磯崎憲一郎のレビュー一覧

  • 終の住処
    目次
    ・終の住処
    ・ペナント

    芥川受賞作にはあまりご縁がないが、間取り好き、住宅好きの私としては、素通りできないタイトル。
    しかし、思っていたのと違った。
    まあ、芥川受賞作ということを考えれば、こっちが正統か。

    30歳を過ぎて結婚した男の、妻とのままならぬ結婚生活を描いたもの。
    お互い20代の時...続きを読む
  • 終の住処
    感想
    重なり合う複数の可能性。選択することは捨てること。ああなりたかった、こうしたかった。そんな感慨は後になって湧いてくる。袋小路へ歩いていく。
  • 「利他」とは何か
    「利他」について5人が違うアプローチで切り込んでくる。「利他」を推奨するような本なのかと思っていたが、純粋に「利他」を科学している内容で、これはこれで大変興味深い。仏教的なアプローチはありそうだが、言語的なアプローチなど思いもしなかった。能動でも受動でも無い「中動態」も考えさせられる内容だった。おす...続きを読む
  • 「利他」とは何か
    利他: うつわになること。意図的な行為ではなく人知を超えたオートマティカルなものであり、そこに利他が宿る。
  • 「利他」とは何か
    専門が異なる著者らの視点から「利他」を考察する。利他は主義にすると怖い。なぜって「私の思い込み」でやったことが、結果的に他者の助けになれば「利他」だろうが、時として「余計なお世話」にも「押しつけ」にもなる。自分の思いを正当化して、相手の言葉や反応にほとんど耳を傾けず、独善的な「支配」でしかなかったと...続きを読む
  • 「利他」とは何か
    「器」のような人に自分はなれるだろうか?

    人間は意志の保有者ではなく、思考が留まる「場所」なのだということ。自分が人生に対して抱いている不可抗力的な恐ろしさの断片を言語化してくれているように感じた。
  • 「利他」とは何か
    「利他」とは何か。
    タイトル通り、利他的であることについて様々な観点から論ずる。本質的に絶対の利他は存在しうるのか、利己的な利他の点から。あるいは、利他はどこからやってくるのか。利他を民藝の観点から。意思を超えた中動態から利他を考える。そして、小説ははたして作者のものなのかという点から利他を考える。...続きを読む
  • 「利他」とは何か
    「利他」の対義語は「利己」だが、両者はメビウスの輪のような関係性。
    この世界の全てを「利己」と「利他」に分けたら、98%が「利己」で、残りの2%が「利他」、そのくらい利他というものは貴重。
    「情けは人のためならず」という諺は、利他ではなく利己を表している典型的なものだと思う。ボランティアも同様。愛も...続きを読む
  • 「利他」とは何か
    最大多数の最大幸福を意識した利他の考え方…同じお金があるなら、なるべく効果的に使おうとする考え方が新鮮。

    贈与は支配に容易につながりうる(pityが伴う)という点が印象的だった。

    第3.4章は哲学的で私の理解が追いつかず…
  • 「利他」とは何か
     「利他」の気持ちは、見返りも期待せずに、自然と沸き起こるもの。
     このことを仏教、ギリシア語、民藝、小説の作家法などの多様な観点から各論者が主張している。いわば「決定論」であり、自由意思否定論が根底にあると思われる。この意味でも、とても興味深かった。
  • 「利他」とは何か
    思ってたんとちがう。

    読後に感じたこの違和感は、この本がそれだけ私に価値ある一冊だったことを物語ります。なぜそう感じたのか、お話します。

    この本は、東京工業大学内にある、人文科学の「未来の人類研究センター」に集まった5人の研究者による合作本です。
    様々なキャリア、視点から、「利他とは何なのか」と...続きを読む
  • 「利他」とは何か
    善とは利他のことではないかと常々考えていたところにぴったりの名前の本を見つけたと思い読んでみた。目論見は外れたものの、著者ごとの角度から面白い知見を得られた。特に國分氏の古代ギリシャには意思がないというのは興味深く、人間に自由意志はないとする話を思い出した。
  • 「利他」とは何か
    利他とは?を、異なるバックグラウンドの複数人の観点から追求した結果、様々な料理や素材を受け止めるような「うつわ」であると結論づける本。個人的には自分と他人を一体として捉えた自然への同化と解釈した。
  • 「利他」とは何か
    4人それぞれの「利他」についての考察が書かれていた。わかったようなところと難しいなぁと思うところがあったが、「利他」を考えるきっかけになった。
  • 「利他」とは何か
    昨年NHKの番組でジャック・アタリ氏が発した「利他主義とは合理的な利己主義」という言葉に私もとても共感したのだけど、この東工大の研究会のメンバーがまた豪華だし、とても面白かった。特に伊藤さん、中島さん、若松さんの章はわかりやすいし読んでいて膝を打つことが多かった。
    放送直後にもこのジャック・アタリ氏...続きを読む
  • 終の住処
    改行ならぬ非改行と句読点の使いかたが文芸ふうだが
    お話の素材が絵本とかにあるような寓話の
    現代家庭持つ夫版であるところの文芸てきなるところの分には負ける
    ヒロカネ先生というよりその奥様の作風に題材は近いと思うが
    文芸としての仕立て上げに隙がないのだから良い出来なのだろう
  • 鳥獣戯画
    あまりに過去に読んだことがない種の小説で、感想が書けませんでした。
    幸い買って所有している本なので、近々もう一度読んでみたいです。
  • 電車道(新潮文庫)
    ガルシアマルケスまがいの文体は、よっぽどセンスのよい著者でない限り、避けるのが無難だろう。この人はセンスがそこまでよくないので、やめておいた方がよい。結構しんどかった。
    100年くらいに渡る年代記みたいな体裁のお話はすごく好きなので、楽しく読めた。特に、ニュータウンが出来ていくあたりが好き。自分はロ...続きを読む
  • 赤の他人の瓜二つ
    筋が追いにくいという人もいるが、私はそんなことは無く、読みやすかった。時間がふわっと流れている独特の世界観、雰囲気を感じる小説。もっとこの著者の本を読みたいと思う。
  • 終の住処
    ラテンアメリカ文学の影響を受けたという作者の作品。表題作も併録の「ペナント」も、異質な、重層的で、異空間な作風。「ペナント」に関しては全く理解できなかった。
    多分「終の住処」に関してもそれほど理解は出来ていないのだと思う。とにかく一文が長く、それこそ海外文学の影響を受けた様で、文章も読みやすくは無い...続きを読む