木下眞穂のレビュー一覧

  • マクトゥーブ An Inspirational Companion to The Alchemist

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    私は心に刺さった/響いた/残ったページは角を折っておくのですが、これはほとんど半分を折りました。

    読むたび、生きていて抱える喜怒哀楽その時々の感情それぞれに触れる、救ってくれる言葉があります。

    何歳/どの年代で/どんな情勢下で読むかで、感じ方も変わりそう。
    とても哲学的な本です。

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    2025年09月03日
  • 戦争は,

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    この本は物語ではなく、「戦争は〜」という一文ずつで淡々と語られる作品だった。けれどその一つひとつが胸に迫り、どれも確かに「戦争の顔」を映していると感じた。戦争にはいろんな側面があるのだと、読むたびに考えさせられる。

    絵はシンプルで色も限られているのに、不気味さや緊張感がにじみ出ていて、言葉の重みとともに強い印象を残す。文章が短く少ないからこそ、読み手に「あなたはどう思う?」と問いかけてくるようでもあった。

    私は戦争を知らない世代だ。けれど、今の平和は過去の痛みや犠牲の上に成り立っているということを、この本を通じて改めて考えさせられた。戦争を体験した人たちの声が届きにくくなってきている今、こ

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    2025年08月06日
  • 戦争は,

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    「戦争は、日常をずたずたにする。」
    「戦争は、憎しみ、野心、恨みを糧とする。」
    どの戦争も同じだと思う。怖すぎるのだ。

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    2025年08月06日
  • 戦争は,

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    「戦争は〜」という文が積み重ねられていく。詩だだな感じたが、やはり作者はポルトガルの詩人だった。淡々としているが、一つ一つ考えさせられる文。「戦争は、何も聞かない、何も見ない、何も感じない」「戦争は物語を語れたことがない」など。そして、それらの文に組み合わされた黒を基調とした絵、さらに文がない間のページの絵が、文と同じくらいに雄弁に、迫力を持って語っている。
    繰り返し読みたい1冊。

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    2025年07月23日
  • エルサレム

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    おもしれー! 「本音で楽しむ本」と「建前で楽しむ本」があるとしたら、この本は間違いなく前者。1章が短くサクサク読める。サクサク読めるのに色々残る。

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    2025年06月10日
  • 戦争は,

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    ウクライナとガザの悲惨な状況を見聞きしている今、この絵本の語る事が身に迫ってくる。
    戦争を始めてはならなかった。先の大戦で、終わらせる事の難しさを学んだのではなかったのか、と。原作は2018年なので、まだウクライナもガザも侵攻されてなかったが、きな臭くはあった。
    「戦争は沈黙だ」ラストの言葉は警告だ。
    小学校高学年くらいの人に読んでもらいたい。中高生には、世界の現状を学んで、併せて読んで欲しいと思う。
    絵が内容とあっていて、より深く考えさせられた。

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    2024年08月31日
  • 戦争は,

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    静かに忍び寄りやがて世界を覆い尽くす戦争は、憎しみ、野心、恨みを糧とする。今もやまない戦火。理不尽に踏みにじられる市民の生命。
     憎しみの連鎖、理解できない為政者への恐怖を乗り越え、対話と理解、人権と平和を理性の力で実現してほしい。

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    2024年08月15日
  • 戦争は,

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    ネタバレ

    最初は絵だけなので、一瞬イラスト集?と思ってしまった。
    けど、この絵だけのページがじわじわとくる。

    イラストは色が少なくて不穏な空気を描いている。そこに添えられる文章は「戦争は、×××」と続いていく。
    これが全て頷けてしまうのだから怖い。

    『戦争は、物語を語れたことがない。』『戦争は、鋼と影の子どもたちを生み出す。』

    私がいいなと思ったのはこの二つ。そこについているイラストも本を燃やししていたり、工場で人が作られていたりとゾッとする感じがする。
    全てがリアルすぎる。

    戦争の現実しか書かれてないので、おそらく幼児向けや小学校低学年向けではない。高学年ぐらいから読めるのかなと思った。

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    2024年08月14日
  • エルサレム

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    出版されると同時に本国、世界で大ヒット。だっておもろいもん。でも万人受けってわけでもなく明るく爽やかスキッと、っていう感じは全然ないんだけども。現代って忖度とか、「そういうつもりじゃなかった」「そうは言ってはいないんだけど」みたいな、なんでしょう、赤ちゃんがなかなか眠いくせになかなか寝てくれなくて、ユーラユラ揺すって「おーよちよち」ってやってんのが世の中でさ、でもさ、皆生きてて一回位は、「赤子落としてみてー」って思っただろ?ほんとはさ、みたいなそういうスカーーーーッはある。

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    2022年03月04日
  • 戦争は,

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    『自らも独裁政権に抗した、ポルトガルを代表する文学者の詩とその息子による絵で、戦争の残酷な本質を描く。今こそ読まれるべき、衝撃的な絵本。』

    昨年4月 岩波書店から発行

    好きではないよ
    こんな暗い本
    美しいものが何一つない
    でも、現実はこんなものではないんだよねー

    たくさんの方に呼んで頂きたいなあ

    ≪ 戦争は 廃墟の町と 沈黙だ ≫

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    2025年02月16日
  • 戦争は,

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    黒く蠢く何かが集まり、鳥の形となって空を飛び、開いた窓辺に降り立つ。それは戦争をイメージしたおぞましい何か。少ない言葉数で戦争とは何かを伝える絵本。

