落合恵子のレビュー一覧
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ネタバレ涙なくしては読めなかった。
著者の人生もさることながら、著者のおかあさまも随分苦労続きの人生だったこと。
早くに父を亡くし四人姉妹の長女として母の右腕としてだれにも甘えられずひたすら働きつづけ、そして多分初めて甘えられる好きな男性と恋に落ちた。その結果、未婚で子ども(著者)をどうしても産みたくて産んだ。そのことを誰が責められよう。
それからも、地域の差別的な環境の中、味方であってほしい自分の母親とも(著者にとっては祖母)考え方が合わず、それでも妹たちの学費のためとすごい張り詰めてぎりぎりがんばってきて、とうとう神経を病んでしまう。それを誰が責められよう。
救いだったのは著者がそうであるように、 -
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ネタバレ【母と娘の血縁と解放】
語りての冬子が認知症になった母を介護しているシーンから始まり、
半ば、7年にわたる介護を終えますが、
自身の人生の終わりを意識した終わりにいたるまで、
母の生き様が冬子の生き方の土台にあるような、
そんなお話でした。
フィクションですが、著者の体験記的小説となっているようです。
・・・
シングルマザーとして冬子を育ててきた母。
神経症を患いながらも、一人娘を育て上げる。
冬子は10代から、母とは一定の距離を置き生きてきていた。
22歳で新卒で入った出版社を31歳まで勤めたのち、独立し、絵本書店「ひろば」を始める。
そして今は自分が母の世話をする。
子どものような無垢 -
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雑誌のフリーライター香川美沙子は、セクシャルハラスメントの被害者を取材する。だが、上司のごり押しで被害者の意思に反するキャンプションをつけられ、被害者を傷つけることになってしまった。
家庭内での性暴力に苦しむ女の子は、悲しい願いを手紙に書き続ける。
美沙子は、家庭内での性暴力の被害者が義理の父を刺してしまった事件の取材をする。
美沙子の友人でニュースキャスターの高木典子は、セクシャルハラスメントなどの報道ではより力が入る。典子は、人知れず家庭内での性暴力にあった過去に苦しんでいた。
ーー被害が一度ではとどまらず、それを告発する過程で、社会から再びレイプ、つまり人権侵害を受けること、これが「セ -
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「あの男」を裁く! 女は訴え、闘い、傷つき、多くを失った。あなたなら、その時どうする? ーー沈黙を守ることは、犯人と共犯になってしまう……
最後の誇りが、矢萩路子を告訴に踏み切らせた。
襲った犯人はすぐ割れたが、男は和姦を主張。事件は裁判に持ち込まれた。
被害者であるのに過去を暴かれ、好奇の目に晒され、路子は職場を、恋人を、ささやかな日々を失った。強者の論理、レイプを告発する問題作。
レイプという性犯罪は、肉体だけでなく自尊心や魂を傷つけ、警察での事情聴取では事件当時の行動や服装や過去の男性関係や学費を稼ぐためにしていたホステスの経験や中絶したことを「被害者の処女性を証明するため」という名目 -
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読んだのは二度目だと思う。たぶん。
有名人、著名人、文化人の手による肉親の介護&看取りの実録本の類いは少なくなく、いずれも「表現のプロ」の手に掛かればどれもそれぞれ興味深く読むことが出来る。しかしこの著者の書には、やはり彼女ならではの個性というか、感性が滲み出ているように思えた。独特の詩情、とでもいうのだろうか。
考えてみれば、今の僕より若い当時から、今の僕の母より若い母親を自宅で、しかも仕事を続けながら介護し、看取ったという、大変な体験談。同じ環境で在宅の看護に携わる全ての「同志」たちへの強力なエールとなり、バイブルとなったであろうこと、想像に難くない。
肉親を在宅で介護する人にとっては、年 -
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元気なほうのわたし、
いつものわたしこそ、
無理をして作っている、
わたしなのかもしれない。
水底に落ちたわたしも、
そこから浮上するわたしも、
元気なわたしも、すべてわたしだ、
と最近は考えるようにしている。
(落合恵子/作家
『自分を抱きしめてあげたい日に』より)
* * *
いつも元気でいたいけど
へこんでしまうこともある
いつも笑顔でいたいけど
気難しい顔のときもある
いつも自分らしくいたいけど
肩に力がはいることもある
へこんでいる わたし
気難しい わたし
肩に力がはいる わたし
それは きっと
がんばっている証拠
がんばっているから
傷つくし 考えすぎるし
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落合恵子さんは様々な視点から、意図せずに社会の中心からはず
れ、周辺から声なき声を上げいる人々を支援し続けているのだと
思う。勝ち組、強者、自己責任などが声高に叫ばれていた時代に
も、常にマイノリティーを声を代弁してきた。
本書の全体に多くの分野で声を上げてきた方たちの生き方、考え
方を伝えています。詩、歌、著作の紹介も多く取り上げられ、主
流ではないかも知れないが、確固たる意思を持って、静かに力強
く生きてきた方たちの声が聞こえてきます。
エミリ・ディキンソンの詩の一文が紹介されていました。
人のこころがこわれるのをとめられるのなら
"私が生きることは無駄ではない&qu