ジッドのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ソ連については教科書以上の予備知識はあまりなかったので、当時フランスでソ連の信奉者が知識人の中にも多くいたのには驚いた。あとがきにもあるように、「歴史が証明した」後に私は生まれたから。
旅行記と聞いて想像した内容とは違って、ほぼソ連への批判文だった。最初こそはソ連への希望的観測を捨てきれていないようだったけれど。
全体として真実を見つめ誠実であろうとするジッドの姿勢にはとても好感が持てた。ジッドがソ連を訪れたのは66歳だったという。作家としても成熟した年齢になっても、自分の想像と現実が違ったときには過ちを認められる柔軟さや誠実さを持ち続けていることに尊敬。
現代でも全体主義的な脅威はいまだ存 -
Posted by ブクログ
信仰と幸福の対立の物語。本当に徹底して信仰を実践すると救われるものも救われなくなってしまう、だから歴代の宗教は愛や慈悲というものを超越的なものに対置したのだ、というような説明を聞いたことがあるが、まんまそれを描いたようなストーリー。真の信仰と比べたら、幸福は彼岸のものではなく地上のものであるということを思い出させられる。けれども、悲痛な結末の印象は薄く、それよりも全編を貫く清廉さの方が強く残った。情景、心情、ストーリーのすべてがあまりにも清廉。この極端に汚らわしさを排除し美へと偏った小説を読んでいると、宗教というのは人間の美しいものを美しいと感じてしまう感覚のもとに道徳と幸福の妥結を図ったもの
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Posted by ブクログ
高校時代に「狭き門」を読んで激しく感動した。今でも読書体験としては最高のものの1つだ。そのあと「田園交響楽」を読んだが面白くなかったのでジッドはこれだけしか読んでなかった。それを30年たった今、ふとこれを読んだ。良いと思った。高校時代に「田園…」のかわりにこれを読んでいたら僕の何かが違っていたかもしれない、と思った。話自体はわりと淡々としているかもしれないが、趣味というか波長が特別に僕に合っているような気がした。風景描写のきれいさ。最初は愛なく結婚した妻だったが、その美しさにひかれるようになる。ロマンチックな時間。小説としてのバランスも良いと思った。
主人公が崩落していくさまは、特に外的な -
Posted by ブクログ
隣の芝生は青く見える。それは国同士でも同じ。フランス出身の著者が、共産主義のソヴィエト連邦に憧れるのは自然だったと思う。ソ連の対外国へ向けてのプロバガンダがうまかったということもあるし、そもそも人間には、ないものねだりなところがある。
著者がすごいのは、自分の意見を変える柔軟性があったことだと思う。最初は憧れと幻想からソ連を賞賛していたが、現場を目にして疑問を持ち、失望する。共産主義の痩せた市民と私腹を肥やす特権階級の人間とのギャップ。補充されない品物棚。質の悪い製品しか選択肢のない暮らし。一律化された思想。相互監視で誰も信用できない社会。もし自分がここで生活することになったらと思うと、ゾッ