中島隆信のレビュー一覧
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世の中の実際の流れを体感してみないと、経済学なんて理解できないです。私も当然、大した勉強をしてこなかったので、全く身についておりません。なので、また一から勉強し直さねばと思います。
本書は「刑務所の経済学」という一見マイナーな話題のものかと思われますが、実は世の中のファクトを経済学的に分析する方法をわかりやすく理解させてくれます。
未だ社会に接する機会がない、経済学部生や商学部生、また大学時代に全く経済学を学んでこなかった人には、どういう風に世の中のファクトを分析していけばよいのか、そのためには経済学の知識が役に立つんだ、ということを気づかされる良書です。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
経済学は、「なんでもカネで考える」非人間的な学問なのか?
否。
これこそは、人間が人間らしく生きるために欲望をいちばんうまく活用する方法を見つけ出す、きわめて応用範囲の広い思考ツールなのである。
本書では、従来、経済学のテーマとしてはあまり取り上げられてこなかった、各種の「伝統文化」、「宗教活動」、さらには障害者などの「弱者」について、その奥に潜む合理性の仕組みを明らかにする。
具体的な「問題解決」に役立ち、多くの人が幸せになれる世の中を作る「道具としての経済学」入門書。
[ 目次 ]
第1章 経済学的思考のススメ(社会現象への感受性 モラルという価値判断に頼りすぎていないか -
Posted by ブクログ
イラストレーターの川口さんから戴いたこの本を読んだ。川口さんはこの本の挿絵を担当。
そうなんだよね、といろいろ思う。著者は慶応大学商学部教授。この辺もいい。経済学ど真ん中だったらけして考えない発想がある。私の知り合いにやはり慶応大学商学部の教授がいる。清家篤さんだ(先生と書くと本人に叱られるので、さんと書く)。この人もちょっと違うものの見方を得意としている。もしかしたらこの学部自体がそうなのかもしれない。けっこうお勧めなんだけどな。さて。
この本は伝統文化、宗教、弱者を経済という視点から照らし出す、という方法を通して、経済学という手法の効果を見せている。ちゃんと経済として表現できるというだけで -
Posted by ブクログ
確率加重関数 客観的な確率と主観的な確率の乖離
祈願=ダメ押し 不運を気にかける ご利益は客観確率の高い人に 品質概念なし
生存者バイアス 幸運をつかんだ人は周囲に知らせる
後知恵バイアス 成功後の後付け理論
認知的不調和 不調和が起きると考えを行動に合わせて解消
ナッジ(誘導) デフォルトオプション 法事や厄除け
ハロー効果 確率はどこでも同じだが
アンカリング 対価ではない 評価が難しい 目安を提示 おとり効果
サンクコスト 回収できないコスト 檀家
モチベーション 外発から内発へ 市場規範ではなく「社会規範」で
コミットメント 縛りをか -
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個人的に感じたポイント
①社会モデルの推奨
②障害児・者の教育、雇用の意義についての課題
③福祉の経済活動の非効率性
この本が一貫して訴えていたのは、社会の捉え方によって「障害」が生まれるということだと感じた。いろいろなデータによって障害者を取り巻く教育や雇用の問題について語っていたが、根底には障害者とみなすことによる弊害として、上記の問題を取り上げているように読んだ。特別支援教育や障害雇用からすれば、批判的意見のように見えるかもしれないが、そこで働く支援者への批判ではなく、社会における障害者から、教育や雇用について、考え直そうと伝えているのだと思った。
障害児教育や障害者雇用について、経 -
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一般的な日本人にとって「お寺」「お坊さん」「仏教」といえば、「葬式」「法事」「お墓」といった連想が働くわけですが、これらは日本ローカルなもので、タイなどの他の仏教国では同じ発想は全く通用しない。
日本において、仏教と葬式やお墓が結び付いたのは、江戸時代に徳川幕府の統治体制に寺院が組み込まれ「檀家制度」として全国に行き渡ったことが起因している。
そのあたりの歴史を紐解きながら、現代のお寺・仏教を取り巻く状況を経済学的見地から眺めた一冊。
それにしても、オフィシャルな制度としての檀家制は明治以降存在しなくなったにも関わらず、現代においても寺壇関係というものが「文化」として社会に根を張ってい -
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相撲や落語や将棋といった伝統文化や、仏教を中心とした宗教を、「サービス」として経済学のまな板にのせてしまうところがおもしろい。そうですか、家元制度は「参入障壁」の一部なのねとか。プロ棋士が「昇段しにくく、降格しにくい」しくみをつくるのはどうしてかとか。檀家制度がサービス事業家(寺)にもたらしたものはなにかとか。
ああするべきとかこうするべきとか。世の中「善悪」ばかりを言い過ぎる。経済学的思考の利点は、「善人」「悪人」という切り分け以外の基準をもたらしてくれることだ。そういうことを「やってしまう」インセンティブを理解することで、「悪いことだからやっちゃだめ」で終わらない提案をすることができ -
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経済学帝国主義って言葉があるらしい。社会のいろんな分野に経済学が口を出すこと。でもそういう観点からの分析も確かに重要だな。刑事司法だって,正義とかだけじゃなく,経済合理性も無視しちゃいけない。
犯罪の内容とか裁判の経緯とか,判決がどうなったとかで普通人々の関心は終ってしまい,刑務所での処遇とか,出所後のことなど,殆ど注目を集めない。著者はそれを大変憂慮。刑務所の事なかれ主義とか,矯正の実効性とか,保護観察の問題とか,一向に改善しないのは世間が関心を寄せないからでもある。
本書は,経済学者が書いた(主に刑務所の下流の)刑事政策の本。そんなに具体的に経済学を適用しているわけではないけれど,犯