山下祐介のレビュー一覧
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ネタバレ本書は、地方創生の必要性(人口減少と東京一極集中の是正)の必要性を真っ向から論じつつ、現在の政府の地方創生施策が目的(人口減少の抑制)を忘れ、手段(経済、稼ぐ)が目的化している状況を鋭く指摘している。
P64では、
「地方消滅は、二十万人程度の都市への集中へ。
そして地方創生の中心は「地方の新たな仕事づくり」に。
いずれも共通するのは、ひと(人口)の話をしながら、そこから外れて、カネ(経済、財政、産業)の話になっていることだ。」
と、増田氏と政府がいずれも、論点がずれていることを指摘している。
さらに、P80では、
「人口減少の①都市化要因説と②低経済要因説は相容れず、二律背反…1都市化 -
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「経済の原理」か「共生の原理」か
「選択と集中」か「多様性の共生」か
循環、持続、協動、自立
ちょっと読むのに疲れ、時間が掛かった。
そのため、最初の方は忘れたわ。
都合が悪くなったら社会学者だからと逃げ、
(学者の浅知恵と書いてる人もあったな(笑))
途中では、産まないから悪い。もっと産め。と読めるし。
家庭と言いながら、その辺の取り組みや突っこみは、ペラッペラだし。
お上と下僕が出てくるし、
いやいや。現実には制度もあり、そうなのかも知れないが、
地方分権論においては、そこに上下関係はないはずだ。
それを置いといて、それはないだろう。と。
それと、これが一番大きいのが、今の政 -
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歪んだ復興政策。歪んだ世論。まるで独り歩きするかのように、避難者帰還政策は押し進められていく。
千年に一度と言われた東日本大震災を発端とした福島第一原発事故から5年。未だに自分の家に帰還できない多くの人びとがいる。目に見えない放射能、廃炉への長い道のり、健康への影響すら定かではない。いくら住居区を中心に除染作業をしようとも、山林や恵みとなったはずの山菜は放射能により汚染されたままなのは事実である。福島第一原発から30㎞圏内の外の福島市近郊でも、山菜はおろか柿ですら食べることができない。そんな状況で、政府は避難者帰還政策を進めている。それが正しいのか否か誰も答えは出せないと思うが、状況が灰色を -
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「2040年までに全国の市町村の半数が消滅する」「すべての町は救えない」とセンセーショナルな増田レポートが世に出た。
その論理の根幹は「選択と集中」だ。まず、誰のための「選択と集中」なのか、また、他に目指すべき方法、価値観はないのか?
明治維新以降、日本が追い求めて来て行きついたもの。もう一度、日本社会は歴史的に培ってきた価値観とは?、まで掘り下げ、考え直さなくてはならないということが諄々と描かれていたような気がする。
小さいながらもそこには厳然として人々の生活がある。小さいながらも人間らしい生活がある農山村漁村。
そういう集落があって、また、大消費地の大都会がある。
著者の持論の二重登録の住 -
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人口減少⇒地方消滅⇒地方創生と新聞・マスコミを賑わしている。社会学者と政治行政学者の激論で、国家権力と地方政府、住民の関係性が炙り出されていた。
第1章 「国―自治体ー市民」の構造を問いなおす
1「地方創生」で自治体は困り果てる
2「震災復興」で何が起きているのか
3「地方創生」は地域への侵略である
第2章 いかにして地域政策は失敗するのかー原子力発電所事故から見えるもの
1国と地域はどのようにズレていくのか
2県と地域はどのようにズレていくのか
3市町村と地域はどのようにしてズレていくのか
第3章 地域にとって国家とは何か
1アシメントリー(非対称)としての権力
2国策の構造 -
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全国の自治体の約半数が、将来消滅する可能性がある―。
昨年5月に、そんな内容のレポートを発表して衝撃を与えた日本創成会議(増田寛也座長)。
増田さんはその後、「地方消滅 東京一極集中が招く人口急減」(中公新書)を著し、こちらも注目を集めました。
増田さんの主張は、たとえば、本来は東京へ向かうはずだった人口を地方中核都市でせき止める「人口ダム論」など、「選択と集中」を志向しているところにその特徴があります。
これに対し、「選択肢は多様だ」として反論しているのが本書です。
たとえば、現にいま生じている人口減少、少子高齢化を地域で工夫して乗り切る「人口減少適応戦略」。
バス路線を減らしてデマンド交通 -
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ネタバレ「選択と集中」の合理化は、依存する市民を増やすから決してコスト低下になるわけではない。地方切り捨てに待ったをかける社会論。
ただ、反論として、明確な対抗策を出しているわけでない。今までの灰色の世の中に白黒をつける危険性を説いているだけ。だから気に喰わない読者が多いと思う。でも興味深い記述もあるので一読の価値はある。
地方切り捨てという選択肢が現実味を帯びてきているのは、日本国民に「諦めモード」が出始めているからのようだ。
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p18 路線変更こそ
地方の人口減少問題が根本にある。その対応策を何もしてこなかったわけではない。効果が無い物ばかりだったのだ。今度の地方の「選択と -
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増田寛也氏編の『地方消滅』に対する考察本、といえばいいでしょうか。
『地方消滅』の中で納得できないところについて、なぜ納得できないのかを述べるとともに、著者にとって納得できる解を示した本です。
※ちなみに、納得できる部分も示されています。
『地方消滅』が「選択と集中」をキーワードとしていたのに対し、本書のキーワードは「循環と持続」。
「選択と集中」が、選ばれないものを切り捨てる考えなのに対し、「循環と持続」は、すべてを適切な形で残していこう、という考え。
また、「選択と集中」は、トップダウンで達成を目指すのに対し、「循環と持続」は、ボトムアップで達成を目指す。
それゆえに、「循環と持続」に -
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地域調査についてのHow toが述べられる本かと思いきや、もっと大きなテーマについての本だった。現代社会において国家と個人が剥き出しで向き合う構造になり、本来自然発生的に生まれ出たその中間項である「地域」が急激に衰退している、という問題提起だ。特に明治維新後の150年間、日本は”近代化”(すなわち”欧米化”)を続けてきた。国際社会に国家として向き合う中で、かつては国があるが故に地域が存続すると同時に、地域があるが故に国も存続していたという相互に補完しつつあった国と地域の関係が、国のための地域、という一方的な関係に成り下がってしまった。そしてそれが少子化という、集団として最も避けなければならない
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ネタバレよくも悪くもかなり尖った1冊。
政府・行政批判の側面が大きい。
読んでいて「確かにな」と思う点もあるが、それ以上に国批判が軒を連ねている。
読んでいて少々気に障る点もあるが、それは個々人の好みだろう。
個人的に学んだポイントは以下。
・離島や過疎地域のインフラコストだけ取り上げて中央にこい、というのは選択と集中というよりも排除
・学問は政治的になる。資金がないと研究ができないから。そのため国に乗っかる。
・地域の人口増加=正義、は負け土俵。ほとんどの自治体が負ける。
・地域振興のためにプレミアム商品券を配る。例えば5000円で6000円分。その差額の1000円は税金から来ている。要はプレミアム