岡本さとるのレビュー一覧
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内容(ブックデータベースより)
表の顔は腕の良い仕立職人、裏の顔は達人に仕込まれた剣術で悪を成敗する「地獄への案内人」。仕立屋お竜の活躍を描く痛快時代小説開幕!
第一話は、いたいけな少女・おしんがお竜と名を変えて「地獄への案内人」の道を歩むまでが描かれます。幼い頃に父からDVを受けてきたおしんは、母と家を逃げ出すが、その母も過労で亡くなり天涯孤独の身に。母親の薬代のためにつくった借金を抱えたおしんだが、親切顔で近づいてきたやくざの林助に騙され、盗品の運び屋や、美人局の片棒を担がされるなど、悪の道にひきづりこまれてしまいます。
とあることがきっかけで、武芸の達人・北条佐兵衛に助けられて自由の身 -
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腕の良い仕立て屋お竜。
男に食い物にされ、命からがら出会ったのが武芸の師匠。
彼に仕込まれ、お竜は殺し屋家業を営んでいる。
決め台詞は、「太ももに彫り込まれた竜、こいつを拝んだものには死んでもらう」だ。
艶っぽいセリフだこと…
暴力的な父から逃れるため、母はお竜を連れて逃げた。
母亡き後、悪徳金貸しから守ってくれた林助は悪事の片棒を担がせ、拒めば折檻。
そこから逃げ、自分のように苦しむ女たちのため、お竜は鬼となった。
悪者を手際よくいなしていくさまは、必殺仕事人が好きな読者なら応援したくなるはず。
最終話では人身売買の元締めと対峙する。
物語はそれで終わるが、この後もシリーズとして続いて… -
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居酒屋お夏・セカンドシリーズ“春夏秋冬” 第五弾。
毒舌女将・お夏と、料理人・清次が切り盛りする居酒屋を舞台にしたシリーズ。人情味あふれる連作四話が収録されています。
息子の死で鬱になり、寺男として暮らすようになった夫と彼の元に通い続ける妻の復縁に、お夏たちが一肌脱ぐ表題作の第一話「鯰の夫婦」。
お夏や清次と“相模屋”時代の仲間である、髪結いの鶴吉の元に腹違いの弟が訪れ、生き別れの父への複雑な思いと向き合うことになる第二話「焼き茄子」。
駕籠舁き・源三の相方で、無駄が嫌いで理屈屋の助五郎。駕籠舁きとしての腕は申し分ないのに、如何せん“ひろゆき”ばりの論破男で可愛げのない彼の長屋に幼馴染のお -
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居酒屋お夏 春夏秋冬シリーズ5
《鯰の夫婦》
鯰釣りの名人と呼ばれた猿三。愛息を連れて釣りに出かけたが、地震に遭い、息子を亡くしてしまう。
女房のおかじから、散々詰られ、自責の念から、気鬱となり、寺男となる。猿三を気遣い、おかじは寺に通い、猿三を元気づけようとするが。
《焼き茄子》
お夏の生家"相模屋"で、アゴ付きの髪結をしていた、鶴吉。幼い頃、生き別れた父親が、再婚して、出来た腹違いの弟の亀次郎が、訪ねてきた。
《焼飯》
居酒屋お夏の常連客の駕籠かき、源三の相棒・助五郎は、無駄を省くことに生きがいを覚える、変わり者である。
源三は、そんな相棒が気になる。
《やけ酒 -
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父の本。
お竜さんがとりあえず取り掛かるのは、自分の人生を壊した元亭主かと思ったら違ってたのが意外でした。まぁ、結果として元亭主も出てくるけれどもなんとなく棚ぼた感があふれるというか… シリーズものならもっと引っ張るかと思ったら違ってましたね。
個人の判断で善悪を決めたり、罰を与えるのはしょせんは私刑なんだなぁと1話を読んだときに思いました。言い方は色々ありますが、世間に対する八つ当たりというか、自己満足の方が強そうな感じ。2話以降にバックアップ体制が出来て、なるほどこれで始末屋みたいな感じになるのかな、と思いましたが。でも個人の感情で人の生死を決めるのはやはりおこがましいというか、ちょっと -
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痛快時代捕物帳
将軍家御用達の扇屋「善喜屋」は、影武芸指南役を裏の顔に持っていた。
娘の千秋も、幼い頃から、隠密の手助けをし、事情を知る幕臣に高い評価を受けていた。
その千秋が、夫と望んだ相手は、南町奉行所の廻り方同心、芦川柳之助であった。
身分違いの二人が、想いを遂げるのは、至難の業。
しかし、千秋の力を役立てたいとの思いから、奉行他の後押しで、晴れて夫婦となった。
千秋の、裏の顔を知らない、柳之助であったが、
盗人、竜巻の嵩兵衛を捕まえる為、潜入した時に、陰で助ける千秋に気付き、力を合わせ、事件を解決する。
強い女性というところは、居酒屋お夏と似た内容。
勧善懲悪で、嫌味がない。
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居酒屋お夏 春夏秋冬シリーズ 4
居酒屋お夏の女将・お夏は、料理人の清次と、
時に、河瀬庄兵衛、廻り髪結の鶴吉、船漕ぎ八兵衛と
陰で人助けをしている。
《乱れ酒》
居酒屋お夏の常連客肝煎の不動の龍五郎には、どうしても勝負をつけなければならない相手がいた。
その男が、20年振りに、龍五郎の前に現れた。
《鰻と甘酒》
料理人・清次に憧れて、鰻の辻売りをする宗太郎が、想いを寄せた人は、お夏の店で、時たま顔を合わせる、甘酒屋のお蝶だった。
だが、お蝶は、宗太郎の気持ちを素直に受け入れられない過去が有った。
《ごっそあん》
常日頃『自分には過ぎた女房だ』と言う常連客で、駕籠かきの源三の女房・おく -
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「お勝手のあん」の作家の新しいシリーズの開幕!
