鈴木主税のレビュー一覧

  • 文明の衝突と21世紀の日本

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    文明と文化は、いずれも人々の生活様式全般を言い、文明は文化を拡大したものである。
    19世紀のドイツでは文明を機械や技術、物質的要素にかかわるもの、文化は価値観や理想、
    高度に知的・芸術的・道徳的な社会の質にかかわるものとし、
    文明と文化をはっきり区別していた。
    一極・多極世界は四つのパワーレベルからなる。
    超大国→地域大国→ナンバー2の地域大国→その他の国。
    冷戦後、世界は七つあるいは八つの主要文明に属している。
    西欧文明・東方正教会文明・中華文明・日本文明・イスラム文明・ヒンドゥ文明・ラテンアメリカ文明そしてアフリカ文明。
    この異なる文明が衝突することになる。
    日本は文化と文明の観点からする

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    2017年09月17日
  • 貧困の終焉

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    「世界の貧困問題」に関心ある人にはぜひ読んでほしい一冊。なぜ貧困問題が起こり、今もって解決されないのかについて、偏らず、冷静に分析され、具体例も豊富に掲載されている。この問題は深刻かつ複雑で、解決なんて何十年もかかると思いがちであるが、著者は必ず解決できると信じている。その信じる力がこちらにも伝わってくるような一冊。貧困に限らず複雑な問題に対しては取り組む前から無力感に苛まれることがあるが、一つ一つ分解していけばどんなものでも理解し解決できる気がする。

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    2017年08月29日
  • 分断されるアメリカ

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    トランプ時代を的確に予測している。また、アメリカにおけるヒスパニック化は「アメリカ人」にとっては我々が思っているよりも深刻な課題として認識されていて、壁を作ろうというのが日本人から思うほど突飛な発想ではないこともわかる。

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    2017年05月07日
  • 貧困の終焉

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    報道が少しずつ増えてきている「SDGs」(国連の「持続可能な開発計画」)についての前段であったミレニアム開発目標についてその目的と果たすべき役割が詳細に語られていました。

    世界から貧困をなくすことは可能である、と自信をもって説く著者の姿勢にまずショックを受けると同時に、現在進行形の貧困根絶のためのアクション(SDGs)の基礎を学ぶことができました。

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    2017年02月21日
  • 分断されるアメリカ

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    長い(厚い)本だった。中身も重量級の重い内容であり、読むのに二週間ほどかかってしまいました。

    さて、トランプさんがアメリカ大統領になって一月ほど経ちました。選挙戦の最中からアメリカを分断するような言動が垣間見られましたが、大統領になってからもそれは変わりません。大統領と言う立場がついてしまったので、より一層分断を加速するような気もします。

    ただ、これを読んでわかったのは、アメリカ社会の変質、分断は昨日今日に始まったわけではなく、ずっと以前から始まっていたと言う事。トランプさんが4年の任期を全う出来るか分かりませんが、いづれにしてもアメリカは、もう元には戻れないのではないかと思います。

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    2017年02月19日
  • 文明の衝突と21世紀の日本

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    国際政治学者サミュエル・ハンチントンによる本書には、1993年発表の『文明の衝突』(抜粋)のほか、1998年に東京で行った「二十一世紀における日本の選択~国際政治の再編成」と、1999年に『フォーリン・アフェアーズ』誌に連載された「孤独な超大国」が収められている。
    『文明の衝突』は、冷戦の終結した21世紀の世界を予測した論文として、フランシス・フクヤマが『歴史の終わり』において「グローバルに民主主義と市場経済秩序が定着し、もはやイデオロギーなどの大きな歴史的対立がなくなる」という典型的な“アメリカ的世界観”を示したのに対して、「民主主義によって一つの世界が生まれるのではなく、数多くの文明間の違

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    2016年01月11日
  • 文明の衝突と21世紀の日本

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    かの有名な国際政治に関する論文である「文明の衝突」の抜粋の他、2論文を収録した論文集。

