ジッドのレビュー一覧

  • ソヴィエト旅行記

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    ネタバレ

    ジッドの真心からの叫びが悲しい。
    ユートピアができるはずだったのに何でこうなってしまった?と嘆く。
    本当にジッドのようなただ純粋に平等な社会が来ることを信じてた人達を騙したニセ予言者や独裁者は罪深いと思う。ニセ予言者について哲学者のカール・ポパーが『推測と反駁』で結構強めの言葉でこのように批判してる。

    丸ごと全体がすっかり善なる社会といった遥けき理想を志し、この理想のために働くことによって間接的にこれらの目的を実現しようとしてはならない。この理想の心をそそる未来図に自分は支えられているのだと深く感じるにせよ、自分はこの理想の実現のために働く義務があるのだからとか、この理想の美しさに他の人々の

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    2025年04月20日
  • ソヴィエト旅行記

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    1930年代のフランス文学界と共産主義や革命との関係の史料として手に取ったが、心に残る言葉にたくさん出会えたのは思いがけない喜び。

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    2024年05月22日
  • 狭き門

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    ヒロインの言動の理由が最後明らかになったとき、とても胸をしめつけられました。清純な信仰を最期まで貫いた姿勢はとても印象に残りました。

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    2022年02月02日
  • 狭き門

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    すごかった。
    とにかくオモシロかったけど、なにがなんだけ全然わからない。
    いや、分かるんだけど、納得はいかない。
    でもとにかく、おもしれえ。

    若い男女がいて、プラトニックに愛し合っていて、
    両思いなんだけど、なぜだか女の方が現実的にいろいろな意味で愛を受け入れない。
    「それだめなの。許されない」
    みたいな。それがなんでだか、主人公の男も分からないけど、こっちも皆目分からない。
    分からないんだけど、「それがなぜか」という方向ではなくて、
    「で、ふたりはどうなっていくか」ということのみに爆走していく物語。

    雑に楽しんで読んでいく分には、そのあたりが「狭き門」なのか、
    実は愚者たる自分には明確に

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    2021年02月28日
  • ソヴィエト旅行記

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    内容についての良さは置いといて、訳者による前書きやあとがき、解説の丁寧さと熱意のすごさたるや…ジッドに込められた想い、前訳者に対する尊敬の念などを読んで、文庫と厚さにしては1200円ほどと高さを感じたが、これはそれ以上の価値がある。ソ連をより知るための教科書でもあるがそれ以上に現代人には必読書と感じる。読んで本当によかった。

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    2021年01月25日
  • 背徳者

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    ジッドに石川淳の翻訳という取り合わせに惹かれて読み始めました。20歳前後にジッドにはまった時期があったのですが、狭き門と本書がきっかけでしたね。

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    2013年01月06日
  • 法王庁の抜け穴

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    ジッドの小説は高校生の頃に『狭き門』『地の糧』『背徳者』などを読み、何となく卒業。何十年振りかに手に取ったのが本書『法王庁の抜け穴』だが、こんなにも面白い小説だったのかと驚いた次第。

     各章は次のとおりだが、第四の書を除き、その章で主に活躍(?)する登場人物の名がタイトルとなっている。
     第一の書 アンティム・アルマン=デュボア
     第二の書 ジュリウス・ド・バラリウル
     第三の書 アメデ・フルリッソワール
     第四の書 百足組
     第五の書 ラフカディオ

     科学至上主義のフリーメーソン会員だったが、ある奇蹟により不自由な体が恢復し回心したアンティル、その義弟でアカデミー入りを望む凡庸な作家ジュ

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    2024年05月29日
  • 狭き門

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    ネタバレ

    十数年前に読んだときには、信仰心ゆえに恋へ踏み出さないアリサのお話しだと思っていたが、解説にある本当は信仰心など特になかったのではないか、という点を意識してみるとまた違った読み方ができた。

