ハルノ宵子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本を年老いた両親の介護をした娘の話として読むことしかできなかった。
偉大な父親と怖かった母親と暮らした日常と葛藤。
家族や父親の親しかった人たちとの交流。
一番活気があった頃の家庭。
それほどの父親(母親)であったのに、晩年は介護を必要とする。老いる。ボケる。
支える娘。
長生きするということは全盛期の頃との差がものすごく大きくなるということだと思う。目の前の現実に追われながら、昔のイメージもしっかり残っていて、その落差をどう処理していくのか。
吉本隆明を父親に持つ娘は唯一(ニ?)の存在だが、大きく広げてみるとどこの家庭にもある問題だ。
一般化して読んでしまうのは失礼なのかもしれないし、本書の意図から外れてるのかもしれないが、そう読んでしまわなければいけない、こちら側の状況なのだから仕方ない。
このような娘がいてくれたのは、何よりも自分の成果なんだと思う。偉大な思想家であることを抜きにしても(抜いていいのか)成功した人生だったと思う。
このような娘ではなかった、あるいはない私の両親は施設で最期を迎えることをどのように思っている(いた)のだろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ家族の入院やお別れに際しての感想や経験則を、みーんな猫たちとの付き合いに基づいて書いていて、読みながらニヤニヤしてしまう。本当に猫って人生の師だよねぇ。
老親との付き合い方については、読みながら自分を省みて反省することしきり…。そだね、自分もいつかは老いるのだということを、そして老いるとは今まで出来ていたことが出来なくなっていくことなのだということを忘れずに、もっといたわらなくちゃいけないね…
お父様の吉本隆明の本は読んだことがないけど、ハルノさんが書かれていた猫エッセイは何冊か読んでいて、そこに出てくる娘たちが聞いてきた吉本隆明の言葉のひとつひとつにはなんだかすごく納得してた。
オウム事件や東日本大震災の原発事故についての発言が当時物議を醸したというのもこの本ではじめて知ったけど、よくよく読んだら納得と共感しかなくて、吉本隆明の本をちょっとちゃんと読んでみたいなという気持ちに。 -
Posted by ブクログ
あの戦後思想界の巨人吉本隆明の娘による、吉本家の家族(父、母、姉妹)や関係者、特に老いてからの隆明氏の言動などを赤裸々に綴った実に興味深い内容だった。
父だけでなく、母も強烈な方だった様で、その両親のもと育った著者自身も両親の影響を大きく受けながら資質も受け継いでいるからか、表現は軽やか乍ら本質を突いていると感じる。自らを"稀代の鬼娘"と言い往年の吉本ファンの怒りを買うであろう事を心配しながらも、ボケはじめた言動やオムツ使用の実態まで明かし辛辣にこき下ろす面もありながら、その根底にはやはり父を愛する娘の優しさが感じられ微笑ましくもある。
それはあとがきの「しかし何を言おうと、父の圧倒的仕事の質と量、そして何の組織にも属さず、大学教授などの定期収入も、社会的保証もステータスもない中で、家族と猫を養い続けてくれた並はずれたパワー それは感謝と尊敬以外の何者でもないし、誇りにに思っている。」に正に現れていると感じる。
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Posted by ブクログ
自分の大腸がんをこんなに俯瞰して語れるってすごいなと思った。がん宣告の衝撃もなく、お一人ですか?から始まり、10日間の入院中の人間模様、病院のコンビニ、お見舞い、食事、退院後の大変さを軽妙な語り口で重さを感じさせなかった。
たくさんの猫の病気と両親の病気、介護に付き合って、自分も病気を抱えて、とても大変そうなのにそんな感じがしない。自分の直感と経験で医師のいいなりにはならないところとか、見極め方とか。
がんはストレスに深く起因しているのでは。自分は大丈夫、うまく乗りきれていると思うときが危険。精神の水面下でのストレス、がんは緩慢な自殺なのだ。というのは一理あると思った。
がんの受け止め方として病院や病気に支配されないこと、人は生まれた瞬間から余命宣告されているのだからという言葉は心にとめておこうと思う。瞬間を生きることで幸せを感じられたらいい。死んだらわからない。あとのことばかり考えず、今を大切に生きないと時間がもったいない。ついつい考えてしまう年齢だけど、日々の自分の生活をもう少し楽しんでもいいなと思えた。