    ◯「二十一世紀における日本の選択ー世界政治の再編成」
    「文明の衝突」理論によれば、今日の世界の在り方を規定するものはイデオロギーではなく、文化や文明の類であり、事実、イデオロギーで分裂していた東西ドイツは結合を遂げ、逆に文明の相違があるにもかかわらず結合していた旧ユーゴは分裂への道を辿った。そして同じ文明を共有する国同士は、ユーゴ紛争での旧ユーゴ各国への各々の支援勢力を見ればわかるように、理解し合い、助け合う傾向にある。
    一極・多極世界から、多極世界へと移り行くなかで、特に東アジアでは、異なる文明に属す

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    2016年03月16日
  • 文明の衝突と21世紀の日本

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    『文明の衝突』で有名な著者が、改めて世界の動向を分析する一冊。

    著作年月日が2000年と若干古いが、逆に著者の慧眼に驚かされる。
    そして、日本が中国と分断している独特の文明だというのが深く納得できた。

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    2015年08月24日
  • 博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話

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    【読んだきっかけ】本屋で見つけて内容が面白そうだったので。
    【内容】世界最大・最高の辞書『オックスフォード英語大辞典』編纂事業にまつわるノンフィクション。
    【感想】主人公のひとりは独学で言語学界の第一人者になったマレー博士、もうひとりは精神異常者マイナー博士。もうこの設定だけで面白い。
    マレー博士は何度も挫折しながら苦学を続け、ついに辞典編纂に携わることになる。マイナー博士は南北戦争に従軍した際精神を病み、事件を起こして以後精神病院に入る。マレー博士は広く文献閲読者を募ったが、その中に極めて優れた仕事を迅速に送り続けてくる人物がいることに気づく。だがそれがどんな人物なのかわからない…。

    辞典

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    2014年08月14日
  • 博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話

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    ネタバレ

    OEDが出来上がるまでの秘話。特に統合失調症で殺人を犯し、精神病院に収容されていたマイナー博士の人生にはいろいろ考えさせられた。
    もし彼が人を殺さなければ、もし病院で過ごさなければ、OEDにここまで深くかかわることはなかっただろう。
    発病しなければ優秀な医者として働き、OEDにかかわる暇はなく、無名のまま(しかし幸せに)死んでいったかもしれない。
    こういう運命の皮肉はたくさんあるのだ。多分私たちの人生においても。
    辞書というものがそもそも「ない」状態からどうやって作るか、辞書と植民地支配の関係、南北戦争の実態など初めて知ることも多かった。
    ドラマチックな内容だが、決して筆を走らせず、資料から分

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    2013年01月24日
  • 文明の衝突と21世紀の日本

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    世界を「文明」という区分で考えている点は梅棹忠夫の「文明の生態史観」と共通している。大風呂敷の割には論理的で納得できる内容。冷戦直後というまだアメリカの1極支配があった時代にこの理論が導出されたのには驚く。
    最後にハンチントンは世界は多文明的であり最終的に収斂すべき単一の文明などないことを認めつつ、そのうえで自国文明の特徴を守り、他文明との違いを認めて争いを避けるべきであるとしている。

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    2013年01月02日
  • 文明の衝突と21世紀の日本

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    ハンチントンの文明の衝突を買いに、地域の大型書店を訪ねたが、在庫がなく、この本を代わりに手に取った。

    あとがきで引用されている、”不死の幻影”、自分たちの社会は人間社会の最終型だと思い込む。だが、そのように自分たちの歴史は終わったと思い込む社会は、衰退に向かって行っていることに気づいていない、という表現は非常にスリリングである。

    国家論、文明論に関する興味は満たしてくれる著作だった。ただし2000年に記されており、12年後の現在と照らし合わせながら読む姿勢が必要だ。逆に言うとハンチントンの予想が、現在進行形の中でも意識されるのは面白い。

    中でも興味を惹いたのは日中関係。ドイツとフランスが

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    2012年09月30日
  • 文明の衝突と21世紀の日本

