プリーモ・レーヴィのレビュー一覧

  • 改訂完全版 アウシュヴィッツは終わらない これが人間か

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    「これが人間か 」と問われたら、その通り人間である、としか言いようがない。例えば今のガザを見ても、そういう思いが強くなる。「被害者だと思っていたら加害者にもなってしまった」。アウシュヴィッツで非業の死を遂げた人たちの意味が薄められてしまったようで残念だ。まことに、「アウシュヴィッツは終わらない」。
    「人間の極限状態」などと大げさに構える必要はない。日常生活の場においても、「被害者だと思っていたら加害者にもなってしまった」という話はたくさんあるようだ。
    それほど、どんな人間でも抱えている闇(正と邪を合わせ持つこと)は底なしに深い。

    若干話が逸れるが、ハンナ・アレントによると、アウシュヴィッツの

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    2025年10月01日
  • 改訂完全版 アウシュヴィッツは終わらない これが人間か

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    事実は小説より奇なりというが、想像を絶する体験談
    証言として自分が見聞きしたものしか記述せず、そこに意見もほとんど載せなていない、淡々とした灰色の文章 終わりという名の希望にさえ光が見えなかった

    1973年、改訂版に収録された若い読者に答えるはラーゲルから28年後、収容所は世界各地にあった
    2024年 まだある

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    2024年07月02日
  • 改訂完全版 アウシュヴィッツは終わらない これが人間か

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    かれらは人間ではない。

    そこには一日に何万も
    の人間を焼く焼却炉が
    あった。

    三才の少女エミーリア
    が、

    好奇心に溢れ朗らかで
    見えっぱりで頭のよい
    少女が、

    一顧だにされずガス室
    に送られて、

    呆気なく殺されていく。

    活発な少女の姿が幼き
    日の娘の面影と重なり、
    胸が塞がりました。

    体験した者にしか綴れ
    ない貴重な記録書です。

    戦争がもたらす悲劇を
    心に深く留めて・・・。

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    2023年06月10日
  • 改訂完全版 アウシュヴィッツは終わらない これが人間か

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    アウシュビッツの記録として「夜と霧」という映画があり、それを観た後で呼んだので、内容が勝手に脳内で映像化されて、メンタルにきつかった。気軽が気持ちで読んじゃダメなやつだった。著者の方が自殺されたことを知って、さらに追い打ち…

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    2023年01月10日
  • 改訂完全版 アウシュヴィッツは終わらない これが人間か

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    ネタバレ

    人間の生死を他人が勝手に決めて殺していく状況に心の底からおぞましさを感じた。「選別」によって死を決定された者の描写があまりにも苦しかった。
    ろくに栄養もなく、体力がなく、ものを正常に考えられない状況で、自分の死を宣告される。著者は、あまりにも疲れ切っていて、絶望などという感情も感じなくなったと記述している。
    著者の言うように、彼らは逃げようとか、最後に反乱を起こして逃亡のチャンスをつくるだとか、そんな力はもうどこにも残っていなかったのだろう。
    自分の身近な者の生死が不明、またはすでに死んでしまっている人が多い状況で、生きようとする本能は極限まで弱まっていたに違いない。

    何らかの思想・信仰をも

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    2022年11月21日
  • 改訂完全版 アウシュヴィッツは終わらない これが人間か

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    タイトルの「これが人間か」が疑問の投げかけなのか、納得の言葉なのか。

    アウシュヴィッツ生還者(こういう表現が適切か不明だが)のレーヴィが感情を極力抑えて、一種の記録資料として後世のために書いた作品。思い出すだけで血が凍るという表現が文中にあるように、彼がどれだけの苦しみを味わいながら本書を完成させたのか、想像は到底できない。

    最後にある若者からの質問への回答に、彼の人間性がよく伺える。

    必読書。

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    2022年09月05日
  • 溺れるものと救われるもの

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    「これが人間か」から約40年を経て、改めてアウシュビッツでの体験を描くもの。本書刊行後、著者は一年ほどで自死を選ぶのですが、彼を苦しめたものの内実はいったいなんであったのでしょうか。

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    2022年02月06日
  • 改訂完全版 アウシュヴィッツは終わらない これが人間か