    端的に語られる文章が重く響く一冊でした。絵から伝わってくる重苦しく位イメージが戦争のイメージをよく表していると思います。

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    2024年11月09日
  • 戦争は,

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    岩波「図書」8月号に訳者木下眞穂さんの解説が載っていて、紐解いた。ポルトガルの絵本。

    「戦争は、」に続く幾つかの短詩と、禍々しいイメージ絵で構成される。鼠色と褐色しか出てこない。

    先ずはこの詩篇にドキッとした。

    戦争は、日常をずたずたにする。
    「進行していますね」と耳元でささやかれる病気のように。
    ←あゝ、私にはこの体験はないけど、かつての父親を見ていて、正に彼の心の中に「戦争」が進行していたのだと、まざまざとイメージを持つことができた。

    「もののけ姫」の猪神がたたり神に侵されてゆくときの黒い蛇みたいなものが、大陸の林の間をずっと進んでいき、群れをなし、禍々しい鳥の導きにより、街の中の

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    2024年09月01日
  • 戦争は,

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    なんて恐ろしいのだろう。戦争は。
    あまり触れたくない題材だから手に取るのを迷ったけど、読んでおこうと漸く思えたので読んでみた。子らが読むかは彼等に任せるけど、私は読んでよかった。よかったと言うのかわからないけど。色数の少ない絵が静かに迫ってくるよう。
    気候変動や災害で、思っているより早く地球は滅亡するかもしれないのに。
    戦争のない世界で子どもたちが暮らせるといいのに…

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    2024年06月03日
  • 不倫

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    完璧な夫と子どもに恵まれたジャーナリストの女性が、激情に駆られ不倫をする話。満たされ安定した生活が約束された人生に意義を見いだせず鬱状態になってしまう。そこから自らの力で刺激ある人生を謳歌しようとする。刹那の欲望に溺れながら傷ついてく彼女は、ついに真実の愛に辿り着く。不倫という不貞を美しい物語に仕立て上げた側面は、多くの方から不評を買うかもしれない。その一方で、誰もが隠し持っている欲望や心の闇をつぶさに描き出すことにより、惹かれていく部分も否定できない。コエーリョにしては人間臭い作品であった。

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    2023年04月05日
  • 不倫

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    あの『アルケミスト』のコエーリョが?と、ずっと気になっていた本は、その名も『不倫』。
    出版当初に賛否両論の的となったこのタイトルから、内容も大きく外れはしない。
    しかし、主題は恋愛などではない。
     
     
     
    曰く「世界でも有数の安全な国」に暮らすリンダは、ジャーナリストとして有力新聞社に所属。
    聡明な彼女には二人の子供と、国内でも指折りの資産家である夫が居る。
    夫は結婚から十年が経過した今でもリンダを情熱的に愛しており、二人は常に世間の羨望を集めていた。
    しかしリンダは、とあるインタビュイー(解説によるとコエーリョ自身が投影されている)の一言から、現状を疑問視し始める。
    日々、増していく倦怠感

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    2023年03月26日
  • エルサレム

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    それぞれの抱える闇や苦しみが繋がっていく。
    誰にも言えないものがどこかで少しずつ露呈していく怖さが淡々とした文章で書かれていておすすめです。
    割と短い章立てなので読みやすい。
    点と点が繋がっていく様は群像系の海外ドラマを彷彿とさせる。

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    2023年03月11日
  • エルサレム

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    ネタバレ

    ミリアは激痛に耐えて夜中の街を彷徨っていた。10代で統合失調症に罹り、担当医のテオドールと結婚し離婚。

    登場人物全員、ミリアの子である12歳のカースですらどこか不穏でおかしい。散漫に見せかけた物語の展開の中でそこかしこに事件へのトリガーが散りばめられていた。

    本作は彷徨感の強い作品だが、殺人の原因と結果というところは的を射ているのではと感じた。フィクションでは殺人の原因、理由は複雑に描かれたりするが、現実では人は人をある日突然あっさりと殺してしまうものだ


    この小説がポルトガルでベストセラーということでポルトガルという国から受ける印象が変わりました。

    精神病院と性行為、というとどうして

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    2022年01月07日
  • エルサレム

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    題名はあとがきによると「エルサレムよ、もしも、わたしがあなたを忘れるなら、わたしの右手はなえるがよい」という旧約聖書の詩編から。

    ただ入り乱れた時系列の中、読者はいったり来たりしながら結末にたどりついても、腕がなえることはない。というよりなえさせてはくれない。そこに救いなどないが、絡み付くように読ませる。

    悪の「王国」は他にどのような世界があるのか心して待つ。

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    2021年10月06日
  • エルサレム

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    精神世界での話が主でありとても高等なように見せられ(下等なものが悪いわけではない嗜好の問題だ)奥深くまでに入り込んだ心と傷の迷宮のような作品はある一定の読者を獲得するだろうと思った。時系列ではなく、登場人物を変えながら進んでいくストーリーは良い意味で読みやすくもあった。
    これはポルトガルでベストセラーとなっている作品。訳者あとがきで、この作者は将来のノーベル文学賞ではないかと、サラマーゴという方が賞賛していたらしい。

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    2021年07月06日
  • エルサレム

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    ネタバレ

    決して面白可笑しい話でもないし、ときめく話でもないのだが、なぜか一気読みしてしまった。なんだろう、この奇怪さは。

    ミリアの造型には、フォークナー『八月の光』のリーナを連想してしまった。

    ヒンネルクは結局なんなんだ。カースの意味はなんなんだ、あんまりだと思ってしまうのだが。なんのために、なんのために。ただ円環がまとまる着地はあまりにも見事。

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    2021年06月17日