渡辺京二のレビュー一覧
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近代化・西洋化に伴い滅んだ「日本の文明」を、幕末・明治期の外国人の訪日記から考察。
外国人が驚愕・混乱・嘲笑・嫌悪・称讃する当時の「日本の文明」は、2026年現在を生きるわたしにとっても驚きばかり。せこくて、だらしなくて、だが正直で自由——かつての日本人の生き方が少し羨ましくなった。
著者は公平な立場から各記録を引用し、意見を述べているようだが、あまりに的外れと思しき箇所については辛辣www
小泉八雲&セツ夫妻をモデルにした朝ドラ『ばけばけ』(ふじきみつ彦, 2025〜2026)が放送されている現在。個人的にはタイムリーな読書となったが、八雲は特殊すぎるのか本書では全く引用されず -
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ファンタジーが好きならば呼んでおけと友人がお勧めしてくれました。
渡辺京二さん。初耳です。
もう亡くなられていますが、80歳を過ぎて講演で話した内容を書き起こした物のようです。口語体で書かれているので話しかけられてる風です。
ファンタジーの王道、ナルニア物語、指輪物語、ゲド戦記等等の著者や当時の時代背景、友人関係、作品の紹介などなどとにかく情報が多い。
最初CSルイスの生涯から始まるのですが、ナルニア物語を私は読んだことがないので作品の紹介を少し触ったところで一端読み飛ばして次の章へ(ネタバレ好まない、さらの状態で読書は楽しみたい派です)トールキンも彼の紹介はすっかり読んで、指輪物語の章 -
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幕末から明治初期にかけて日本をおとずれた外国人の印象記を渉猟し、それらの記録で語られている、現在はうしなわれた「文明」について論じている本です。
著者は日本人の歴史研究者のなかに、サイードの「オリエンタリズム」の考えかたを流用して、江戸時代の日本および日本人を称賛する外国人のことばを否認する傾向が見られることを指摘し、それを批判します。たしかに、そうした賞賛のことばをひっくり返して否定しさえすれば、日本の伝統の「本質」が把握されると考えるのはまちがっています。
しかしその一方で著者は、「私の関心は自分の「祖国」を誇ることにはなかった」といい、「私は現代を相対化するためのひとつの参照枠を提出 -
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開国後に訪日した外国人の書き記した文献や絵画から当時の日本を眺めることができます。
現代の日本人はストレス過多で、人の目を気にして自分の気持ちを押し殺しながら日々の糧のために生きていると感じているのですが、
この本に書かれた日本人は愛嬌があり寛容で働きながらも祭りや季節の行事を楽しんでいて、何やら違う民族の話を聞いてるような感覚になります。
けれども、本来そう言った気質があったということは、現代日本人にも素質はあるのではないか?と希望を見出せるのではないでしょうか。
困難なことでもその中から独特な発想で解決を導き出したり、遊びが好きな気質などがそれに当たるかと。
昔に戻ることはできませんが、 -
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著者の五つの講演をもとにした文章を収録しています。
日本における近代的な国民国家の成立は、中国の女性革命家である秋瑾を讃嘆させました。しかしこのことは、近代以前の民衆がそのなかに根を下ろしていたはずの、イリイチ的にいえばコンヴィヴィアルな活動が、国民国家という枠組みのもとで再編成されたということを意味しています。著者は、近代につきまとうこのような二面性の双方を見わたして、現代を生きるわれわれが直面している問題の輪郭をえがき出そうと試みています。
また本書には、著者のフランス革命にかんする考察と、大佛次郎にかんする考察が含まれています。著者が大佛次郎賞を受賞したことを契機として、『ドレフュス -
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本書はエッセイ集であるが、不思議な感覚を持った本だった。
「あとがき」に、この本の成り立ちが書かれているが、筆者がインタビューを受けたものを文章に起こして新書化したもののようである。インタビューがベースになっているので、書いてあることが「軽い」感じがする。また、筆者が「自分の話したいことを話す」ということで出来ていると思うが、従って、テーマが割と広範にわたる。
全部で6章の構成となっている。1章は、筆者の生い立ち。2章はどちらかと言えば「年寄りの繰り言」的な話。3章は幸福論とでも言うべきもの。4章は江戸時代、5章は国民国家についての内容。最後の6章は「無名のまま生きたい」という題名であり、本書 -
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ネタバレ「近代とは何だったのか」をテーマに、日本や世界の近代化を問い直している。一般に、近代がわれわれにもたらしたものは人権・平等・自由の三点に漸くされる。しかし、江戸時代においても無秩序状態というわけではなく、その時代に即した人権のとらえかたがあり、前近代社会よりも一面では近代社会のほうがキュウクツで、江戸時代にもそれなりの平等はあったことなどを興味深い内容だった。
筆者が考える近代の恩恵は「衣食住の豊かさ」である。フリーな市場経済の世界化が衣食住の貧困を克服させた。その大小として2つの近代の呪いを人類は背負い込むことになったという。ひとつはインターステイトシステムであり、もうひとつは世界の人工化 -
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渡辺京二氏が、来し方を振り返り、人生について語った一冊。氏の立ち位置は、従来の「右か左か」という見方では、まことにとらえにくいものだ。それが一番よく表れているのが、5「国家への義理」の章だろう。
著者は、「ナショナリズムからの卒業こそ戦後最大の成果」とし、「この一点はしっかりと保持していかなくてはならない」とする。その上で、人は社会の中でしか生きられない(というより「人」になれない)のであり、家族・友・隣近所・同僚…と、共に生きる人たちが同心円状に広がるその最後に「国民国家」がある以上、「自分はそれとは無関係だ」という態度はとれない、と考えるのだ。
「ですから、土壇場ではその仲間たちと運命