中島隆信のレビュー一覧
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世の中の実際の流れを体感してみないと、経済学なんて理解できないです。私も当然、大した勉強をしてこなかったので、全く身についておりません。なので、また一から勉強し直さねばと思います。
本書は「刑務所の経済学」という一見マイナーな話題のものかと思われますが、実は世の中のファクトを経済学的に分析する方法をわかりやすく理解させてくれます。
未だ社会に接する機会がない、経済学部生や商学部生、また大学時代に全く経済学を学んでこなかった人には、どういう風に世の中のファクトを分析していけばよいのか、そのためには経済学の知識が役に立つんだ、ということを気づかされる良書です。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
経済学は、「なんでもカネで考える」非人間的な学問なのか?
否。
これこそは、人間が人間らしく生きるために欲望をいちばんうまく活用する方法を見つけ出す、きわめて応用範囲の広い思考ツールなのである。
本書では、従来、経済学のテーマとしてはあまり取り上げられてこなかった、各種の「伝統文化」、「宗教活動」、さらには障害者などの「弱者」について、その奥に潜む合理性の仕組みを明らかにする。
具体的な「問題解決」に役立ち、多くの人が幸せになれる世の中を作る「道具としての経済学」入門書。
[ 目次 ]
第1章 経済学的思考のススメ(社会現象への感受性 モラルという価値判断に頼りすぎていないか ほか)
第2章 伝統文化、その生き残りの秘密(廃れる文化、生き残る文化 「道」とは何か ほか)
第3章 宗教も経済活動だ(信仰というサービス 信仰に対する需要 ほか)
第4章 世の中に「弱者」はいない(弱者とは誰のことか 弱者はつくられる ほか)
第5章 経済学は懐の深い学問(欲望と経済学 技術進歩 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
イラストレーターの川口さんから戴いたこの本を読んだ。川口さんはこの本の挿絵を担当。
そうなんだよね、といろいろ思う。著者は慶応大学商学部教授。この辺もいい。経済学ど真ん中だったらけして考えない発想がある。私の知り合いにやはり慶応大学商学部の教授がいる。清家篤さんだ(先生と書くと本人に叱られるので、さんと書く)。この人もちょっと違うものの見方を得意としている。もしかしたらこの学部自体がそうなのかもしれない。けっこうお勧めなんだけどな。さて。
この本は伝統文化、宗教、弱者を経済という視点から照らし出す、という方法を通して、経済学という手法の効果を見せている。ちゃんと経済として表現できるというだけではなく、こうした分野の持つ価値をあからさまに表現してしまうという力が表われていて面白い。きっと他の分野についても有効なんだろうなと思う。思いっきり経済にまみれているマスメディアなんてのも相当手荒く料理できるんだろうなと思った。 -
Posted by ブクログ
確率加重関数 客観的な確率と主観的な確率の乖離
祈願=ダメ押し 不運を気にかける ご利益は客観確率の高い人に 品質概念なし
生存者バイアス 幸運をつかんだ人は周囲に知らせる
後知恵バイアス 成功後の後付け理論
認知的不調和 不調和が起きると考えを行動に合わせて解消
ナッジ(誘導) デフォルトオプション 法事や厄除け
ハロー効果 確率はどこでも同じだが
アンカリング 対価ではない 評価が難しい 目安を提示 おとり効果
サンクコスト 回収できないコスト 檀家
モチベーション 外発から内発へ 市場規範ではなく「社会規範」で
コミットメント 縛りをかける儀式 相手の信用
お布施 財物を施すこと=痛み
来世の存在 現世の利益を求めて祈る 祈ることで現世よりも来世に
仏教 宗教ではなく人生哲学(ドーキンス)
①座禅(自力)
②経典(自他+経典)
③念仏(他力)
密教 念仏 真言宗 浄土宗(来世) 日蓮宗(現世)
禅宗 祈祷と葬儀 現世利益願望 曹洞宗(一般庶民) 臨済宗(武家社会)
