互いに大事な存在を喪った警察犬と警官の出会い。
警察犬マギーの感覚が伝わる表現で、胸が熱くなる物語です。
アフガニスタンの海兵隊で、爆発物探知犬だったマギー。
ハンドラー(指導手)のピートが撃たれ、かばって被弾したマギーはアメリカに戻っています。
大きな音に怯えるため、警察犬としては無理だろうと思
...続きを読むわれていましたが…
スコット・ジェイムズは、ロサンゼルス市警の巡査。
銃撃事件に遭遇して相棒を亡くし、自らも重傷を負いました。
復帰後に警察犬隊を志望したのは、人間の相棒の悲痛な叫びを忘れられなかったため…
9か月後、マギーに出会って、コンビを組むことにします。
警察犬隊の主任指導官リーランドは、犬にかけては凄腕で知らないことはない。
心と体に傷を負い、警察犬隊にはあまり向いていないかもしれない犬と人に、もしかしたらと期待をかけます。
犬につけるリードとは、ただ人間が命令を伝えるものではなく、犬と人間が双方向で様々な感情を伝え合うものなのだとか。
マギーが人間とは桁違いの匂いを細やかに嗅ぎ分け、様々な状況を賢い犬なりの価値観で見抜いて判断していく様子がリアルに、ありありと描かれます。
ハンドラーのピートだけが大事な仲間で、彼を守り喜ばせるために生きていたマギー。
(もう、たまりません…)
初心者でぎこちないスコットの誠意を受け止め、新たなパートナーへと絆を深めていくのです。
スコットの事件は9か月たっても未解決でしたが、これも捜査官が変わり、動き出します。
スコットの記憶の切れ端や、現場に行ってみたマギーの反応など、わずかな兆候からも進展が見えてくる。
盛り上がる結末にも満足感がありました。
2013年の作品。
ロバート・クレイスは、2010年にMWA生涯功労賞を受賞しています。