木畑洋一のレビュー一覧
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はじめに
第Ⅰ部 ウクライナから考える
第1章 ウクライナ戦争はどのようにして起こったのか………南塚信吾
第2章 NATOの東方拡大は戦争を抑止したのか………油井大三郎
コラム1 ユーゴスラヴィア紛争からの教訓………山崎信一
第Ⅱ部 近現代世界史の中の戦争と平和
第3章 どのような戦争が起こってきたか………木畑洋一
第4章 軍拡が戦争を呼び起こす………山田 朗
第5章 戦争を許さない世界を求めて………木畑洋一
第6章 平和を求める運動はやむことはない………南塚信吾
コラム2 武力で平和は守れない………藤田 進
第Ⅲ部 日本をめぐる戦争と平和
第7章 日本の戦争から考える──軍 -
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20世紀とはどのような時代であったのか。
本書では1870年代~1990年代初頭までの「長い20世紀」を、支配-被支配関係を軸に、一つの際立った時代として描いていく。
支配-被支配関係で読み解いていく視角が、個人的にはとにかく分かりやすかった。受験世界史で学んだ出来事が、新たに有機的に結合していくような読書体験だった。個々に知っていたあの出来事この出来事が、次々と支配-被支配関係の論理に見事に乗っかってゆくのは、痛快でさえあった。
特に第二次世界大戦に突入していった日独伊の行為は、既にヴェルサイユ体制下にあって過去のものとなりつつあった帝国主義的な支配-被支配関係を、自分たちのために再構築し -
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著者はイギリス帝国史を専門とする木畑洋一。
本書で扱う「20世紀」について、
起点: 世界が帝国的な支配構造で覆われるようになり始めた時=1870年代
終点: アフリカの各地域の独立(1990年ナミビア独立)、アパルトヘイト体制の終結、ソ連解体=1990年代初頭
としている。
暦の上での20世紀と異なる20世紀論として、ホブズボーム『極端な時代 短い20世紀 1814-1991年』がよく知られている(邦訳タイトルは『20世紀の歴史―極端な時代』)。
ホブズボームは第一次世界大戦の開始からソ連の崩壊までの期間を「短い20世紀」として位置付けた。木畑はこの「短い20世紀」論は、「あ -
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こういう世界史の本というのは、図解雑学本なるビギナー向けの本か、プロ向けの専門書かに二極分化される傾向がある。それでも、本書は新書サイズで20世紀、特に帝国主義が勃興し終焉した1870年代から1990年代までの世界の歴史を(特に、国民国家体制を作り上げ、第1次世界大戦や第2次世界大戦などに代表される近代グローバリゼーションの波を)、コンパクトに概観できるようにまとめられている。更に、各時代の支配/被支配の様相について、南アフリカ、アイルランド、沖縄の様子を章末に定点観測という形で述べられている。
特に20世紀の世界史から、国際関係論やグローバル化、冷戦体制が崩壊してから現代的な問題として顕 -
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本書では20世紀を「帝国主義の時代」と位置付けている。
帝国主義とは、「一つの国家または民族が自国の利益・領土・勢力の拡大を目指して、政治的・経済的・軍事的に他国や他民族を侵略・支配・抑圧し、強大な国家をつくろうとする運動・思想・政策」などと定義づけられている。第二次大戦前の日本は、韓国・台湾・中国、その他のアジアの国々を侵略・支配・抑圧しようとしており、自ら大日本帝国と名乗っていた通り、帝国主義国家であった。
20世紀が帝国主義の時代であったということであるが、帝国主義の流れ・動きは、実際の暦上の20世紀とは少しずれている。帝国主義的な動きは、まず、ヨーロッパ諸国がアフリカ諸国を分割・支配し -
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1870年代以降の世界史を「長い20世紀」という枠組みから「帝国」と植民地・従属地域の支配・被支配関係の変容を軸に叙述している。エリック・ホブズボームの「短い20世紀」論が第一次世界大戦~冷戦終結までを「極端な時代」と規定し、それ以前の帝国主義形成期との「断絶」を重視するのに対して、本書の「長い20世紀」論は19世紀後半から第二次大戦までの「帝国世界」の連続性を強調し、大戦以後冷戦期の歴史を脱植民地化=「帝国」の解体過程と捉えているのが特色(それ故に20世紀末以降のアメリカを中心とする世界秩序に「帝国」概念を適応させる議論には否定的)。また、グローバル化と国民国家の形成を一体の関係とみなし、