備瀬哲弘のレビュー一覧
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一般的な診療の例や著者の研修生時代の話を通して、精神科医療がどのようなものなのか、またどうあるべきなのかなどがさくっと述べられている。
読んでいて一番印象に残ったのが「麦茶」。
母と息子が共に統合失調症を患いながらも2人だけで生活しているところへ訪問する保健婦に著者が付いて行ったときの話だったが、本文にもある通りこのような生活をしている人がいることを忘れてはいけないと思った。
本の後半の方では震災についても述べられている。
精神に抱えている問題は、医師や社会制度に支えてもらいながら自分で何とかしていかなければならないものなので、この本に書かれている個々の患者の例に単純明快な解決策が示され -
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事例をたくさん挙げることで精神科の実状を把握してもらおうとしている。実際、どの事例も短く易しい語り口で書かれていることもあり、ひじょうに読みやすかった。
一番に思ったことは、全事例を通してやはり家庭環境が精神症状の発症を大きく左右するということ…。家庭環境の負の連鎖の恐ろしさを目の当たりにすると、いつも無力感をおぼえます。
ECTに関する肯定的な視点は新しかったです。根拠が明確で、説得力がある。著者が患者と真剣に向き合っているなかで出てきた考えなのだな、と思いました。
ちなみに、私はこの本のなかで紹介されている映画はすべて見ていました。映画を見たからこそ想像できることがたくさんあっ -
Posted by ブクログ
私の親友は昔から〝うつ〟の気が強く、性格上周囲になじめなかったこともあり、過去に自殺寸前まで追い込まれていたこともある。その際は何とか説得することは出来たが、そこまで精神が落ち込んでいる状態の人間への接し方などをまったく知らなかったため、逆に説得すること「しか」出来なかった。「あいつは私を信用してくれていたのに」と、この上ない不甲斐無さで私まで落ち込みそうになっていたのをよく覚えている。
うつ病はすぐには治らない。彼女は精神科にかかったりしていないから、なおさらだ。この本で学んだことを生かして、今度彼女が落ち込んでも、かつてよりはもう少しマシなことをしてあげられるように努力したい。 -
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自閉スペクトラム症を抱える人の生きづらさを感じる原因として、「怒られても特性は直せるものではない」「周囲に誤解される」「期待のズレは周囲をイライラさせやすい」ことがあるそうだ。
私はコミュニケーションの質的な問題はあまり気にならなくなったが、対人関係を継続させたり集団に協調したりする社会性はまだまだ成長させる余地が大きいと感じている。でも、周りの人からは「コミュニケーションする能力があるんだから、人に対する好き嫌いで避けているだけだろう」と思われがちな気がする。こればかりは試行錯誤する中で、集団での立ち位置を確立していくしかない。人との境界線をうまく引き、1人の時間を確保することができるので -
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ネタバレ2015年の本だから、
今は定義や考え方が変化しているかも。
発達障害についてもっと調べたくなった。
具体的な事例を交えつつ、
障害についての説明が書かれた本。
実際どうしたら良いかはあまり具体的に書かれておらず、サラッと うっすら だけだった。
【発達障害に対しての対応方法】
①PDD(広汎性発達障害)の特徴を理解する。
②苦手なところは本人の責任でないことを前提に考える。
③良いところ、長所を見つける。PDDの特徴のために起こる苦手な面は過度に非難しない。
④本人も自分の問題点を自覚する。
⑤できれば一つひとつの具体的な対応法は本人と話し合って決める。 -
Posted by ブクログ
発達障害の話はどうしても子どものものだと思いがちであったが、振り返ってみれば、本書の事例に書いてあるような人たちは自分の身の回りにも存在していたように思う。ASDに対する社会の理解が深まることが生きににくさを改善する最も有効な手立てであると思うが、話はそう簡単に済むものでもないので、自分の周りに対してどう関わっていくかを考えたい。
ASDを持っているか否かということよりもそれに該当するような特性が強く見られるかどうかという意識のもと、そのような相手と向き合った時にどのようにサポートできるのか、または自助してもらうのかということを意識したい。
また、子どもと関わる仕事をする身としてはこのような特