    また、以前読んだときはジェロームとの結婚を恐れていることをアリサの臆病さや自己肯定感の低さと捉えてしまっていたが、もっとストレートに読んでもいいのかなとも。"アセクシュアル"的な(知識が雑なのでここにそれが当てはまるかはわからない)そういう意味で。

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    2023年03月30日
  • 狭き門

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    ネタバレ

    フランスのノーベル賞作家アンドレ・ジッドによる小説。愛と信仰の相剋を描く、美しく悲痛なラブストーリー。

    愛も信仰も純粋すぎて、混ざり合うことができなかったというべきか。神に至る道は狭き門ゆえに二人では入れないということか。相思相愛なのに結ばれないもどかしさ。身を引いていくアリサの心情がつかめず、最後の日記まで、見えない真相にやきもきする。美しく終わったようにも見えるアリサの人生と信仰をどうとらえるか。アリサが求めた至高の愛とジュリエットがつかんだ現実的な幸福、どちらが正しいのか。。独身を貫くジェロームの姿は美しくも悲痛だ。非常に後を引く、心に残り、かつ考えさせられる名作。

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    2022年08月30日
  • ソヴィエト旅行記

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    ・これは面白い。歯に衣着せぬ鋭い意見。
    ・ソ連の欺瞞をジッドは見抜いていた。
    ・何度か読み直してみたい。

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    2022年05月18日
  • 法王庁の抜け穴

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    信じていたもの、頼らざるおえないものが一転する人々が絡み合う話。

    人物造形に滑稽さがあって、油断して読んでいたが、ある登場人物の行動からこれまた色々と考える話に転じる。
    作者の誤りなども含めて作品への姿勢の表れとする&話の中にも内包する技とは…なんか狡い。

    当時の史実も混じえたり、混じえて間違えたり…
    現代でも起きている事件や問題に絡むさまざまな立場の人が出てくる物語もあるので、当時はこんな感じだったのかな?という軽い感じでスラスラと読めてしまった。

    新訳のおかげだと思うのですが、「名作なんだよな」と構える必要もなく素直に物語に接することができたように感じ、この文庫の別の作品も読

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    2022年04月22日
  • 法王庁の抜け穴

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    2/3くらいまで、アルセーヌ・ルパンみたいで面白い!と思って読んでいた。
    残り1/3で、変わった。面白い、だけではなくて。

    ルパンの印象と被ったのは、ラフカディオの飄々としたところと、この光文社古典新訳の「あそび」ある訳が、ハヤカワ版のルパンの新訳(ルパンは自分を「わし」とは言わない!)によるイメージと合ったんだろうな。

    ラフカディオ、嫌いになれない。

    ジッドの本がもっと戻って(再販されて)くればいいなあ

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    2022年02月23日
  • 狭き門

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    愛と信仰の間で激しく葛藤する悲劇の物語。
    ヒロイン、アリサのジェロームへの愛の深さ故に距離を置くに至る心理は、自分が身を引くほうがジェロームの為になるという考えからだが、かなり曖昧な理由であり、やはり本質は信仰心ゆえの、あえて困難な道「狭き門」を選ぶことがその理由と思われる。それにしても死の床にあったアリサがジェロームに読まれることを承知で手記を残すことはジェロームを深く後悔させることになると考えるのが普通であり、そこはやはり自分のの愛の深さをジェロームにどうしても伝えたい欲求からくるものか。そう考えると愛故に身を引く慎ましさよりも自身の信仰心を貫くヒロインの身勝手さが周りを巻き込む悲劇に発展

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    2021年11月07日
  • 狭き門

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    愛する二人、ジェロームとアリサ
    しかし、妹に遠慮したり、遠距離になったりで
    結局恋が実らず、、

    手紙のやりとりで話が進んでいく構成
    アリサの信仰心がゆえに、自分の内心の美徳を重視し、二人が一緒になれなかったということなのかと思えたけど、
    もしかしたら、ただ単純に好機を逸したということかもしれない

