海軍善玉論と陸軍悪玉論という言葉を目にする。戦前の日本は陸軍が戦争への道を開き、海軍は止めにはいった。しかし止めきれずにあの戦争に突入した。果たして、事実だろうか?事実としたらどこまで事実なのだろう?
幕末から明治にかけ、全くゼロの状態から建軍が始まった帝国海軍。四方を海に囲まれ、海軍の本分を
...続きを読む発揮するには多額の予算が必要だったが、当時の国力では予算獲得は至難の業だった。特に1907年の帝国国防方針で、海軍の仮想敵国が米国と設定されてからは、さらに自らの組織としてのの本分を研究し、遂行するために多額の予算獲得を目指す、一官僚機構としては、至って健全な組織であった。
だが、予算獲得を至上業務に設定するあまり、政党政治崩壊後は陸軍や内閣に引きずられた。対米戦の決意という段階に至った時、事実上最終判断がゆだねられてしまった。対米戦が可能、とはとても答えられないが、不可能と答えると、過去の予算獲得の経緯や海軍の存在意義が問われかねない。あいまいな返答とならざるを得なかった。
悪玉善玉という理屈ではなく、単に一官僚機構としてストイックな姿勢。これが戦前海軍そして戦前日本の政府の姿だっただろう。