渡辺京二のレビュー一覧

  • 逝きし世の面影

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    既に失われた明治以前の日本人の暮らし向きや価値観を、当時の日本を訪れた外国人の手記・著書から紐解く。
    今となってはいかに西洋由来の価値観が日本の日常に浸透しているかを自覚できる。ナショナリストが唱える「日本人らしさ」が空虚に響くほど、本書が紹介する失われた時代の営みは日本人の自分にも驚きを与えてくれる。

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    2020年06月05日
  • 逝きし世の面影

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    半七捕物帳の時代の副読本として読む。
    本書は江戸後期から明治初期に日本を訪れた外国人による日本訪問の記録を集めて、近代化以前の日本の面影を描写してみようという試みである。
    この手の「日本」をテーマにし、良き点を書いた本は、どうしても左翼知識人からはオリエンタリズムに過ぎないと批判され、自国の文化を誇らしいと思いたい右翼に賞賛される。しかし、あくまで近代化によって消滅した文明を描くことで現代の参照にしたいという興味であって、それらの議論には興味がないという宣言をしている。第一章はこの立場表明に費やされている。
    この第一章が難関で、今まで何度か断念していた。
    あとは読みやすく、興味ある項目から拾い

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    2020年05月19日
  • 逝きし世の面影

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    幕末から明治期に訪日した外国人たちの日本に関する記述から当時の日本・日本人を考察する一冊。

    私自身は留学経験があり、個人旅行や出張で海外に滞在することも多く、意外とどこでも楽しく過ごせるんだけれど、それって個人の素質・向き不向きがあるんだと思う。どちらが良いとか悪いとかではなくて。慣れている場所以外では楽しめないっていう友達もいるし。
    あと、その滞在国に合う合わないもある。ある国の国民全体で似た性質を分け合うなんてあるわけないと昔は思っていたけれど、これまでフランス、ベルギー、オランダ系の企業で働いてきて「国民性」ってあるんだなと実感している。私はラテン系の国のほうがなんとなく肌に合う。

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    2020年04月23日
  • 無名の人生

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    「人間死ぬから、面白い」とは、言わなかったけど、
    そういう本になってしまったという京二さん。

    そう簡単に人生が進むわけもなく、
    そう安楽に人生が終わるわけでもないことを、
    渡辺さんはよくご存じだ。

    自分の人生に主人公でいたい、というのは、
    とても共感する。
    たいした人生でも、たいした人間でもないけれど、
    自分が感じる小さなうれしさを大事にしながら、
    天寿を全うできたら、と思う。

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    2020年02月12日
  • 逝きし世の面影

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    今の常識が過去の常識ではない。ここ数十年の話に過ぎないことも昔からのことに思っていることが多い。
    そういうことを痛感させられる。

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    2020年01月24日
  • 逝きし世の面影

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    江戸時代の日本を訪日した外国人の視点で文化、文明を紐解いていく。
    失われたものは何であったのか?そして残されたものは何であるのか?
    あらためて考えさせる一冊。

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    2019年11月23日
  • 幻影の明治

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    詩の定義とは何だろう。
    手元の辞書には、「自然や人事について起こる感動などを圧縮した形で表現した文学。……」新選国語辞典、とある。
    そして、よく悩んだのが長恨歌だ。
    これは、お話ではないの? と、はじめは悩んだ。詩って、何だろう。まあ、定義にこだわる必要はないんだと思い直しもしたけれど。
    それでも「詩的な」という表現は、なにやら、美しいものがあることを想起させられる。
    的確で、簡潔でいて、美しく感じる文章、それを「詩」だと思う。

    本書の中の、「鑑三に試問されて」を読んでいて、まさに、これは詩ではなかろうか、という思いにとらわれた。

    一杯の粥によって始まる朝の穏やかな浄福に浸されるとき、人は

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    2019年02月11日
  • 近代の呪い

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    渡辺京二さんが、熊本大学で講演されたものが新書となった作品である。
    第1話 近代と国民国家――自立的民衆世界が消えた
    第2話 西洋化としての近代――岡倉天心は正しかったか
    第3話――フランス革命再考――近代の幕はあがったのか
    第4話――近代のふたつの呪い――近代とは何だったのか
    つけたり
     大佛次郎のふたつの魂
      私の大佛次郎/『ドレフェス事件』
      『ブゥラウンジェ将軍の悲劇』/『パナマ事件』から
      『パリ燃ゆ』へ
      パリ・コミューン――民衆の共同世界という夢/保守
      の情念の目覚め
      進歩と伝統が共存する魂/大佛次郎作品の今日的意義
    でした。
    近代・近代化・フランス革命等々、今ま

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    2019年01月10日
  • バテレンの世紀

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    冒頭、日本の視点ではなくポルトガルの視点から展開されていくのがとてもよかった。どのようにして日本にたどり着くのか、自分が苦難のなか、冒険していく気分になった。

    親から勧められて手にしたが、キリスト教は嫌いなのでしぶしぶ読み始めた。しかし、日本での話になると「この人キリスト教が嫌いなんだろうなあ」と思わせる記述が随所にあり、想像したものと反対にすらすら読めた。

    為政者がはっきり判断を示さず、忖度を期待するところは現在と変わらないと感じた。司祭たちはさぞ困ったことだろう。そこは同情する。

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    2018年04月18日
  • 近代の呪い

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    ネタバレ

    国民国家の成立以来、つまり近代化以来、
    国民は自立性を喪っていっているとする論考など、
    現代を見つめるために役立つ、
    近代というものを教えてくれる本。

    熊本大学での講義を書籍化したもので、
    ・近代と国民国家
    ・西洋化としての近代
    ・フランス革命再考
    ・近代のふたつの呪い
    の4話と、
    大佛次郎賞を受賞したときの講演
    ・大佛次郎のふたつの魂
    の五つの章からなる新書です。

