野本響子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
タイトルと中身がまったくもって違う、ということはないのですが、この本の中身は、著者から見た、日本とマレーシアの文化比較、といえると思います。
その比較のうちの一つが、「日本人はやめる練習がたりていない」であり、その背景には、マレーシアが多民族国家であることや、イギリスからの独立といった歴史的な経緯があることや、仕事や家庭に対する考え方の違い、といったことがある、というのが著者の見方といえると思います。
また、マレーシアは、多民族国家であるがゆえに、他者に寛容であり、その結果、子どもにも寛容で、子育てがしやすい国、と書かれていまして、この点も、マレーシアで子育てをすることを選んだ著者にとっては、重要な主張だと思います。
全体的に、「マレーシア万歳!」な論調ではありますが、日本には日本のよさがある点への配慮も見られ、また、本書については、今後、日本がよくなっていくためのヒントになることを望んで書かれていると思われるので、そのように受け止め、今後に活かしていきたいと思います。 -
Posted by ブクログ
受験勉強はゲームだという点、自分の受験生時代も途中からそう捉えていたし、そこから受験勉強を楽しめるようになった。また、知識そのもの以上にそのゲームに対するアプローチの仕方が社会で役に立つのだろうと思っていた。日本の教育が「我慢する練習」をするところだというのは納得。
本書全体を通して、一人の日本人としては、日本の常識が全てではないと知っておくことは、常識による違和感や辛さを感じた時に助けになるものだと思った。
一方で世界の中の日本という視点で見たときに、日本の教育やそれにより育った人々はかなり特異で唯一無二なのではないかと思う。本書にも書かれていたが、それが日本品質の原動力になっている。だから日本の教育が悪いから世界の標準に合わせようというよりも、特徴は残しつつ時代に合わせて変えるべき部分は変えるという考えの方が良いのかなと思った。具体的には、個々人の幸福を考えると、日本的教育に合わない人の選択肢を充実させるなど。
行き過ぎた解釈かもしれないが、今の日本には徴兵制はないが、実は学校教育自体が、軍隊の代わりとしての日本経済の戦力になる人を養成するために作られていると考えることもできるなと思った。 -
Posted by ブクログ
マレーシアに移住してわかった、日本との違いをいくつかの視点でまとめた本。
小学生ですら、転校をバンバンするマレーシア人。部活のルールは「続けてはいけない」。学校を辞めてもフリースクールが沢山あり、必要なスキルはいくらでも身につく。社会人ですら、合わない会社であれば初日で辞めることも珍しくない。それでも社会は回っているのだ。
一方、日本人はトライ&エラーの経験値が極度に不足している。これは社会が、日本人に対して1つのことをやり続けることを前提にしているから。だから、パワハラ・セクハラに耐え、逃げ場を失い、鬱になる人が続出するのだ。
そんな日本人と日本社会に対して、「辞める」ことの必要性を説いている。日本社会にどっぷり浸かっていては、知るよしもない世界観である。 -
Posted by ブクログ
タイトルから想像していたのは、「自分の海外経験から、海外の人はこういう感じでユルッと生きているのがとてもいいよ~、例えばこんなエピソードだよ~、日本人も参考にしたらいいじゃないかと思うよ~」という内容だったのが、なかなかどうして、様々な本の引用から統計データまであり、しっかりとした文化比較がなされていて、また双方の良し悪しや共通点・差異がしっかり載っている良書だった。
ビジネス目線、教育目線から始まっているのも特徴的。
本書は友人の友人ということだったので何気なく手に取ったものだったが、改めて日常におけるマインドフルネス、アンガーマネジメント、仕事観など再検討させられた。
とりわけ、子供の教育についてはかなり考えさせられる。
我が家で標語のように使い倒されている「1つ1つちゃんとする」ということが、まさに日本の美点でもあり欠点でもある。
