八木澤高明のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
過去に日本で起こった凶悪事件の現場やその犯人が生まれた場所を訪ね、写真と共にその犯罪、犯行、犯人の生い立ち、動機等を振り返る一冊。
流石に50年以上も生きているので、掲載されているほとんどの事件に記憶がある。
犯人に同情する訳ではないが、やはり犯人には出自に問題があるケースが多い。「貧困」「偏見」「ハーフ」「外国人」「朝鮮人」「村八分」「家庭崩壊」等々。
まれに、金持ちのボンボンの犯行もあるが、やはり尋常ではない幼少期 を送ったことで、異常な性格になってしまった事件が多い。
この国の歴史の闇である。
その闇をつくったのは、政治だ。
やはり、ここにも急速な高度経済成長を戦後するために無理 -
Posted by ブクログ
目次に 黄金町の文字があったので
思わず 読んでみました。
普通なら あまり手には取らない 知らない世界でしたが
黄金町のちょんの間。
学生時代 伊勢崎町に遊びに行き
少し足を伸ばすと 裏通りに それはありました。
当時は単なる 飲み屋としか 見ておらず 記憶にもとどまっていませんでした。
今回 読んでみて そういう場所で
数々の女性達が 色々な思いで 働いていたのかと 知ることができました。
こういう 職業は今でこそ お小遣い欲しさにという人も多いけど、
過去には 貧しい農村の娘達が 家族の為に 自らを犠牲にして
最後には命までも犠牲にする人も 少なくなかったそうだ。
この本は 日本 -
Posted by ブクログ
文章がいささか文学的にすぎると思った。また「~と言っている気が した」等、自分の考えの羅列に過ぎないものをあたかも風俗嬢がそう思っているか のように記述している箇所がいくつかあり、それは不誠実だと思った。
街を「浄化」し社会から風俗嬢がいなくなれば、その職についている人達はどこ にいけば良いのか(別のまともな職を得ることができるのか)という「貧困」に関 する問題と、需要側・供給側問わず、風俗に癒しを見つけ生きている人達は、風俗がなくなった後どうやって生きていくのかという「性そのもの」にかんする問題があるように感じた。
性そのものに関する問題としては難しいし安易に答えなど出ない。徹底的に抑圧する -
Posted by ブクログ
八木澤高明『日本殺人巡礼』集英社文庫。
日本で起きた殺人事件の現場と事件の背景などに迫るノンフィクション。興味惹かれる事件もあるが、一部の事件の背景や考察については胡散臭い部分もある。
日本で毎年起きる殺人事件は約1,000件らしい。毎日約3件の殺人事件が起きていることになるが、そこまで殺人事件が起きているという印象が無いのはテレビや新聞で報道する殺人事件はほんの一部に過ぎないからなのだろう。
本作に描かれる殺人事件の背景を読むと、犯人が暮らす土地の歴史や因習、近隣との関係が犯罪に駆り立てる原因になっているように読み取れるものが多い。環境が殺人者を産み出すということなのだろうか。津山30 -
Posted by ブクログ
ネタバレ色街の興亡と娼婦自らが語る物語の書。性産業について考えさせられるばかりでなく、一時の日本にとって娼婦は貴重な外貨獲得の主要輸出品目であり、かの福沢諭吉も出稼ぎ者の支援者として積極的に輸出すべしと論じていた、そして不要となった現在は歴史から末梢されつつあることなど知り難い歴史にふれられた。娼婦と宗教の関係性もまた興味深く、宗教は娼婦を、人として肯定できず貶めるだけの存在にみえた。そして、人に向けられた「浄化」の傲慢さ。あぶれた雇用、可視化できなくなった従事者、行き場を失った欲望、、、思慮なき「浄化」は社会に何をもたらすだろうか。