作品一覧

  • 白の闇

    白の闇

    小説・文芸

    4.1
    1巻1,430円 (税込)
    突然の失明が巻き起こす未曾有の事態。「ミルク色の海」が感染し、善意と悪意の狭間で人間の価値が試される。ノーベル賞作家が「真に恐ろしい暴力的な状況」に挑み、世界を震撼させた傑作。
  • 象の旅

    象の旅

    小説・文芸

    -
    1巻2,090円 (税込)
    ノーベル賞作家サラマーゴが最晩年に遺した、史実に基づく愛と皮肉なユーモアに満ちた傑作。 象は、大勢に拍手され、見物され、あっという間に忘れられるんです。それが人生というものです。 ノーベル賞作家サラマーゴが最晩年に遺した、史実に基づく愛と皮肉なユーモアに満ちた傑作。 【目次】 象の旅 訳者あとがき 【著者】 ジョゼ・サラマーゴ 1922年、ポルトガルの小村アジニャガに生まれる。様々な職業を経てジャーナリストとなり50代半ばで作家に転身。『修道院回想録』(82)、『リカルド・レイスの死の年』(84)、『白の闇』(95)で高い評価を得て、98年にノーベル文学賞を受賞。ほかに『あらゆる名前』(97)、『複製された男』(2002)など。2010年没。 木下眞穂 上智大学ポルトガル語学科卒。ポルトガル語翻訳家。訳書に『ブリーダ』(パウロ・コエーリョ)、『忘却についての一般論』(ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ)、『エルサレム』(ゴンサロ・M・タヴァレス)など。『ガルヴェイアスの犬』(ジョゼ・ルイス・ペイショット)で2019年に第5回日本翻訳大賞を受賞。
  • 修道院覚書 バルタザールとブリムンダ

    修道院覚書 バルタザールとブリムンダ

    小説・文芸

    3.5
    1巻4,950円 (税込)
    左手を失った帰還兵バルタザールと不思議な力を持つブリムンダの愛の物語。国王の修道院建立、飛行機の発明、天才音楽家などが紡ぐ驚きの空想物語。ノーベル賞作家の最高傑作、新訳決定版。

ユーザーレビュー

  • 白の闇

    Posted by ブクログ

    2026年読んだ中で1番おもしろい。

    『進撃の巨人』もそうだけど、既成権力の転倒か墜落に対面するとおもしろいな。旧価値的なものの本質的な無意味さがよくわかる。例えば、お金が無意味なものとして、それに対する信頼が棄却されるような現象を扱った小説とか漫画とか映画があってもすごくいいと思う。

    ともあれ、動物的でない側面としての人間の価値をずっと問うている作品だった。その点で、組織化が大事な価値観になっていた。

    病院内の状況が、社会の縮図のようになっていておもしろい。唯一持ち込まれた銃器が最大権力化していた。それだけ、弾がなくなったときの失墜が大きいが。寝るための道具であるベッドの部品から鉄の棍棒が作られて、銃器より弱いがそれも権力化していた。

    それでも最も権力化できる武器は視力であった。1人だけ見えているという最高のアドバンテージ。それを権力に使うのではなく、組織化と力強く生きていくために使っていた。力強く生きるとは、無為と退廃に沈まないこと。

    二点気になったことをとりあげたい。一つ目は、視力がなくならない人がいたのはなぜか。もう一つは、作品中で焦点化されたグループの外の人はどうやって生きていけるか。だれも目が見えないのだから、ほとんど絶望的な状況のはず。生きていくのは難しい。ただ最後の方で、目の見えない小説家が出てきたのはよかった。あの人がいるおかげで、考えうる限り絶望的な状況の中でさえ希望的な生き方を模索できた。

    文体はおもしろい。特に、会話が地の文と融合していて、改行も少ない。
    時間ある時に舐めるように読めたのでよかった。

    0
    2026年02月02日
  • 修道院覚書 バルタザールとブリムンダ

    Posted by ブクログ

    王家とカトリック教会が権勢を振るう18世紀のポルトガルを舞台に、権力に翻弄される人々を描く物語。本書の魅力はなんといってもその臨場感にある。読み手は冒頭からリスボンの雑踏と喧騒に放り込まれ、主人公たち同様明日もわからぬまま、時に天上の音楽に包まれ時に血と汗と泥にまみれる。
    心に残るのは主人公ふたりが神父とともに飛行機械を作る日々だ。かたわらでは宮廷音楽家がチェンバロを弾いている。身分も立場も違うこの4人が風変わりな友情と信頼で結ばれるひとときは、ほのかな光を放って物語全体を照らしているかのようだ。異端審問がそこに暗い影を落とすが、その影もまた光を引き立てている。まるでラ・トゥールの絵画のように。
    語りがたいへんおもしろく、とくに権力側に対する辛辣さは時に笑ってしまうほど。ただそうなると現在もカトリック国であるポルトガルでどのような立ち位置になるのか気になるところ‥と思いながら読んだが、あとがきで丁寧に解説されていた。満足。

