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Posted by ブクログ
海軍善玉論と陸軍悪玉論という言葉を目にする。戦前の日本は陸軍が戦争への道を開き、海軍は止めにはいった。しかし止めきれずにあの戦争に突入した。果たして、事実だろうか?事実としたらどこまで事実なのだろう?
幕末から明治にかけ、全くゼロの状態から建軍が始まった帝国海軍。四方を海に囲まれ、海軍の本分を発揮するには多額の予算が必要だったが、当時の国力では予算獲得は至難の業だった。特に1907年の帝国国防方針で、海軍の仮想敵国が米国と設定されてからは、さらに自らの組織としてのの本分を研究し、遂行するために多額の予算獲得を目指す、一官僚機構としては、至って健全な組織であった。
だが、予算獲得を至上業務に設定するあまり、政党政治崩壊後は陸軍や内閣に引きずられた。対米戦の決意という段階に至った時、事実上最終判断がゆだねられてしまった。対米戦が可能、とはとても答えられないが、不可能と答えると、過去の予算獲得の経緯や海軍の存在意義が問われかねない。あいまいな返答とならざるを得なかった。
悪玉善玉という理屈ではなく、単に一官僚機構としてストイックな姿勢。これが戦前海軍そして戦前日本の政府の姿だっただろう。
Posted by ブクログ
海軍は「善玉」だったのか?日本海軍の「戦争責任」を検証する。(2015年刊)
・序 章 海軍と政治
・第一章 創建時の海軍
・第二章 政党と海軍
・第三章 軍部の政治的台頭と海軍
・第四章 アジア・太平洋戦争と海軍
・終 章 近代日本における海軍の政治的役割
丸善で手にとった時に、面白いという予感がして購入したが、期待にたがわず面白い本であった。前著「海軍将校たちの太平洋戦争」よりインパクトがあった。
創設以降、敗戦までの海軍と政治の関わり方が判りやすく解説されており、既成概念を取り払ってくれた。
日露戦争以降の海軍拡充について、山本権兵衛の評価は現状維持が精一杯で、結果的に拡充を果たせなかったと低めである。対して、加藤友三郎を着実に拡充をおこなったと高く評価しているのが面白い。東郷平八郎、加藤寛治、伏見宮、海軍軍縮問題についても、通説とは異なる見方をしている。これらの評価が妥当かどうかは分からないが、先入観をとりはらい客観的に分析しようとする気持ちは伝わってくる。
本書を読むと、政治に関与しないとした海軍の無作為も、戦争が避けられなかった一因であることがわかる。本書は「善玉論」「悪玉論」を越えて、研究を進める今後の基礎となる一冊ではないだろうか。
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