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いじめによる子どもの自殺が後を絶たない.生い立ちゆえにいじめや無視とたたかう日々のなかで,落合さんを支えたのは,母の温かな眼差しだった.「今度は,私がだれかを見守る番」と,自身の体験をふまえながら崖っぷちの今を必死に生きる若者たちに「生き急がないで」と熱く語りかける.
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Posted by ブクログ
落合恵子の自伝小説。 若い人の恋の情熱ってすごいな、とつくづく思った。 若い人というのは落合恵子の母なのだが。 20代でかなり年上の妻子持ちの男と恋愛をし、妊娠して、一人で産み育てることを決意する。1945年の日本は、今よりもずっと婚外子に厳しく、産んだ女はもとより、親を選んで産まれた訳ではない...続きを読む子どもでもひどい差別を受けるのは当然という時代だった。それをわかっていながら産んだのは、相手の男を本当に愛していたからだと、娘に話す。経済的に困窮し、精神を病みながらも、男を恨んだり、憎んだりはしない。(したかもしれないが、誰にも言わなかった。) その男が素晴らしい男だったから、というより、激しい恋愛をし、別れざるを得なかったというドラマチックな経験が、その思いを支えていたのではないかと、意地の悪い私はおもうのである。 もし、妻と別れて結婚していたら大した男じゃないと気付いたかもしれない。妻子がありながら、年取った立派な社会人でありながら若い女と恋愛する男の身勝手さと浅はかさに気付いたかもしれない。 でも、それがなかったために、死ぬまで素晴らしい男であったと慕いながら死ねた。 また、娘がそれを信じて、共感してくれたことは、どんなに救いになったことだろう。 もしかして、そんな母を疑問に思い、母と離れて生きるようになっていたら、落合さんとお母さんは全く違う人生を歩んだかもしれない。しかし、母と実際に送った人生が本当にいいものであったと落合さんが思っているのだから、これでいいのだろう。 お母さんは、恋に生き、娘に愛された。それが得られない人生が世の中にはたくさんある。その点では幸せだったと思う。 しかし、個人的には、母を批判したり否定したりする水村美苗の『母の遺産』や、その母の『高台にある家』の方がずっとしっくり来るのである。 もちろん、こちらがしっくりくる人もたくさんいるとは思うが。
涙なくしては読めなかった。 著者の人生もさることながら、著者のおかあさまも随分苦労続きの人生だったこと。 早くに父を亡くし四人姉妹の長女として母の右腕としてだれにも甘えられずひたすら働きつづけ、そして多分初めて甘えられる好きな男性と恋に落ちた。その結果、未婚で子ども(著者)をどうしても産みたくて産ん...続きを読むだ。そのことを誰が責められよう。 それからも、地域の差別的な環境の中、味方であってほしい自分の母親とも(著者にとっては祖母)考え方が合わず、それでも妹たちの学費のためとすごい張り詰めてぎりぎりがんばってきて、とうとう神経を病んでしまう。それを誰が責められよう。 救いだったのは著者がそうであるように、とても聡明でリベラルな考えの持ち主だったこと。(だからこそ生き辛かったのかもしれないが…。) そしてその資質を受け継いだ素晴らしい娘(著者)を授かったこと。 その娘に七年の在宅介護の末、見取られて晩年はきっと 心安らかだったに違いない。 著者の自伝、”あなたの庭ではあそばない”をまた読みたくなった。 あと落合さんの高校時代のあだ名が”金太郎”ってのも意外だった。
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