あらすじ
意外にもコンビニエンス・ストアの倍近く存在するお寺。一体お寺は何のために存在し、誰がどのような活動をしているのか。戒名や税金などを経済学的視点から鋭く分析し将来像を描く。
【主な内容】
序章今なぜお寺なのか
第1章仏教の経済学
第2章すべては檀家制度からはじまった
第3章お寺は仏さまのもの
第4章お坊さんは気楽な稼業か
第5章今どきのお寺は本末転倒
第6章お寺はタックス・ヘイブンか
第7章葬式仏教のカラクリ
第8章沖縄のお寺に学ぶ
第9章お寺に未来はあるか
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Posted by ブクログ
最近実家の2か所ある墓のひとつを墓じまいした。先祖の歴史と弔いの場である墓に自分が手をつけることに躊躇しなかなか決断がつかなかった。この本はそんな自分の背中を押してくれる一助になった。江戸時代に確立された檀家制度を基盤とするお寺が今日大きな曲がり角を向かえており、今後どのように変わっていくのかという視点を中心に置きつつ、仏教の歴史、お寺に関わる諸制度、現場が抱える様々な課題など
が経済学的な視点から広く多角的に論じられていてとても興味深かった。私の中にあったお寺と墓に関する一種のタブーが取り払われた。
Posted by ブクログ
「坊主丸儲け」のカラクリを暴く!的な本かと思って手に取った。
お寺の現状に対して厳しい目を向けているのは確かだが、批判も提言も真摯な姿勢からなされている。それは、もともと仏教に無関心だったという筆者が、取材を通じて仏教や個々の僧侶の魅力を発見していったことと無縁ではあるまい。
仏教の本というと、どうしても教義を解説するものや生き方のヒント的なものが多いので、この本のように歴史や組織構造についてわかりやすく教えてくれる本は貴重だ。
Posted by ブクログ
一般的な日本人にとって「お寺」「お坊さん」「仏教」といえば、「葬式」「法事」「お墓」といった連想が働くわけですが、これらは日本ローカルなもので、タイなどの他の仏教国では同じ発想は全く通用しない。
日本において、仏教と葬式やお墓が結び付いたのは、江戸時代に徳川幕府の統治体制に寺院が組み込まれ「檀家制度」として全国に行き渡ったことが起因している。
そのあたりの歴史を紐解きながら、現代のお寺・仏教を取り巻く状況を経済学的見地から眺めた一冊。
それにしても、オフィシャルな制度としての檀家制は明治以降存在しなくなったにも関わらず、現代においても寺壇関係というものが「文化」として社会に根を張っていることを考えるに、徳川幕府がこの制度をいかに強固にあまねく根付かせたかが痛感させられます。
まあ考えてみれば、明治以降まだ150年ほどしか経っていないわけで、徳川の260年はやっぱり日本人の生活のかなり深いところまで刻み込まれてるんだなあ、と。
同じ著者の「大相撲の経済学」に比べると、経済学的観点での掘り下げという意味ではやや物足りないところもあるんですが、雑学的にはなかなか面白かった。
特に、お寺と葬儀社・石材屋の関係を分析したあたりとか。