ハルノ宵子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2026年6月の吉本ばななnote炎上のことを、5年後10年後に覚えている人がいるだろうか。母親(隆明の妻)が毒親で、精神的に虐待されてきたこと、両親の死後も姉から金の無心をされて数千万円にのぼる援助をしてきたが、noteを売ったお金で援助するのを最後に縁を切るつもりであることなど、センセーショナルな内容が話題になった。
その姉であるハルノ宵子さんが隆明のこと、母親のことを書いたエッセイである本書を読むと、ハルノさんが残したかった家族の思い出はかなり違うことがわかる。吉本ばななは母親の影響圏を離れるために家に近づかないようにしたのに対し、ハルノさんは京都での大学生活の後、両親と同居し、介護して看取ったこともあってか、美化はしないが憎しみきれない愛おしさを感じる両親像となっている。大らかな人柄なのだろう。
妹の方が文章がうまいから、家族のことを書くにしても自分が見せたくないものを隠して、読者に自分が見せたいところだけを見せることができる、といったことも書いてあり、近い将来に起こることを牽制したかのようになっている。
本書に収録されている2023年に行われた姉妹対談は全体的には微笑ましいが、このときもずっと気持ちが燻っていたんだなと思うと、読後感もかなり変わる。 -
Posted by ブクログ
漫画家ハルノ宵子は、詩人、文芸批評家、思想家だった吉本隆明の長女。妹はかの吉本バナナ。
本書は吉本家にまつわるエピソードを満載したエッセイ集。
この中で隆明さんのはちゃめちゃな一面が読み取れるし、その影響をもろに遺伝している二人の娘の考え方や生活感も理解出来た。
随所に、吉本隆明の根底にあった思想が二人から顔を出す。
「何か善いことをしているときは、ちょっと悪いことをしている、と思うくらいがちょうどいいんだぜ」という父の教えから、娘たちは、
「群れるな。ひとりが一番強い」という思想を受け継いだようだ。
隆明さんは幾多の戦後思想の果実を残したが、その中心にあった自立の思想は、2人の娘の中に見事に身体化している。 -
Posted by ブクログ
以前読んだ「猫だましい」が思いの外よかったので、この新刊も読んでみた。
吉本隆明ファンの曲者をこき下ろすことができるのは、この人だけかも。全共闘世代のややこしい自意識過剰おじさんたちが一刀両断されるのは楽しい。
(でも私も吉本隆明の「共同幻想論」はかなり影響受けたので、属性は違えど、このめんどくさい集団のはしくれにカテゴライズされてしまうかも)
吉本隆明の面倒臭さはなんか想像がつくが、妻(筆者にとっては母)が、これほど大変な方だったとは知らなんだ。この父母に育てられるのはさぞかし辛かろう。かなりハードなおうちでした。
だからこその、この個性なのだろうけど。
ハルノ宵子さんは、なんか懐が深いのだ。そこが好きだな。
父には、というより老人にはできるだけ自分のやりたいようにやってもらいたいというところとか。いいよね。
ただでさえ肉体という牢獄に閉じ込められているのに、「看守」に急かされ、汚いと蔑まれ、乱暴に扱われてどうする。人生の最後にこんなに惨めで情けない思いをすることはなかろう。せめて自由にやってくれ
こういうふうに子どもが育つと親は幸せだよね。