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    アウシュビッツを生き延び、イタリアに帰還した後、自らの体験を書き留めた著者による主著。
    完全版として翻訳された本書は、読む者の魂を揺さぶるに違いないです。

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    2022年02月06日
  • 改訂完全版 アウシュヴィッツは終わらない これが人間か

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    著者が強制収容所から生還した経験を書いたノンフィクション。過酷すぎる飢えや労働、伝染病の蔓延する劣悪な環境で、名前もアイデンティティも奪われ、人間が人間で無くなっていく様子がよくわかる。強制収容所は世界中にあれど、ナチスが他と違うのは抹殺を目的にしたところだそう。ひとつの民族を根絶やしにするなんて愚かな考えだが、殺す側も殺される側ももはや人間ではなかった。ただの昔話でなく、地続きな現代においても必読書だと思いました。

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    2021年09月07日
  • 改訂完全版 アウシュヴィッツは終わらない これが人間か

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    ここ数年の世界情勢の変化のなかで、全体主義がわたしのテーマの一つとなっていて、全体主義を考えるときの基本文献の一つともいえるのがプリーモ・レーヴィの「これが人間か」。

    読む必要は感じつつも、アウシュビッツの記録を読むのはつらい。数年前に頑張って、フランクルの「夜と霧」を読んだのだが、なかなかそれ以上に読み続けるのはしんどい感じがしていたのだが、ジュディス・バトラーのユダヤとイスラエル問題について論じた「分かれ道」でレーヴィについての言及があって、やっぱ読む必要があるのかな〜と思い購入。

    が、なかなか読み始めることができなかったのだが、ついに読んでみた。

    内容について、なにか書くことは難し

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    2021年05月17日
  • 溺れるものと救われるもの

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    著者がアウシュヴィッツ体験を晩年に再整理。灰色の領域という概念を提唱し、加害者と被害者、迫害者と犠牲者、善人と悪人などと簡単に区別できないことを訴えかける...。
    「大量虐殺は特に西洋世界、日本、そしてソビエト(ママ)では不可能だと思える」と述べているが、一度起こったことは二度三度と起こる可能性があることを誰が否定できようか...。後世に受け継ぐべき名著。

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    2020年08月17日
  • 溺れるものと救われるもの

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    プリーモ・レーヴィ(1919~1987年)は、ユダヤ系イタリア人の化学者・作家。
    レーヴィは、トリノに生まれ、第二次世界大戦中、ナチスに対するレジスタンス活動を行ったが、1943年12月にイタリア・アルプスの山中で捕らえられ、アウシュヴィッツ収容所に送られた。1945年1月にアウシュヴィッツが解放され、1947年に『これが人間か』 を発表して注目される。同作品は、アウシュヴィッツ収容所からの生還者が、自らの壮絶な体験を描いた記録として、オーストリアの精神科医V・フランクルの『夜と霧』(1946年)と並んで有名なものである。その後、様々な作品を出したが、1986年に『溺れるものと救われるもの』を

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    2020年07月23日
  • 改訂完全版 アウシュヴィッツは終わらない これが人間か

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    プリーモ・レーヴィ(1919~1987年)は、ユダヤ系イタリア人の化学者・作家。
    レーヴィは、トリノに生まれ、第二次世界大戦中、ナチスに対するレジスタンス活動を行ったが、1943年12月にイタリア・アルプスの山中で捕らえられ、アウシュヴィッツ収容所に送られた。1945年1月にアウシュヴィッツが解放され、1947年に『これが人間か』 を発表して注目される。1987年、自宅アパートの3階(日本式の4階)の階段の手すりを乗り越え、階下に飛び降りて死亡した。
    本作品は、アウシュヴィッツ収容所からの生還者が、自らの壮絶な体験を描いた記録として、オーストリアの精神科医V・フランクルの『夜と霧』(1946年

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    2020年05月07日
  • 改訂完全版 アウシュヴィッツは終わらない これが人間か

