あらすじ
糖尿病で視力を失いながらも死ぬまで思索を続けた、父・吉本隆明。ワガママ放題して〝セルフ尊厳死〟を遂げた、母。疾患を抱え週に3回通院する猫、シロミ。推定16歳で逝った半ノラ、ササミ。滂沱の涙で別れた内科医の理想型、O竹先生。自らの大腸がんなどの闘病の傍ら、たくさんのいのちを見守り見送る日々を綴る、明るく透徹な名エッセイ。
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Posted by ブクログ
大好きなハルノ宵子さん。
「それでも猫は出かけていく」を読んで以来、誰の視線も気にもとめず、言いたいことをストレートに時には皮肉をこめて言ってしまうハルノさんの大ファンになってしまいました。
「猫だましい」は、自分の病気をとおして誰にも訪れる死との距離を、猫たちとの別れやご両親の看取りをからめながら淡々と語っておられます。
ハルノさんの周りには、濃いつながりの人や猫がいて、お人柄どおりの濃い深い社会に生きてらっしゃるのだと思いました。
挿し絵の猫のイラストはとても魅力的で、ハルノさん自身のようだとますます大好きになりましたよ。
Posted by ブクログ
自分の大腸がんをこんなに俯瞰して語れるってすごいなと思った。がん宣告の衝撃もなく、お一人ですか?から始まり、10日間の入院中の人間模様、病院のコンビニ、お見舞い、食事、退院後の大変さを軽妙な語り口で重さを感じさせなかった。
たくさんの猫の病気と両親の病気、介護に付き合って、自分も病気を抱えて、とても大変そうなのにそんな感じがしない。自分の直感と経験で医師のいいなりにはならないところとか、見極め方とか。
がんはストレスに深く起因しているのでは。自分は大丈夫、うまく乗りきれていると思うときが危険。精神の水面下でのストレス、がんは緩慢な自殺なのだ。というのは一理あると思った。
がんの受け止め方として病院や病気に支配されないこと、人は生まれた瞬間から余命宣告されているのだからという言葉は心にとめておこうと思う。瞬間を生きることで幸せを感じられたらいい。死んだらわからない。あとのことばかり考えず、今を大切に生きないと時間がもったいない。ついつい考えてしまう年齢だけど、日々の自分の生活をもう少し楽しんでもいいなと思えた。