一刀流の祖、伊藤一刀斎の弟子、小野次郎右衛門忠明という剣客がいてやがて小野派一刀流の祖となるのだが、やがて柳生家と共に徳川将軍家の剣術指南役を代々務めることになる。その後継者を選ぶ時に、敗者となった物ではあるがその実力をかわれ「影武芸指南役」となった一派が善鬼。その子孫が将軍家御用達の扇屋「善喜堂」。その主人をはじめ家族や従業員全て武芸を極めた影の姿があった。
その娘、千秋の初恋から話が始まる。
将軍家からの依頼で幕府の安寧を妨げる輩の排除に動くのが善喜堂のものたち。
主人は娘には危ない仕事をしてほしくはない。
大きな商家に嫁がせたいと思っ -
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居酒屋お夏・セカンドシリーズ“春夏秋冬” 第二弾。
居心地の良さと旨い飯が魅力の、お夏の居酒屋を巡る四話が収録されています。
前シリーズでは、お夏の母親の敵討ちという、通しテーマがあったのですが、セカンドシリーズでは特にそれはなく、それぞれ一話完結の人情噺となっております。
各話悲喜こもごもの味のある内容ですが、個人的には第二話「雑煮」が良かったです。筆師の父子の不器用ながらもお互いを思いやる姿と、息子の成長を実感する父の想いが心に染みました。ラストのサプライズも予測はできましたが、何とも粋な計らいで、気持ちの良い話でした。
一見、お客と距離を置いているようですが、裏で色々気にかけてくれる、 -
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ネタバレ202111/若鷹武芸帖シリーズ第9弾。今回は将軍より番方の武芸の腕を調べるよう命を受ける。そして調査の報告と共に、将軍の前で調査対象者との勝負を披露。タイトル「五番勝負」なのに、収録は「一章:一番勝負、二章:二番勝負、三章:三番勝負、四章:四番勝負」迄。鈴姫の件が本巻での五番勝負目をさしているようだけど、それゆえに番方との五番勝負目を端折って終わっているのか、続刊で残りの番方との勝負が描かれるのかわかりにくい終わり方だった。そして水軒と鷹之介の亡父とのかかわりが匂わされてるのは今になって?なとこもあるけど、ここから最終巻に向けて動き出す感じかしら。
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居酒屋お夏 春夏秋冬 シリーズ3
目黒永峯町にある「居酒屋お夏」は
毒舌女将・お夏と苦味走った料理人・清次が切り盛りしている。
表には出さないが、身には人並み外れた武芸を備えた二人である。
お夏の毒舌聞きたさに、今日も常連客達が、集まってくる。
《豆腐尽くし》
渡世人として苛烈に生きてきた牛頭の五郎蔵には、若い頃、惹かれあった、忘れられない女性がいた。
《料理屋》
料理屋「水月」の一人娘・お蔦は、両親と婿を亡くし、若女将として、店を切り盛りしなくてはいけなくなった。
牛頭の五郎蔵が、お蔦のために、一肌脱ぐ。
《酔醒》
団子売りのおくみには、仕返しをしてやりたい男がいた。
おくみの仕返 -
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ネタバレ202109/シリーズ3作目。一話目「不死身の男」のラスト(駕籠内の宗兵衛の涙声、かきけす新三と太十の掛け声)、こういうドラマのエンディングのような情景が浮かぶ描写がうまいな~。二話目「帰ってきた男」はおとぎ昔話のようなほら吹き爺さんの話。作者の筆ものってる道中話で笑わせて泣かせる展開、そしてゾクっとさせる余韻あるラスト、という構成のお手本のような物語だった。表題作でもある三話目「雨やどり」、身投げしようとしていた訳あり女性・おそのを助けた太十。おそのを守り救うべく、新三や駕籠留の面々も協力して…という話。今回はエピソード的にも、新三と太十の性格の違いがより際立って描写された印象。このおその、