    0
    2026年01月29日
  • 白の闇

    Posted by ブクログ

    「他者の視線によって人間は自己を形作る」

    この小説を読みはじめたとき、一番に驚愕したのは、著しい改行と括弧の排除、登場人物全員の名前が明かされないことでした。
    こうした特殊な手法は、読んでいるこちらを有無を言わさずミルク色の海の中に引き摺り込むようで気味が悪く、それでいて登場人物達の内面をこれでもかと描写することにより没入すればするほどにページを捲ることが苦痛に思えるような、他の小説では味わえない読書体験をさせてくれます。
    とりわけ、印象深かったのは社会全体が失明してからの街を覆うリアルな悪臭と汚物に覆われた歩道を踏みしめる感触の描写です。
    作中の文章を引用させていただくと「その道の権威によれば、罪人が耐えるべき最悪のものは、焼けた石炭ばさみや、煮えたぎるタールの大釜や、鋳造所と調理場にある種々の道具ではなく、鼻が曲がるほどの強烈な腐臭と、吐き気をもよおす有害な異臭だという」
    失明社会は他者の視線がない分、皆が傍若無人に振る舞う様をこれでもかとたたきつけてきます。
    序盤はただただ、登場人物達を襲う理不尽な苦難に対して苦痛を感じるばかりでしたが、視覚を失ったことで、それまで出会う等の無かった人々が衝突しつつも手に手を取り合い、助け合う姿を見て、少しずつ読み手の自分も救われていくようでした。普段は清潔な服に身を包み、自然の爽やかな風が当たり前のように吹くことが奇跡のような気持ちにさせられます。
    「瓶を透かして明かりが光り、中身の宝物がきらめいた。医者の妻はそれをテーブルに置くと、夫婦の持っている最高級のクリスタルグラスを取りにいった」こんなにも美しい表現があるとは。瓶の中身はぜひ本書を読んで確かめて欲しいです。

    0
    2025年02月02日
  • 白の闇

    Posted by ブクログ

    運転中の男が突然失明した。目の前に広がるのは漆黒の闇ではなくミルク色の白い闇。車から助け出した男、失明した男を診た医師、待合室の患者たち……失明は次々に伝染して……。ノーベル賞作家の傑作長編→

    怖かった。「地球上のすべての人が目が見えなくなる」と、こんなことになるのか……と、ショックを受けた。まさに、文明の崩壊。
    最初は隔離された病院内で、そして、街全体に広がる無秩序の世界。
    目が見えないと人はこんなにも残酷になれるのか。動物に近づくのかと思ったが、そうじゃない。→

    そんな世界でキーになる人物がいるわけで、その人がいるからこの話は進むんだけど。
    ラストよ……いやもう、怖い。本当に怖い。

    この話の四年後を描く「見えることの試み(原題)」が河出さんで翻訳されているみたいなんで、読んでみたい。あのあとあの人はどうなったのだろう。

    0
    2024年07月27日
  • 白の闇

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    初作家。この作品の成功により、ノーベル文学賞を受賞。人間とは、個人と文明について、善悪とは・・・etc。あらゆる物事を全人類(ほぼ)失明という事象を用いて寓話的に淡々と、時に神の視点を挟みながら記された天から人類に齎された(——作者曰く、突然"全人類が失明したらどうなるのか"という…)書物ではなかろうか。作中一切キャラクタ名が出て来ず『医者の妻』『サングラスの娘』『黒い眼帯の老人』…等、眼が見えない世界では名前など不要ですものね。また台詞には「」が使用されておらず、最初は誰が言葉を発しているかわからず、大変読みづらい。しかし二つの事柄を合わせて考えてみると、読者をよりこの世界に取り込む(→読者すらこの物語の登場人物のひとりのように)のに大変効果的なことに気付かされた。結末はまた新たに生まれ変わった"新"人類の誕生(?)で幕を閉じた——。
    (※続編もあるようだが、翻訳されておらず…残念だ。)
    人によっていろいろ考察しながら読める、素晴らしき作品!全人類必読の書である。星五つ。

    0
    2024年04月21日

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