    恋だ愛だは、好機が過ぎたら潔く諦めるべきという教訓的に読むのもありではないでしょうか。

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    2021年03月24日
  • ソヴィエト旅行記

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    ソ連崩壊前、共産主義にはそれなりに興味があった。その後歴史が証明したとおり、社会主義、共産主義は、たぶん人類の脳というOSに合わなかったんだろう。
    「あっ、合ってないなあ」、と気が付き出した時の人類がどういう非喜劇を演じたか、壮大な社会実験を行ったソ連の内情を垣間見ることが出来て、非常に面白かった。
    ドグマがなんであれ、批判を許容出来ない社会には活力も進歩も生まれないのね。

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    2021年02月01日
  • ソヴィエト旅行記

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    いい本でした。単なるソ連の批判ではなく哲学としても非常に奥深い本となっています。作者の批判が非常に理論づけされていて良かった。

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    2020年07月22日
  • 背徳者

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    アンドレ・ジッドの自伝的要素を持つ物語(レシ)。
    謹厳で学問に誠実に打ち込んでいた古典学者が、結婚後に大病を患いそして復活を遂げるとすっかりと道徳的・性的に「背徳者」になっていたという話です。
    言ってみれば身もフタもないか・・・。(笑)

    新婚旅行中の本人の病気や妻の病気療養で辿るヨーロッパや北アフリカの国々の描写は、いい加減に安静にしてないとだめだろ!という突っ込みの反面、様々な旅愁が醸し出されていてとても良かったです。
    また、中盤では実は本人が大農園の領主だったということで、お屋敷や農村や森林の風景が随所に散りばめられていて、これもある意味、牧歌的な雰囲気があって良かったですね。
    この物語

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    2020年06月21日
  • ソヴィエト旅行記

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    ソ連については教科書以上の予備知識はあまりなかったので、当時フランスでソ連の信奉者が知識人の中にも多くいたのには驚いた。あとがきにもあるように、「歴史が証明した」後に私は生まれたから。
    旅行記と聞いて想像した内容とは違って、ほぼソ連への批判文だった。最初こそはソ連への希望的観測を捨てきれていないようだったけれど。
    全体として真実を見つめ誠実であろうとするジッドの姿勢にはとても好感が持てた。ジッドがソ連を訪れたのは66歳だったという。作家としても成熟した年齢になっても、自分の想像と現実が違ったときには過ちを認められる柔軟さや誠実さを持ち続けていることに尊敬。

    現代でも全体主義的な脅威はいまだ存

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    2020年01月15日
  • ソヴィエト旅行記

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    ネタバレ

    1936年3~6月にジッドがソヴィエトを旅行し、
    考えたこと、感じたことが書かれた本。

    ジッドはソヴィエトに希望を見出していたが、
    実際に訪れてみると、理想とかけ離れた現実が
    そこにはあった。

    当時のフランス左派知識人からソ連は強く支持されて
    いたため、本書が出版されると、左翼から猛烈な批判を
    浴びることになる。当時のヨーロッパでは、私たちが
    考えるよりも、共産党に共鳴する人が多かったそう。

    この時代の空気を感じることができた一冊でした。

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    2019年06月21日
  • 狭き門

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    信仰と幸福の対立の物語。本当に徹底して信仰を実践すると救われるものも救われなくなってしまう、だから歴代の宗教は愛や慈悲というものを超越的なものに対置したのだ、というような説明を聞いたことがあるが、まんまそれを描いたようなストーリー。真の信仰と比べたら、幸福は彼岸のものではなく地上のものであるということを思い出させられる。けれども、悲痛な結末の印象は薄く、それよりも全編を貫く清廉さの方が強く残った。情景、心情、ストーリーのすべてがあまりにも清廉。この極端に汚らわしさを排除し美へと偏った小説を読んでいると、宗教というのは人間の美しいものを美しいと感じてしまう感覚のもとに道徳と幸福の妥結を図ったもの

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    2018年04月03日