ちゃんとする、というのは、職業人としては非常に重要であるし、家庭においても、セルフマネジメントにしても、重要な概念であることは間違いない。
しかし「ちゃんとする」というのを生き方レベルにまで持ち込むと、急激に喉が締められる。
人生の究極目標は、幸せに生きることだ。
子供には、稼ぐとか、迷惑かけないとか、そういったこと以上に、幸せに生き抜いていってほしい。
だからこそ「ちゃんとする」というのを一面的に、押し付けるのではなく、しっかりその背景を把握した上で、適切に使う必要があるなと痛感した。 -
Posted by ブクログ
タイトルから「私のことかも」と思い、思わず手に取ってしまった。
この本にある通り、確かに日本はあらゆる社会システムがしっかりしすぎていて、受け身で生きていやすい。海外に行くと、日本では当たり前のインフラやサービスが得られなくてドギマギすることは多い。
自分で「やめる」ことは、自分で能動的に「選ぶ」こと。私が就活の時、そして今後のキャリアや転職を迷う今、自分の適正や進みたい方向性が分からないのは、自分で「選んできた」(辞めると決めてきたことも含め)経験がとても少ないからなのだろうか。これからの人生、意図的に「やめる」「選ぶ」ことを繰り返していきたい。 -
Posted by ブクログ
多様性のある社会のマインドってこういうことか、と思った。
正解のあるテスト問題を解く教育を受けてきた私たち。
仕事でも子育てでも生き方でも、何が正解なのか、自信持てない時期・タイミングがあったなぁ、ってことを考えさせられる。(今もある)
正解はないんだから、調べた上で、「私はこう思う」なんだろうな。
そして他人の考えについては
Mind your own businessで
他人の選択に口を出さない、ジャッジできることじゃない。
「理解できないとしても、ときには放っておく」が「まあいっか」ってことかな。
子育てにおいても、親が自分の人生楽しむこと!
これからの教育においては、4c(クリティカルシンキング、クリエイティビティ、コミュニケーション、コラボレーション)
「誤謬」ごびゅう、って言葉、初めて知った。
論理のすり替えに惑わされることがなくなる、とのこと。
アドラー心理学を思い出させる部分も多かった。 -
Posted by ブクログ
著者の息子が小学生になったところからマレーシアに長期滞在して10年が経ったところで語るマレーシアと日本の違い。いかに「きちんとしている」日本が息苦しいか、そして世界(少なくともマレーシア)ではその姿勢が受け入れられないのか、そしてなぜマレーシアの人は色々な不都合を「まあいっか」で済ませられるのか、という話。
こういう本はあんまり読むことがないけど、マレーシアに旅行するので、マレーシア、で本を検索したらこの本が出てきて、割とすぐ読めそうだし新しい本、ということもあって読んでみた。そして実際すぐ読める。
日本を相対化する、というのがテーマで、割と思い当たる節も多く、自己嫌悪に陥る、という本。怒っていて不機嫌、っておれもよくやってしまう。余裕がないのが原因なんだろうけど、そもそもなんで余裕がないのか、と言えば、やっぱり人目を気にしすぎているから、というのがあると思う。そして同じレベルで他人も見るし、というのが良くない。さらに本当のおれは時間ギリギリでサボりがちなところもあるけど、教員という職業をやっていると、生徒には時間を、挨拶を、と言って自分のキャラにないことをやっていて、日本の教育の元凶みたいなものをおれが体現してるんじゃないのか、と思う。教員は生徒に見られる仕事だからいつも人目気にするし。というここまで日本式にドップリはまっているおれは、果たして楽に生きられるのかどうかもよく分からないなあ。人生の後半の大きな課題にしたいくらい。
