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血のつながっていない、赤の他人が瓜二つ。そんなのはどこにでもよくある話だ。しかしそう口にしてみたところで、それがじっさいに血のつながりのないことを何ら保証するものでもない。――私が初めてその男と会ったとき、そんな自問自答が思い浮かんだ。それほど男は私にそっくりだった、まるで記憶の中の自分の顔を見ているかのようだった。
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Posted by ブクログ
この人の書く本には常に、何というか骨子というか主張というか「言いたい事」と言う物が一つあって、そんな事を言えばどんな作家だってそうなのかもしれないが、そういうレベルでは無く、もっと明文化された「本論の骨子を一行で書け」とか言う試験問題の答えの様に、シンプルに削ぎ落とされた物を構築してから書き始めてる...続きを読むんじゃないかと思わされる。それ程ゴツイ鼻筋が通っている。 「赤の他人に、、、」もそうで、タイトルに表される主題ー置き換えの効かない自分の人生と実は誰でも良かったんじゃないかと言う実感ーを表す為に、主人公の想像と話中の現実の境目がどんどん曖昧なって行く。 どこに連れていかれるか分からないという評が帯に書かれていたがまさにその通りで、読後に平衡感覚を失う様な気分になる。
意識の波のようなものを感じた。語り手はどんどん移り変わり、過ぎていく。個々の意識など瑣末なことだと言わんばかりに、人類全体を包む大きな波の中で、たゆたう感覚。 コロンブスの話の後に出てくるチョコレート工場で働き始めた青年が、冒頭の兄妹の兄の方と同じ人物であるとは言い切れない。さらにそれは、妹や両親に...続きを読むいたっても同じことが言える。イコールであると同時にノットイコールなのだ。どちらであっても同じことで、大きな意識の流れの中で、それを区別することは出来ない。 瓜二つの顔、瓜二つの人生、瓜二つの意識。「人間」という一括りの存在として、死ぬことも生きることも、大きな円環の中を巡り巡っているように感じる。 美しい文章、いい小説だった。磯崎憲一郎の言葉に対する感性は好きだ。
筋が追いにくいという人もいるが、私はそんなことは無く、読みやすかった。時間がふわっと流れている独特の世界観、雰囲気を感じる小説。もっとこの著者の本を読みたいと思う。
不思議な構成のお話であった。 一本の線上を順番に歩いているつもりが、 いつの間にかメビウスの帯に絡め取られていた感じがする。 優しく読みやすい文章でスラスラ読める。 こういう玄人っぽい作品、ダメな人はダメだろうな。 2011 年 第 21 回 Bunkamura ドゥマゴ文学賞受賞作品(辻原登氏選...続きを読む考)。
時間の流れを自在に操る文章に引き込まれました。 ただ、この作品にはハッキリした落ちは必要なかったと思います。 それ以外は星5です。
人格と時間が口の中のチョコレートのように溶けていく、読書でした。昭和のある時期のフレーバーを濃厚に吸い込みました。
ずっと磯崎憲一郎の作品は読みたいな、と思いながら、読んでいなかった。これが初めて手につけた作品ていうことになる。のだけれども、予想以上に読みやすく、そして、面白かった。他のも読んでみようかしら。(12/2/13)
カカオとチョコレートの起源についてお勉強になりました。又戦後から昭和30年代の往時の労働者たちの暮らしぶりもリアルでした・・・がッ・・・・テーマも読者に伝えたいことも・・・よく解りませんでした。私の見識の浅薄さかもしれません・・・? 読後感=・・・そういえば、うちの父親も似た様な暮らしぶりだったな...続きを読む・・
読んでいて面白かった。 え、どうなってるの?って思いながらも テンポよく目の前の文字を追っているうちに 読み終えてしまった感じ。 赤の他人の瓜二つというタイトルは 生きている人がもつ共通意識のことか?と思う。 私も死を迎える時、他の人とつながって生きていたことを 実感できるだろうか。
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赤の他人の瓜二つ
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磯崎憲一郎
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