あらすじ
吉本家は、薄氷を踏む
ような〝家族〞だった。
戦後思想界の巨人と呼ばれる、父・吉本隆明。
小説家の妹・吉本ばなな。
そして俳人であった母・吉本和子――
いったい4人はどんな家族だったのか。
長女・ハルノ宵子が、父とのエピソードを軸に、
家族のこと、父と関わりのあった人たちのことなどを思い出すかぎり綴る。
『吉本隆明全集』の月報で大好評の連載を、加筆・修正のうえ単行本化。
吉本ばななとの姉妹対談(語りおろし)なども収録する。
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あの時代の物書きはそれなりに誠実さを持て余していたし、家族が受け皿になることが当然の時代だった。今だとこういう家族はなくていい。懐かしむ気持ちは全くないが。
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吉本ばななと姉のハルノ宵子の対談を読んで、吉本家、本当に大変だったんだなと思いました。
でも、父隆明が病弱な妻に替わって娘たちにご飯やお弁当を作ってあげたりと、子育てに関してはやるべきことはちゃんとやっている。
娘たちも介護が必要になった両親のために最善のことはしている。
苦しみながらも、緊張を抱えつつも、家族であろうとした父母と二人の娘たちにあっぱれ!と言いたいです。
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この本を年老いた両親の介護をした娘の話として読むことしかできなかった。
偉大な父親と怖かった母親と暮らした日常と葛藤。
家族や父親の親しかった人たちとの交流。
一番活気があった頃の家庭。
それほどの父親(母親)であったのに、晩年は介護を必要とする。老いる。ボケる。
支える娘。
長生きするということは全盛期の頃との差がものすごく大きくなるということだと思う。目の前の現実に追われながら、昔のイメージもしっかり残っていて、その落差をどう処理していくのか。
吉本隆明を父親に持つ娘は唯一(ニ?)の存在だが、大きく広げてみるとどこの家庭にもある問題だ。
一般化して読んでしまうのは失礼なのかもしれないし、本書の意図から外れてるのかもしれないが、そう読んでしまわなければいけない、こちら側の状況なのだから仕方ない。
このような娘がいてくれたのは、何よりも自分の成果なんだと思う。偉大な思想家であることを抜きにしても(抜いていいのか)成功した人生だったと思う。
このような娘ではなかった、あるいはない私の両親は施設で最期を迎えることをどのように思っている(いた)のだろうか。
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父母を看取った長女ハルノさんが全集に寄せ月報を中心に、在りし日の吉本一家の実像を描く。世界を疑い抜いた父がボケルトどうなったか、悪妻で知られた母の晩年、妹ばななさんとの対談、猫の逸話、小さく添えられた清々しいイラスト。いいっ。壊れていても自分に忠実な吉本家の面々の魅力よ!
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吉本隆明、有名人だけれど読んだことない
ただただ家族にこんな父とそんな母がいて
姉も妹も大変だっただろうなと
けれど普通じゃない家族なんてあるかな?
ばななさんとの対談では
わかわかるにてるにてるの連続だったし
死ぬことが、あまり怖くなくなったり
自由な供養のやりかたにもおおいに勇気づけられた
それはとても感謝!
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普通(何が普通かは置いといて)ではない親に付き合っていくのは大変だよね。
私は兄弟では2番目の子だったけど、宵子さんみたいな1番目の子は親の縛りもきついし、良い子できた子が多いのかな。
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戦後日本最高峰の知性、最期まで在野でボケが来るまで苦闘した、その裏の姿。
左翼知識人の代表格であるが共産党嫌いだったり、身体の弱い妻に代わり家事も8割こなしていたり、娘2人をして「言行一致」の塊と言わしめる知行同一の人。
うちの母も学生時代に一面識も無い隆明さん宅に電話して字解をしていただいたそうなのですが、そんなことが日々溢れていた偉大な方であったようです。
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吉本隆明もハルノ宵子も吉本ばななも読んだことはない。井上ひさしのような家庭なのかと心配したけど、そうではなかったので安心した。本当のところはよく分からないけれど、吉本家はそれぞれの個性が凄すぎるということだけは伝わってきた。
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家族の入院やお別れに際しての感想や経験則を、みーんな猫たちとの付き合いに基づいて書いていて、読みながらニヤニヤしてしまう。本当に猫って人生の師だよねぇ。
老親との付き合い方については、読みながら自分を省みて反省することしきり…。そだね、自分もいつかは老いるのだということを、そして老いるとは今まで出来ていたことが出来なくなっていくことなのだということを忘れずに、もっといたわらなくちゃいけないね…