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    世界の国家は常にパワーゲームをしているということ、そしてそこには文明と文化が密接に結びついているということを知る。島国である日本は独特な文明・文化を持っているが故に孤立しがちであり、理解されにくいという現実。翻訳本なので若干読みにくいが、的を射た内容となっている。

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    2012年05月05日
  • 博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話

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    世界最大の辞書、オックスフォード英語大事典(OED)の編纂作業にまつわる嘘のような逸話。編纂主任を務めるジェームズ・マレーと、彼に膨大な量の用例を送り続け、辞典完成に大きく貢献した篤志協力者W・C・マイナーの2人をめぐる物語である。ジェームズ・マレーはイギリスの貧しい家に生まれながら独学で数多くの言語を習得し、OEDの編纂に関わることで、歴史上最高の言語学者といわれるまで上り詰めた。その一方でマイナーはアメリカの裕福な家に生まれながら、戦争のトラウマからか精神を病み、若年性痴呆にかかる。戦中に命令で焼印を押させられたアイルランド人を極度に恐れ、自分が常にアイルランド人に命を狙われているという妄

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    2012年01月09日
  • 博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話

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    辞書を作るのに、こんなに時間と人力を費やすものかと。この偉業にかかわることになった切欠や、その編纂の長い年月の間の人間模様など・・・。私もOEDが欲しくなりました。

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    2009年10月04日
  • 博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話

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    史上最大の英語辞書であるところのオックスフォード英語辞典の主幹編纂者、ジェイムズ・マレー博士と、その篤志協力者の一人であったウィリアム・チェスター・マイナー博士を軸に描くノンフィクションです。思わずOEDが欲しくなったけど、CD版でも4万円もするんですよねえ・・・。
    紙媒体より随分ましですけれど(汗

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    2009年10月04日
  • 文明の衝突 下

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    1998年に現在の「文明の衝突」の到来を予見した書籍。一方で、その文明の理解や予測の具合には極めて強い「西欧的支援」と感じる。
    上巻では7つ乃至は8つの文明のアイデンティティの衝突を西欧社会対非西欧社会という構図で捉え、下巻になると西欧的視点から捉える「非西欧社会」が中心となる。中盤の多くを旧ソ連時代の東欧圏・中央アジア圏・中東圏におけるイスラム文明に割いているが、これらの思想が2000年代の米国の対外政策の根底に流れている、つまり一部の偏ったシンクタンクの戦略に基づいていたと感じてしまう。
    衝突のフォルト・ラインを中核国のバンドワゴニングと文明間のバランシングで分析しているものの、日本が中国

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    2025年09月16日
  • 文明の衝突 下

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    ★ 1990年代以降、西欧以外の文明が強まるにつれ、西欧の魅力が薄れ、非西欧の人々は自分たちの固有の文化に対する自信を取り戻している。

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    2025年06月01日
  • 文明の衝突と21世紀の日本

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    単なる進歩史観を超えた歴史の大局的な見方、現代の諸問題を20世紀の終わりにすでに見通していた眼力、文明を分類して日本文明をそのひとつに数えかつ、それを体現しているのは日本ただ一国というその独自性を指摘する炯眼など学ぶべきところは多い。
    ただ細部においては認識の不確かさも少なくなく、全体として粗雑な議論が目立つのが難点。

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    2025年03月15日
  • 文明の衝突 下

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    下巻は、冷戦後期以降の具体的な国際関係の展開について述べられている。

    その内容は、日米の経済上の反目、中国の台頭、イスラムの国境紛争、ソ連・ロシアとイスラムとの戦い、およびバルカン戦争である。

    ユーゴスラヴィア弱体化に伴う90年代のバルカン情勢、つまり、
    イスラムのボスニア、正教のセルビア、カトリックのクロアチア、という三勢力の争いは、まさに「文明の衝突」の代表事例と言えるだろう。
    オスマントルコの侵攻したボスニアはイスラムが、オーストリア・ハンガリー支配下だったクロアチアはカトリックが優勢となっている。

    個人的な経験だが、人間性を決定づけるのは宗教だという考えに自分が至ったのも、かつて

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    2025年03月02日