葬式仏教 源信 985年「往生要集」 地獄=黄泉の国(日本の神話)
死=宗教の商売道具
追善供養 現世の人が善行を施し死者の罪を軽減する
釈迦の原始仏教には祈りは存在していない 修行者のみのもの
→大乗仏教が生まれ 仏陀や経典を用いて現世利益を売り物に 神社と大差ない
葬式も仏教徒は縁がないもの 死への恐怖へ寺の主力事業へ
非営利団体のガバナンスの崩壊
「理念」=教義 を掲げる 後継者なし 代表役員を兼務
主事業:葬儀 高齢化による 参加困難 社会接点減少 コロナ禍による縮小
利他行=他にも救い 祈り=自分の行動を変えようとする決意 -
Posted by ブクログ
個人的に感じたポイント
①社会モデルの推奨
②障害児・者の教育、雇用の意義についての課題
③福祉の経済活動の非効率性
この本が一貫して訴えていたのは、社会の捉え方によって「障害」が生まれるということだと感じた。いろいろなデータによって障害者を取り巻く教育や雇用の問題について語っていたが、根底には障害者とみなすことによる弊害として、上記の問題を取り上げているように読んだ。特別支援教育や障害雇用からすれば、批判的意見のように見えるかもしれないが、そこで働く支援者への批判ではなく、社会における障害者から、教育や雇用について、考え直そうと伝えているのだと思った。
障害児教育や障害者雇用について、経済学という珍しい立場から語ってくれたのは、個人的に新しい切り口になった。障害者への教育や雇用について、考え直すきっかけになった。
残念な点としては、教育、雇用、子育てなどテーマが多く、著者の主張に具体性が乏しいように感じたことだった。各テーマにデータや各国との比較など紹介されているが、つまるところ経済的余裕や精神的余裕が必要という提案が多く、具体性が掴めなかったことが残念だった。考えるきっかけにはなるが、具体的なアクションには落とし込みにくい。 -
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一般的な日本人にとって「お寺」「お坊さん」「仏教」といえば、「葬式」「法事」「お墓」といった連想が働くわけですが、これらは日本ローカルなもので、タイなどの他の仏教国では同じ発想は全く通用しない。
日本において、仏教と葬式やお墓が結び付いたのは、江戸時代に徳川幕府の統治体制に寺院が組み込まれ「檀家制度」として全国に行き渡ったことが起因している。
そのあたりの歴史を紐解きながら、現代のお寺・仏教を取り巻く状況を経済学的見地から眺めた一冊。
それにしても、オフィシャルな制度としての檀家制は明治以降存在しなくなったにも関わらず、現代においても寺壇関係というものが「文化」として社会に根を張っていることを考えるに、徳川幕府がこの制度をいかに強固にあまねく根付かせたかが痛感させられます。
まあ考えてみれば、明治以降まだ150年ほどしか経っていないわけで、徳川の260年はやっぱり日本人の生活のかなり深いところまで刻み込まれてるんだなあ、と。
同じ著者の「大相撲の経済学」に比べると、経済学的観点での掘り下げという意味ではやや物足りないところもあるんですが、雑学的にはなかなか面白かった。
特に、お寺と葬儀社・石材屋の関係を分析したあたりとか。 -
Posted by ブクログ
相撲や落語や将棋といった伝統文化や、仏教を中心とした宗教を、「サービス」として経済学のまな板にのせてしまうところがおもしろい。そうですか、家元制度は「参入障壁」の一部なのねとか。プロ棋士が「昇段しにくく、降格しにくい」しくみをつくるのはどうしてかとか。檀家制度がサービス事業家(寺)にもたらしたものはなにかとか。
ああするべきとかこうするべきとか。世の中「善悪」ばかりを言い過ぎる。経済学的思考の利点は、「善人」「悪人」という切り分け以外の基準をもたらしてくれることだ。そういうことを「やってしまう」インセンティブを理解することで、「悪いことだからやっちゃだめ」で終わらない提案をすることができる。そこんところを理解する、つーか「楽しむ」ためには、格好の本だと言えると思う。