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Posted by ブクログ
地域調査についてのHow toが述べられる本かと思いきや、もっと大きなテーマについての本だった。現代社会において国家と個人が剥き出しで向き合う構造になり、本来自然発生的に生まれ出たその中間項である「地域」が急激に衰退している、という問題提起だ。特に明治維新後の150年間、日本は”近代化”(すなわち”欧米化”)を続けてきた。国際社会に国家として向き合う中で、かつては国があるが故に地域が存続すると同時に、地域があるが故に国も存続していたという相互に補完しつつあった国と地域の関係が、国のための地域、という一方的な関係に成り下がってしまった。そしてそれが少子化という、集団として最も避けなければならない問題を抱え、集団として目的を失してしまう自己矛盾を抱えることになっている。少子化が続くと集団を維持できない。国も地域もそもそも人間集団を維持するためのまとまりなのに、そのまとまりこそが集団を破壊する要因となってしまっている。
私の感想としては、「個人」と「国家」の間にあるものが一括りに「地域」とまとめられていることにはやや違和感がある。その両者の間にあるものは、もっとグラデーションがあるものだろうし、「都道府県」「市町村」だけで区切られるものでもないだろうし、その多様なものを「地域」と単純に表現するのは十把一絡げでは?と。
とはいえ、「個人主義というものは、一見そこから縁遠くみえる国家ナショナリズムと非常に親しい関係にある。それどころか、個人主義はしばしば容易に国家ナショナリズムに転換する。最も個人主義的なインターネットの言説空間で、最も強烈な国家ナショナリズムが台頭しているのはそのため」(p294)だと述べる筆者の主張はまさにその通りだろう。この150年間、軽視され続けてきた「地域」に再び光を当てようとする大切な試みだ。
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