ある日突然、失明が伝染していく。視界が白の闇に包まれる。
失明も怖いけれど、全ての人が盲目になった世界で一人だけ目が見えているというのも壮絶です。
何も見えない世界で理性を保てるのは、その人自身の理性なのか、やっぱり「彼女には見えている」という“見られている”意識なのか……。
一人だけ失明しない人物
...続きを読むである医師の妻は、支援と介護とのプレッシャーも、目の当たりにしている悲惨な世界のストレスも、自分の目もいつか見えなくなるかもしれないという恐怖もかなり強かっただろうと思います。ラストの不穏さも印象に残ります。
地の文と会話文の区別がつけられてない文章で、会話も何人もいるけど誰がどの発言をしているかも書いてないところもありはじめは戸惑いましたが、それでもぐいぐい読まされる力がありました。考えさせられて目が止まる一文もサラッと書いてあって、読む度に深まっていきそうな作品です。
映画「ブラインドネス」も観ました。原作を読み終わる前に観てしまったけれど随分とコンパクト。でも壮絶さはありました。最初に失明した男とその妻を伊勢谷友介さんと木村佳乃さんが演じられててびっくりでしたが不思議としっくりきます。