あらすじ
障害者を作っているのは私たち自身である
制度の問題点を経済学で一刀両断にする
障害者本人のニーズに合わない障害者福祉制度でいいのか?
選りすぐりの生徒だけ受けられる職業訓練、
補助金目当てで仕事をさせない障害者就労施設、
障害者雇用を肩代わりするビジネス……。
脳性麻痺の子どもを持つ気鋭の経済学者が、経済学の冷静な視点から、
障害者を含めたすべての人が生きやすい社会のあり方を提言
障害者だからと特別視して終わるのではなく、一般化した上で深く考えれば問題の本質が見えてくる。私たちに必要なのは、障害者に映し出されている社会の姿に気づくことである。これは障害者に学ぶといってもいいだろう。(終章より)
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Posted by ブクログ
■1027。一読。2023年01月14日。
・障害者のあり方や差別について幾つかの類型を区別したり、関連する法令を参照した上で、どのようなインセンティブ設計が好ましいかを考える。
Posted by ブクログ
障害者について議論するとなると大概、同情や善か悪かの評価が加わってしまう。
著者はそんな善悪論にとらわれない経済学の視点から冷静に障害者の実態や社会の改善点を解説してくれている。
「障害者を作っているのは私たち自身である」という主張が印象的。
車椅子利用者に障害があることは一目でわかるが、バリアフリー化が進めばスムーズな移動が可能となり、障害とみなされなくなるかもしれない。
働きたくても働けない障害者が社会に進出することは少子化で人手不足が深刻になっている現代に良い影響を及ぼす。
社会が障害者に対する偏見や特別に構えようとする意識を少しずつ変えていけばお互いに住みやすい環境ができていくはず。
Posted by ブクログ
障がいの有る無しに関わらず、働きやすさ・働く人の能力を最大限発揮できるようする事が、企業の存亡をかけるようになってきてると思う。
障がいの有る方の働き方からそのエッセンスを抽出して拡大していきたい。
Posted by ブクログ
障害者用スペースを違法に改造した東横イン事件など、の事例を取り上げながら障害者と経済の関係を考察。
どちらの肩も持たないと言っている通り、かなり公平で読み応えがある。乙武氏の銀座の屈辱について、店側の責任がどこまであるか?などは面白かった。
ベッカー型差別。HIVを理由に解雇されたなど。差別は経済的に非効率。
Posted by ブクログ
個人的に感じたポイント
①社会モデルの推奨
②障害児・者の教育、雇用の意義についての課題
③福祉の経済活動の非効率性
この本が一貫して訴えていたのは、社会の捉え方によって「障害」が生まれるということだと感じた。いろいろなデータによって障害者を取り巻く教育や雇用の問題について語っていたが、根底には障害者とみなすことによる弊害として、上記の問題を取り上げているように読んだ。特別支援教育や障害雇用からすれば、批判的意見のように見えるかもしれないが、そこで働く支援者への批判ではなく、社会における障害者から、教育や雇用について、考え直そうと伝えているのだと思った。
障害児教育や障害者雇用について、経済学という珍しい立場から語ってくれたのは、個人的に新しい切り口になった。障害者への教育や雇用について、考え直すきっかけになった。
残念な点としては、教育、雇用、子育てなどテーマが多く、著者の主張に具体性が乏しいように感じたことだった。各テーマにデータや各国との比較など紹介されているが、つまるところ経済的余裕や精神的余裕が必要という提案が多く、具体性が掴めなかったことが残念だった。考えるきっかけにはなるが、具体的なアクションには落とし込みにくい。