あとはおれが教員なだけに、教育の話が目についてしまうのだけど、孫引きになるが工藤勇一という先生の本で言われている、生徒が「主体性を失って依存心だらけで批判的に育っているから、大人を信頼しないという特性も何とかしなければ」(p.33)という部分は、何とかしなければ、と思うかどうかはともかく、特にネットの時代だからなのか、前半の依存心だらけで批判的、の部分は結構いろんな生徒に当てはまるよな、と思う。「日本の教育は常に与え続けられていく教育形態です。親や先生に面倒を見られていくという形。人はサービスを与え続けられていくと、次第に与えられることに慣れていきます。そして、サービスに不満をいうようになります。しかし、結局は不満を言いながらも与えてもらうことをやめられない。」(p.33)という、本当、教育って与えてナンボ、みたいな感じになっていて、正直疲れる。そう言えば学校へのクレームで「子供には教育かもしれないけど、保護者にはサービス業だろ!」と言ってた親がいた、という話も思い出してしまった。そして最近「就活情報サイト」で「底辺職業ランキング」を載せて批判殺到、というニュースがあったけど、これなんかまさに「『勝ち組・負け組』といった言葉が流行り、他人の職業を『底辺』と呼んだり、恋愛や容姿まで『偏差値』で測ろうとする社会」(p.131)そのものだと思った。こういう社会で生きるのは「自尊心が外部依存」となって「人より有利になることに信じられないほど高い期待」を持ち「他人との比較によって価値が決まる」と思っている人たち、という、なんか本当に嫌な世の中、と思ってしまう。だからこの逆を目指せばいいんだから、自尊心は自分の内部に、有利とか不利とかじゃなくて運の問題として片付ける、他人と比べない、とか?これも人生の大きな目標になりそう。
そして、多様性の理解、というのは教育でよく言うけれど、「実はそれは非常に難しいです。宗教や習慣がまったく違う相手のことは、一生かかっても『理解』できないかもしれません。ですから、できることは、『理解はできないけど、そのままに放っておく。口を出さない』ことです。Mind your own business(略)自分の責任の範囲に集中すること。理解できない他人を必要以上に見ないこと。」(p.178)という、排除でも無関心でもないこの戦略(?)、をもっと教育的なものに変えて伝えることができるかな、と思った。
あとおれはビジネスの話は疎いのだけど、日本企業が日本スタンダードで注文をいろいろつける、というのがいかにナンセンスか、というのがよく分かった。「マラッカ海峡というアジアの物流の中心にあるマレーシアならともかく、アジアの隅っこにある日本が『うるさいお客さん』になることにはなんの国益もない」(p.62)という。確かに。同じように、日本は「『プロダクトアウト』から『マーケットイン』にする必要がある」(p.78)というのも、日本製品の品質の高さ、とか言って満足して喜ぶのは結局日本人だけなのかなあと思った。あとは「ソフトオープン」(p.73)という、とりあえずオープンして後から修正する、という方法が普通にあるというのも新鮮だった。
と、色々書いたけど、じゃあおれはマレーシアで住めるのかというと、そういうことにはならない気もするなあと思った。(23/08/13) -
Posted by ブクログ
この方の本は、終始日本は遅れている、マレーシアはいろいろな教育が選べていいという論調であることははじめに心得た方がよい。
・自分が受けた教育を子どもに押し付けてはならない。
彼(彼女)はあなたとは別の時代に生まれたのだから。
・教育現場が変わらない5つの理由
①親も先生も自分が受けた教育者を基準に考える
②現場の先生も「従来型で教育を受けているので、
新しい「21世紀がた」教育者への理解や移行に時間がかかる
③教師と生徒が「対等」でないと、
「21世紀型」教育は難しい
④日本企業の採用基準
体育会系が人気な日本企業
⑤親や生徒が「大学への最短距離」を目指す傾向がある
・21世紀型の特徴
4つのC
コミュニケーション
コラボレーション
クリエイティビティ
クリティカルシンキング
・オンライン教育に向いているのは
「自走型」で好奇心旺盛、
「学びたい」ことがあるタイプ
孤独に強いなどリモートワークに向いている性質とも近いかも
一方、受動的な教室スタイルを好んだり
仲間と競うことがモチベーションになるタイプも。
生徒の性格や授業内容の特徴によって
使い分けられるのが理想
・誰にでも合う完全な教育は存在しない