の危機は実はひとつの業界の危機ではなく、国民全体の危機である。もちろん、何よりも急がれるのは新聞社の経営改善である。
Posted by ブクログ
新聞社が抱える問題を網羅的に解説した本です。この業界をざっと把握するのに役立ちました。人口減を前に新聞(を印刷して配達する)業界はどう考えても縮小産業状態。あと数年で、新聞記者が原稿を書いて、読者はネットで読む時代がくるでしょう
その意味では新聞記者業界(執筆業界)はなくならないわけで、中間コストが減った分、広告費減少でもやっていけるような気がします。でもその場合、新聞記者の性格、位置付けも変わってるでしょう。
夕刊はもういらないな。
Posted by ブクログ
個別配送ができることが最大の強みというのは確かにと
思うが、テレビですら広告価値を認めにくくなっている
世の中で、どのように事業拡大の道筋を作っていくのだろう。
活字離れと言われて久しいが、別にそのために新聞を
読まなくなっているわけではなく、ネットでは無料でニュースを
読めるし、テレビでは元々無料で垂れ流している状況。
如何に買ってもらえる新聞を作るか?読み手の視点に
立って考え直す必要がある。
iPadブームにより、新聞のあり方はもう一度大きく変革すると
思われるが、個別配送を強みとするのであれば、本当に
その価値を活かす企画を考え出す必要があるでしょう。
夕刊はもちろん不要だけど、欲しい情報をタイムリーに
届けてくれるのであれば、ニーズはあるはず。
コストセービングしたいという気持ちが強まっている
世の中で、価格コンシャスな人の気持ちを動かす
サービスを提供されることを期待します。
今のままでは新聞社は絶対に生き残れないでしょう。
Posted by ブクログ
副題にある通り、新聞社のビジネスモデルが破綻していることが明らかにされている。
新聞社の現状は、販売店に多量の部数を押しつけ、その無駄な部分を新聞社自身が払っているマッチポンプ的状態。
無駄が無駄を呼び、それが新聞自体の質の低下につながっている。
毎日新聞の経営陣として在職した著者は、新聞業界への不安を期待を込めてこの著書を出版したのだということがよくわかる。
ダークなマスコミ業界の一端がうかがえる。
Posted by ブクログ
内容のよーやく
日本の新聞業界は衰退に向かっている。理由としては大きく二つある。一つ目に、新聞社は産業的な危機に陥っていることである。専売配達網・個別配達の維持のために新聞は総売上に対する販売経費率は45%を超えるなど異常な販売コストを抱えており、相当な高コスト体質となっている。現代は人口減、読まない層の増加、閲読時間の減少、インターネットの出現による広告費の減少などによりこの高コスト体質は維持できなくなってしまった。しかし新聞社の経営陣は環境の変化に対応できず、昔ながらの経営方法を取っており、抜本的な解決策を打ち出せないでいる。さらに近いうちに、実行されるだろう消費税率引き上げ、公正取引委員会による新聞の再販制度とそれに伴う特殊指定の見直しが新聞産業の危機に追い打ちをかけている。
二つ目に、読者から新聞が離れていこうとしていることである。新聞社はこれまで定価の根拠となる制作原価、人件費、流通経費などの経営情報を読者に開示してこなかった。また部数至上主義のため、悪質な拡張などの乱売が行われた。さらには、国民の知らないところで言論の寡占化が進む。具体的には、テレビがNHKと民放5系列化し、大新聞と民放キー局が一体化した。これでは民主主義的で多様な議論はできず、相互批判監視しメディアの質を高めていく機能は失われてしまった。つまり新聞が読者から離れたのである。
そしてこのような新聞業界を再生させるための著者の意見はこうである。まず、二大紙に対抗できる第三極を作る。次に生産、流通の全工程にある非効率・非合理性をなくす。その後、業界の正常化にある程度成功した後に産業体質の根本的な改革を行うというものだ。
これらを述べた後にIT社会との付き合い方を述べている。
かーんそう
多くの新聞産業に関する議論はこの本を元にしている。本書の社会的な影響は大きい。
政策提言は新聞業界全体の再生ではなく、結局は大新聞社のみの生き残りである気がする。言論の多様性を強調しているのだから大新聞社以外も生き残る道を模索すべきなのではないか。様々なデータから新聞という産業を捉えており、主張の一つ一つに説得力があった。説得力があるからこそ、新聞の生き残りはかなりきついもののように思えた。新聞社は経営から紙面内容から抜本的な改変を迫られていることには間違いない。経営陣は早く現実から目をそらさずに現実と向き合い、保守的な考えを捨てなければ、新聞に未来なんてない。新聞論に関するグラスルーツ的な本。
Posted by ブクログ
20071205
毎日新聞の元常務の書いた、新聞社のビジネスモデルに警鐘を鳴らす本。
販売店と押し紙の話は書いてある。
まあ、広告代理店絡みの黒い話はかかれてませんが。
ジャーナリズム批判やネットの話はあまり触れられていません。
記者上がりはヤバイとは書かれていますが。
Posted by ブクログ
放送・通信・コンテンツなどの変革に注目してきた人には目新しい内容は殆どない。コンテンツではなく流通販路のコスト等に殆ど注目してなかった既存メディアの問題点が改めて書かれている。業界の方が堂々と明かした点が敬意に値するのだと思います。年配層に説明する際に判りやすくて良い。
Posted by ブクログ
メディアパブ 朝日、読売に次ぐ第3極を毎日、中日、産経で。E-paperへ移行。共同通信を使用し、その資源を解説記事へ。
既存の企業は秩序破壊技術が本当の危機になるまで、何も手を施さない。本業に固執するあまり、新しいビジネスチャンスを失う
新聞社 破綻したビジネスモデル」で、崩壊する新聞報道に、公的機関のプレス発表に根ざした報道は通信社に任せて、調査報道などに注力すべし