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    強制収容所での体験談を読むのはこれが初めてだと思う。一人の体験談として読んでやっと実感が湧いてきたというか、移送の段階を含めて収容されていた人たちが何を思っていたのかとかが今までは自分の想像力を超えていた。
    2011年にアウシュビッツ・ビルケナウ収容所を見てきたけど、あそこからは数キロ離れたところに入れられていた。というかあのアウシュビッツの収容所が管理していた収容所群というのがいっぱいあったとまず驚かされるのが最初に出てくる地図。
    それから人々が内面を破壊されていく過程。木靴や縦縞の服。囚人のヒエラルキー。食事。選別。いろんなことがぶっ飛んでいる。人類史の中で出てきたユダヤ人の絶滅という政策

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    2019年11月30日
  • 天使の蝶

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    SFでありながら非常に詩的で神話的で終始背中にぞくぞく来るものがあった。もうどこまでも私好み。以下激しくネタバレ。///シンプソン氏のNATCA社シリーズは、3DプリンターやVRの超すごい奴が出てきたりして、思わず私たちの「これから」に思いを馳せずにはいられない。にしても「検閲は鶏に」とか「測定される数値こそが美」とか痛快なまでの皮肉と「痛みこそ生の番人」というような真理が同居してるし、トレックで女優さんのハプニングとか細部に至るまでもう本当すごい。蜂の話とかも面白かったのに…辛いなぁ。何度でも読む。

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    2016年11月24日
  • 天使の蝶

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    ネタバレ

    今の時代を見ているようで
    非常に恐ろしいように思えます。
    と、言うかこれからの人間への警告も
    含まれているのでしょうか…

    彼は化学者でもありました。
    それゆえに、これらの未来の商品に関しては
    本当に洞察力がありました。
    そのうちの一部は出てきています。

    だけれどもその中には絶対に
    日の目を浴びてはいけないものもあります。
    表題作も然り、痛みを快感に変えるそれも…

    著者はどこかに心の闇があったのでしょうか
    最後は自殺してしまいます。
    貴重な方をなくしましたね。

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    2015年12月04日
  • 天使の蝶

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    化学者で作家のプリーモ レーヴィ短編集。科学者としての知識が微妙に醸成され、ブラックユーモアでクスリとしてしまう独特な世界観を持ったお話揃い*

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    2012年04月04日
  • 天使の蝶

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    イタリア作家の短編集。抜きん出た寓話性で人間や社会を抉り取る。が、あまりに滑稽で皮肉が効いている語り口はストーリーが排除されていて、読み手が物語に入って感動したり、考えさせられるという作風ではないので、最初は取っ付きにくかった。
    しかし、徐々にこの作家の作風に馴染むに連れて、その深みに引き込まれていく。読み終えた今となっては断言出来る。紛れもない傑作短編集。必読!

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    2010年05月01日
  • 天使の蝶

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    鶏が検閲をしたり、天使を作ろうとして鳥の化物ができてしまったり、創世記でヒトを作ろうとしているときの会議の様子やケンタウロスや車の性についての話、営業マン・シンプソン氏によって勧められる不思議な機械。。化学者でもあり、アウシュビッツを生き延びた著者によるものであるからなのか、科学的で自由な発想で書かれているのだが、どことなく皮肉めいている。あまり読んだことはないんだけど、星新一や渋澤龍彦のような感じもした(個人的に)。

    4,5話くらいあるシンプソン氏の機械の話は、本全体を読みすすめていくと楽しみになってくる。今度はどんな機械が出てくるのだろう・・・と。シンプソン氏が出てくるものでは「完全雇用

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    2009年10月04日
  • 天使の蝶

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    人類は天使になる途中のネオテニーである、という仮説のもと行われた残酷な人体実験をめぐる表題作ほか、ブラックユーモアに満ちた幻想SF短篇集。


    今の気分に合っていて一気に読んだ。シンプソン氏という営業マンが登場するシリーズが楽しい。藤子AでもFでもあるような、アシモフやフレドリック・ブラウンを思いだすような、漫画的でライトな読み味が懐かしい。
    シンプソン氏が売りつけてくる機械は、2025年から見るとハッとするほど正確に未来を予見している。ChatGPTそのものみたいな〈詩歌作成機〉、原子レベルから複製できる3Dコピー機〈ミメーシス〉、他人の思考と感情まで体感させてくれるVR装置〈トレック〉など

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    2025年11月27日