お父様の吉本隆明の本は読んだことがないけど、ハルノさんが書かれていた猫エッセイは何冊か読んでいて、そこに出てくる娘たちが聞いてきた吉本隆明の言葉のひとつひとつにはなんだかすごく納得してた。
オウム事件や東日本大震災の原発事故についての発言が当時物議を醸したというのもこの本ではじめて知ったけど、よくよく読んだら納得と共感しかなくて、吉本隆明の本をちょっとちゃんと読んでみたいなという気持ちに。
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あの戦後思想界の巨人吉本隆明の娘による、吉本家の家族(父、母、姉妹)や関係者、特に老いてからの隆明氏の言動などを赤裸々に綴った実に興味深い内容だった。
父だけでなく、母も強烈な方だった様で、その両親のもと育った著者自身も両親の影響を大きく受けながら資質も受け継いでいるからか、表現は軽やか乍ら本質を突いていると感じる。自らを"稀代の鬼娘"と言い往年の吉本ファンの怒りを買うであろう事を心配しながらも、ボケはじめた言動やオムツ使用の実態まで明かし辛辣にこき下ろす面もありながら、その根底にはやはり父を愛する娘の優しさが感じられ微笑ましくもある。
それはあとがきの「しかし何を言おうと、父の圧倒的仕事の質と量、そして何の組織にも属さず、大学教授などの定期収入も、社会的保証もステータスもない中で、家族と猫を養い続けてくれた並はずれたパワー それは感謝と尊敬以外の何者でもないし、誇りにに思っている。」に正に現れていると感じる。
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(他人事なので)すごく面白かった。宵子さんの文章がうますぎる。隆明さんやばななさんとも違う、天を突き破ったような面白さ。やっぱり吉本家は才能が濃縮還元された一家だったのだろう。
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年代が違うせいか当然として書いてることに?となる部分もあった
好きな物をどうぞと広げた形見分けで「そんな物を持っていくのかと唖然とした」とか「まさかコレを選ぶとは」とか、なんだかよく分からないけどこの人の正解を選ぶ自信ないなと思った
介護の部分はあっけらかんと書いているけど自宅介護を思って恐怖した
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漫画家ハルノ宵子は、詩人、文芸批評家、思想家だった吉本隆明の長女。妹はかの吉本バナナ。
本書は吉本家にまつわるエピソードを満載したエッセイ集。
この中で隆明さんのはちゃめちゃな一面が読み取れるし、その影響をもろに遺伝している二人の娘の考え方や生活感も理解出来た。
随所に、吉本隆明の根底にあった思想が二人から顔を出す。
「何か善いことをしているときは、ちょっと悪いことをしている、と思うくらいがちょうどいいんだぜ」という父の教えから、娘たちは、
「群れるな。ひとりが一番強い」という思想を受け継いだようだ。
隆明さんは幾多の戦後思想の果実を残したが、その中心にあった自立の思想は、2人の娘の中に見事に身体化している。
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吉本隆明の長女・ハルノ宵子のエッセイ。隆明の全集の月報に掲載していたものに、吉本ばななとの対談などを加える。
熱狂的支持者のいる隆明氏の家庭、いろいろ大変そうだなぁ。
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吉本ばななさんのエッセイで、姉は子供のことろから絵が上手だったと書かれていて、お姉さんって画家?と思ていたら、この本に出会う。
猫好き、漫画家、エッセイスト?
雑誌「猫びより」で既にお会いしていたのだ。
偉大な?(私の年代は何となくしかわからないけど)父を中心にしたちょっと変わった家族模様。
外部から見る分には面白いが、実はかなりハードなんだな(^^;
けど、未来の介護には少し役に立ちそう、親への向き合い方として。
なんといっても、この装丁や挿絵が好き。
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以前読んだ「猫だましい」が思いの外よかったので、この新刊も読んでみた。
吉本隆明ファンの曲者をこき下ろすことができるのは、この人だけかも。全共闘世代のややこしい自意識過剰おじさんたちが一刀両断されるのは楽しい。
(でも私も吉本隆明の「共同幻想論」はかなり影響受けたので、属性は違えど、このめんどくさい集団のはしくれにカテゴライズされてしまうかも)
吉本隆明の面倒臭さはなんか想像がつくが、妻(筆者にとっては母)が、これほど大変な方だったとは知らなんだ。この父母に育てられるのはさぞかし辛かろう。かなりハードなおうちでした。
だからこその、この個性なのだろうけど。
ハルノ宵子さんは、なんか懐が深いのだ。そこが好きだな。
父には、というより老人にはできるだけ自分のやりたいようにやってもらいたいというところとか。いいよね。
ただでさえ肉体という牢獄に閉じ込められているのに、「看守」に急かされ、汚いと蔑まれ、乱暴に扱われてどうする。人生の最後にこんなに惨めで情けない思いをすることはなかろう。せめて自由にやってくれ
こういうふうに子どもが育つと親は幸せだよね。