木内達朗のレビュー一覧
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今回も筧ハイツの住人。井川幹太。大学から9年も住んでいる。コンビニバイトの27歳。パンの営業として就職したが辞め、その次も辞め、コンビニ。結婚式の代理出席のバイトもたまにやっている。そのバイトで高校時代の同級生萩森澄穂と再会。たまに飲みに行く仲になる。幹太の悩みは上の部屋の住人がうるさいこと。生活音がうるさい。ワンルームなのに時々子どもが2人来る。でも気付いたら仲良くなっていた。
語り口は淡々としている。余計な装飾はない文章。幹太視点で頭の中を晒している感じ。まさに日々の生活と心情を描いている。Lifeを描いているという感じ。出てくる人に悪い人がいない。小野寺さんの作品はいつも安定のよさがある。驚きとかハラハラはないけど、しっかり地に足つけていい人で生きていこうと思えるよさがある。 -
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小野寺さんの新作。読めるだけで嬉しい。
マッチングアプリで付き合い出した二人がさらっと、別れてしまう姿に驚いた。いまマッチングアプリで結婚する人が増えているから、この延長で離婚も多くて、貧困率がさらに増えるのではと心配になった。知人に話すとうちの子もマッチングアプリで結婚したと。息子からはきっかけに過ぎないから、直接出会ってもマッチングアプリでも離婚する人は離婚するでしょうと言われ、いろいろ考えさせられた。
201の佐野さんと101の新川さんのこれからの展開が気になる。
小野寺さんの作品には川や地名がよく出てくるが、いつもさらっと読んでいる。今度は地図を片手に読んで見ようと思う。狭いようで広い東京を感じられるかも。 -
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ネタバレ東京江戸川沿いにある小さなアパート「ベルジュ江戸川」、そこの入居者4人を主人公に据えた連作短編集。
特に大きな出来事は何も起こらない、最後に4人が顔を合わせるくらいのことが最大の出来事。それなのに何故か面白い。登場人物たちの考えていることが、ちょっとずれているというか、一般的を半歩だけ踏み違えているというか、そのずれが良いのだ。
誰しも、一般的とか世間常識からずれているところはあるのかもしれない。多様性とかホワイト社会とか、良くなっているけど窮屈にもなっているような昨今だからこそ、半歩くらいのずれがあって良いように思うし、その半歩を楽しみたいとも思うのだ。 -
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江戸川のほど近くにある、4室だけの小さなアパート「ベルジュ江戸川」。
そこに住む人々が直面する悩ましい出来事と、それに住人たちが向き合えるようになるまでを描く連作短編ヒューマンドラマ。
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東京メトロ東西線。その電車から私が毎日見てしまうのが妙見島と呼ばれる、2本の川に挟まれた陸地の部分だ。2本の川と言ってもどちらも旧江戸川で、わりと大きな道路が橋代わりに渡されているとは言え、どう見ても孤島だった。そこを私は、通勤の行きも帰りもつい見てしまうのだ。
島の目印はラブホの大きな屋上看板。別にラブホに興味があるわけではない。
ただ、都会の陸地と切り離された立地を見ることで少しだけ日常から解放される気がする、その感じが気に入っているのだ。
何と言っても「少し」という感じがいい。完全には日常から離れたくないから。
考えてみれば、私がマッチングアプリに登録したのも同じ理由だったのかも知れない。別にカレシが欲しいというわけではなく ( いや欲しくないことはないのだけれど ) 、日常と少しだけ違うことをしてみたかったのだ。
してみてわかったのは、マッチングアプリというのはなかなか便利なツールだということ。大学卒業後に4年間できなかったカレシが、アプリを始めてから2年間で2人もできた。
最初から条件を絞り込んであるので、会ってみて全然好みではなかったということもない。
そんなことを考えているうちに、電車は南砂町駅に着いた。 ( 第1話「妙見島 ベルジュ江戸川201号室 佐野朋香」) ※全4話。
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小野寺さんお得意の、アパートを舞台にした連作ヒューマンドラマ。日常の人間関係の機微をテーマにしたストーリー。
各話とも本当によくある出来事をテーマにしているので、リアリティがあり共感しやすい。そして住まいや居住区の意義とその大切さを盛り込んだ少々ファンタジーめいた展開にほっとさせられる。
これまでも小野寺さんの作品には、そのようなコンセプトで描かれた作品が少なからずありました。だいたい同じような流れなのですが、それでも新作が出ると喜んで読んでしまうのです。
ストーリー的に、「主人公がひどいことにはならないというのが予想できるから」というのが大きな理由だと思いますが、それ以外にも2つあります。
1つは、主人公が結構いろんなことをウダウダ考えているのがおもしろいということ。
本作では、第1話の佐野朋香と第4話の新川剣矢のウダウダ具合いがいい。しかもこの2人をベルジュ江戸川の 201号室と 101号室というお隣ならぬ上下の関係に持ってきているのも、ご縁が期待できていい設定だと思います。
もう1つは、主人公がどちらかと言うと不器用で損をしがちな性格なので、つい応援してしまうところ。さらに、損な役回りになってウジウジ悩んでも最終的には前を向こうとするようになっていくところも、読んでいて安心できるから好きなのだと思います。
本作では、第2話の片山達児と第4話の新川剣矢がまさにそういうタイプです。ほっとけない、励ましたくなる、そんな不器用さがいい。
さて本作について、もう少し触れておきます。
4人の主人公は、自分の立ち位置がまだわからない、または決まっていない、そんな人たちです。なんせ不器用な人たちですから。
そして住んでいるのが、実は「番外地」と呼ばれるところで、東京か千葉かが微妙な地域なのです。この符号というか設定が特に、しゃれていていいと思いました。
物語の最後に、片山達児が 102号室を出て妻子とともに新天地へ向けて出発していく場面があります。
片山が仕事や家庭での自分の立ち位置についに気づいたことで、このベルジュ江戸川を退去 ( 卒業? ) するという、実によく考えられたラストでした。 ( あとの3人も退去が近そうな感じで、第4話に描かれています。) -
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初めての作家さん。
中学2年生の夏休みの社会科の宿題にしては、
すごい高度な課題に挑戦したと思う。
「アップサイクル」という言葉も、初めて知った。
中学生らしい友人関係のやり取りが、ほほえましかった。
「未来を大人だけに任せておくわけにはいかないのだ。自分たちの未来なのだから。」
こんな風に考える子供たちがどんどん増えてほしい。
もちろん、子供では出来ない法律や制度のことは大人のサポートが絶対必要だ。
博士ちゃんや、天才君など、テレビでも話題になっているが、子供の興味や才能をどんどん伸ばせる環境や仕組みを社会が後押ししてくれたら、未来は安泰!