    民衆と市民の違いとはなにか。
    僕はEテレ「100分de名著」という番組の
    ハンナ・アーレントの回で
    解説の仲正昌樹さんが平易に説明してくれていたことで
    その違いを知ったのですが、
    本書ではそのあたりももう少し深く、
    近代と結び

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    2019年09月30日
  • 無名の人生

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    タイトルに惹かれて購入。
    作者のことは全く知らないので、前半の作者の生い立ちの話は正直退屈だった。
    中盤の江戸時代の考察がすごく面白かった。
    「説教がましいなぁ」と思うとこや、「そういう視点もあるかぁ」と思うとこが代わる代わる出て来る。ユーモアもあって吹き出すとこもあった。あとがきでは編集者に言いくるめられて作ったみたいなことも書いてあり、いいわけがましいところが人間臭くて作者が好きになった。

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    2017年11月01日
  • 無名の人生

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    今の世の中を相対的に見る、その対比の一つとして江戸の暮らしというものを、懐古趣味ではなくフラットに見れば良いのだろう、明治維新賛歌は少し見直したほうがいい。

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    2017年09月24日
  • 近代の呪い

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    15/5/28 明通寺読書会 若泉さん担当の本です 渡辺京二 著 フランス革命など視点が違っておもしろい

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    2015年05月28日
  • 無名の人生

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    80歳を超えて、なお文筆活動をこなす著者が目の前に控える死を意識いながら、語る人生訓。戦後すぐの混乱期をを生きてきた人間の芯の強さが詰まっている。平和な時代だけを過ごした人たちにはなかなか達観できない境地だ。

    著者のスタンスは、昔は皆が思うほど悪くないということ。といって、「最近の若いものは…」という結論ではない。古い時代、新しい時代、それぞれの良さを認め、到達した結論は「人間、死ぬから面白い」だ。

    死があるから、生が輝き、生に喜びを感じ、生に執着する。生きてさえいれば、成功とか出世とかどうでもいいと、著者は語る。

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    2015年06月02日
  • 無名の人生

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    隠者の風のある評論家がその生き様を語ったもの。著者は幼少期から京都、大連、熊本などを点々とし、老いて後、娘夫妻の家に身を寄せるまで借家ぐらしの流転の人生を歩みます。

    心情的にどこにも属さない、あるいは故郷なるものを持たないそのマージナルな生きざまは、まさしく知識人の原点に沿ったものといえるでしょう。(サイードが"知識人とは何か"で語る知識人像をこの人が体現しているように思えます)

    「成功」「出世」「自己実現」などくだらない、出世とは嫌々するもの、などシニカルな世界観が染みます。


    ○だいたい部長になるのとヒラのままでいるのと、給料にどれほどの違いがあるというのか。大し

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    2014年11月23日
  • 無名の人生

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    そのままでいいのです
    渡辺京二さんの著作にふれるたびに
    なんども うんうん
    これでいいのだ
    と うなづいている自分に気付く

    ことさら
    難しい理屈が言われているわけではない
    でも
    ついつい人が陥りがちなちょっとした奢りを
    鋭く指摘される

    私たちのDNAにもきっと
    潜んでいるであろう
    きちんと まっとうに 生きてきた人
    を 改めて意識させてもらえる

    「心のあり方」の民芸復興運動のような一冊です

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    2014年09月08日
  • 近代の呪い

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    熊本大学での講演が中心で、そのため非常に読みやすい。もし講演を実際に聴いていたら、一生懸命メモをとっただろう。実は、まるで学生のように、本に線を引いて、簡単なレジメを作ってしまった。なんというか「お勉強心」が刺激される。

    「近代」の両義性についての著者の考えが、かみ砕いて語られている。「近代化とは何か」というテーマは、決して議論されつくしたわけではないとあらためて感じた。自分がいかに無意識に、通説的な歴史観の枠組み内でものを考えているかということを痛感する。

    アカデミズムとは距離を置いてきた著者ならではの、射程の長い考察で、もっと突っ込んだ話を聞きたくなる。もう八十歳をこえられたそうだが、

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    2014年02月07日
  • 近代の呪い

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    ネタバレ

    おどろおどろしいタイトルではあるが、講演録なので内容は平易である。
    近代とはどういう時代であったか?
    それは市場経済が世界化することによって始まり、かつてない衣食住の向上(ゆたかさ)を人類にもたらした。
    しかし、それが皮肉にも「ふたつの呪い」に転化していく。
    一つ目。ゆたかさをインターステイトシステムのなかで維持していくためには、強力な国民国家(民族国家)づくりが必要だった。その結果、民衆世界の自立性は解体され、民衆は教育された「国民」として国家に拘束されていった。
    二つ目。急激な経済成長と人間中心主義を前提とする近代科学は、自然を資源として収奪し、自然と切り離された生活世界の人工化=カプセル

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    2013年12月23日
  • 近代の呪い

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    「近代」とは何かを根源的に問い続けている著者の講演録。講演録なので、平易な言葉で語られており、読みやすい。近代の成果は人々を豊かにし幸福にしたが、それによって「インターステイトシステム」と「世界の人工化」という2つの呪いに呪縛されているというのが、著者の歴史観。そこから脱却していくために生活のゆたかさの意味を新しく位置づける必要を説いてる。その際のキーワードは、「自立的民衆世界」=“人が人らしく生きうる共同社会”の探究である。

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    2013年11月11日
  • 逝きし世の面影

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    ヤマザキマリの望遠ニッポン見聞録の参考文献だったのんで読む。◆MMの登録ユーザー数が200越で吃驚。

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    2020年07月27日