木地雅映子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ久々の木地雅映子。寡作なのは知っているが、できればもう少し待たずに読みたいぞ。
本作も待たされて損なしの良い小説。凡百の作家なら、家庭環境や保育園の惨状に焦点を当てた社会的問題提議か、ローズ先生の魅力に焦点を当ててファンタジーにするかに傾くんだろうけど、そのどちらでもなく独特の展開と独特の着地点に物語を誘う技はさすが。
登場人物たちも皆魅力的で(サミール一家、父親の兄弟一家、かず子ちゃん…)現実とファンタジーの入り混じった展開も面白い。個人的に一番気に入ったのは、100かいだての家の構想。前後考えても普通はこれいらんやろ?なのに読みいってしまう。こういうところを大事にする小説が減ってるし、 -
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Posted by ブクログ
大島柚子は銭湯「松の湯」を愛する高校生。ある日柚子は松の湯で医大生の福一と出会う。お湯が引き寄せる奇跡の物語。
温泉が引き寄せたぽかぽかシンデレラストーリー。なのですが、それだけに留まらないのがこの作者ならではでしょう。
柚子の家庭は問題大有り。姉は合コンに明け暮れ、その場限りの享楽のみを求める。妹は幼い頃から英才教育を詰め込まれ有名市立中学に行くものの、家では引き蘢り同然の暴君として暴れ叫ぶ。母親は妹にのみ情熱を傾け残業に追われ、他のことを放棄する。父親は我関せずと存在感を消し、全ての責任も消す。そんな中で柚子は家事一切を引き受け、家族とは衝突しないように日々を送る。
解説で「身近な人か -