八木澤高明のレビュー一覧
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横浜出身のノンフィクション作家が描く知られざる裏の横浜。
大洋ホエールズを応援した横浜スタジアムに始まり、赤レンガ倉庫、中華街、寿町、鶴見、山手、元町、伊勢佐木町。
風俗系の取材作の多い筆者が自己の体験と深く斬りこんだ取材を通じた類書にはない知られざる横浜。
東海道の一宿場町神奈川とその対岸の小さな漁村だった横浜が、開国と明治維新を経て変わりゆく果てが丹念に描かれている。
朝ドラ「ちむどんどん」が終わった直後なので鶴見の章が特に気になった。アントニオ猪木は鶴見出身。中学生の時一家でブラジルへ移民している。
華やいだ印象の多いだろう横浜。実は港町として多くの人々が出会いと別れを繰り返し -
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表紙写真とか題字のインパクトが強いけど、内容は全然、おどろおどろしいものではない。むしろ、真摯に事件と向き合う作家の姿勢が滲み出る、渾身のルポって感じ。”誘拐”とか、”復讐するは~”とか、以前読んだ作品で取り上げられていた事件についても触れられていて、個人的には復習にもなった。ちょっと犯人寄り過ぎかな、とも思ったけど、カレー事件とか、妙に納得できる部分もあったりして。現代は、決して以前より犯罪が増えている訳ではない、というのはよく耳にする言説だけど、こうしてその裏側まで掘り下げると、なるほど時代によるのっぴきならない事情というのも存在するのかも、と思いたくもなる。示唆に富む書。ちなみに”文庫王
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見慣れた景色だと思ったけど実は、忘れられた歴史があった。
昔から今に続く風習が残っている所もあるだろうが、誰も住んでおらずに土地だけがひっそりとあるところも。
これは消えつつある風習や歴史の記憶を辿った旅の記録である。
平家の落人伝説のあるところや、拝み屋がある集落。
からゆきさんがいた村。
遠野物語に記されたデンデラ野、姥捨山。
アイヌの集落、夏泊半島。
秩父にある無戸籍者たちの谷。
まだまだあるが、どちらかというと、由緒正しきものではなく、悲劇や血に彩られた哀しい歴史のある場所。
知らないところも多く、とても興味深く感じた。
特に山口県周南市にある郷集落。
ここは、平家の落人集落であり -
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「横浜いれぶん」「追いかけてヨコハマ」が流行っていた頃、サザンの「LOVE AFFAIR~秘密のデート」からゆず「桜木町」までの頃、人生で二回、横浜市民でした。なぜか住みたくなるのは横浜という街のキラキラ感と訳アリな感じが他の街にはない匂いになっているから…なんて言ってみたりして。でも今でも野毛や黄金町を「大人のディズニーランド」と称してふらふらしています。その「訳アリ大人な事情」を垣間見たくて「裏横浜」という書名に即反応した訳です。キラキラ光が当たる石をひっくり返すとそこは湿った黒い土が相当にジメジメしています。それを語る著者の視点も極私的な横浜育ちとしての思い出からなので湿度も高いです。そ
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<目次>
第1章 横浜スタジアムの足元
第2章 海上の楼閣~山下公園、みなとみらい
第3章 消えた大陸の空気~中華街
第4章 日の当たらない人の居場所~黄金町
第5章 デラシネのゆりかご~寿町
第6章 世界との架け橋~鶴見
第7章 高低が織りなす風景~山手、元町、その周縁
第8章 夜の街に吸い寄せられる~伊勢佐木町
<内容>
横浜のディープな歴史を、自分の体験とルポライターらしい、体当たり取材によって構成されたルポ。その地域の人に必ず当たっている分、説得力のあるルポであり、横浜で若き日に働いていた身からすると、読みながら懐かしさとくすぐったさがよぎった。 -
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街歩きが好き。
しかし、テーマを決めて歩きたい。
本書はちょっと毛色の違う街歩き本だ。
街歩きをすると、何か雰囲気の違うエリアがあったりする。
何か土地相と言うか・・・。
本書は、東京の色街あるいは色街跡を紹介した本で、目次には神奈川県は含まれていない。
でも本文では、出てくる。
古典落語やシュールな柳家喬太郎の新作落語、更に東京を舞台にした作品を理解する上で、本書の世界を知っているとよりその世界に入り込める。
昨年の大河ドラマ、いだてんにも本書で紹介されている凌雲閣が出ていた。
橋本愛演ずる小梅は、その凌雲閣の十二階下の女の役柄だった。
そう言うことを理解していると、作品の意図が深 -
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ネットで見つけて気になって購入しました、読書には様々な楽しみ方があると思いますが、その一つに、自分では体験することができない、やろうとしても多くの時間と費用がかかるものを体験してくれたものを読むことにあります。この本はまさにそれを体現してくれているもので、日本の各地において廃墟となってしまった場所、現在栄えている「かつての姿」を伝えています。
人々が自由に移動できる権利が得られたのは、明治になってから、本当に動き出したのは戦後からでしょうか、従って、日本の各地の集落には長い歴史が刻まれています、それを実際に現地に行って写真付きでレポートしてくれているこの本は大変興味深かったです。
以下は気