広瀬浩二郎のレビュー一覧
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「よく見る人」である相良さんと「よく聴く人」である広瀬さんが交互に自分の人生を振り返り、異文化を伝える一冊。
彼らは助けてあげる人ではなく違う文化をともにする人なのだと捉え直すことができた。
お二人は自分の(障害特性ゆえに)できないことや、現代社会における不十分な部分を指摘しつつ、不便益として楽しくつきあっている。
副題に共生とあるように異文化について触れたい人にすすめたい。
私にも特性や軽度の障害があるが、工夫をしつつ楽しく生きているので「頑張っている人」や「特別な人」ではなく「困りごとはありつつも人生を謳歌している人」として捉え直されていたのがすごく嬉しかった。
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ネタバレ表紙に点字が打ってある。「せかいわさわらないとわからない」
国立民族学博物館の准教授であり、全盲でもある著者が書いた本。
国立民族学博物館で確かにさわる展示があった。あれは良かったが、21年に行われたらしいユニバーサルミュージアムの名残だったのか。
とてもおもしろかったのだが、新聞の連載や雑誌の記事などを集めた本なので、かなり内容がかぶっている。何度も繰り返すことで理解度が増すというのは否定しないが、それにしても点字を発明したルイ・ブライユについてなど、同じ話が結構あった…
「ユニバーサル」という言葉が使われているとき、大概の場合は「障害者も楽しめる」みたいなことになってるが、本で説明さ -
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『わが盲想』のモハメド・オマル・アブディンもそうだったが、著者も同音異義語を巧みに使う。アブディンの場合はそれが単にオヤジギャグであったりするのだが、広瀬の場合それは、「無視角、無資格、無死角」「健常者、見常者」など、造語まじりの同音異義語で新しいものの見方を提示している。また同音ではないが、「見常者」に対して「触常者」、「見識」に対して「触識」などの概念を示すことで、視覚中心のマジョリティの文化に対して、そうでない文化が存在すること、そしてそれは見常者も享受する価値のあるものであること訴える。そしてその具体的方策をどのように実践しているかを語る。その語り口は新たな世界を切り開いている者のそれ
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さわって、本当におどろいた。
自分の触覚の鈍さに!
点字に興味があって、いつか学んでみたい、と思ってきた。
本書の表紙や口絵は点字や点図で書かれている。
それをなるべく目で見ないようにして、指先で触ってみたのだが、「サ」なのだか、「シ」なのだか、さっぱり感じ取れないのだ。
本書の中に、中途失明者が点字を習得することが難しい、とあるが、本当にその通りだと思う。
「触常者」で、歴史学者の広瀬さんは、歴博で触る展示を作ってきた人。
すごいバイタリティのある人だ。
さわる方法もたくさんあって、どう感じ取れるかも変わってくるという話には、蒙を啓かれた思いがする。
後半は点図で教材を作る天文学者、峯 -
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「触常者」と「見常者」の共著。前半は視覚障がい者をめぐる考察。後半は点図作成の苦労(工夫)。全く違う内容だが、面白い。前半は人間としてのありかたについて考えさせられるし、後半は人に伝えるということの本質について考えさせられる。
・「見る」と「触る」の違い:繰り返しと懸命に。
・ユニバーサルの本質は人間の感覚の多様性が尊重されること。
・日本は点字投票を制度化した世界初の国(1925年。大正14年)
・生徒へのインタビューから:宇宙137億年の歴史の中で、「無駄な時間なんてない」「障害者だって胸を張って生きていけばいいんだ」
・点図作成の秘訣は、画像の似顔絵をつくること。 -
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美術館や博物館は「見る」ものであるがゆえに「見えない」人へのサービスはないがしろにされてきた。
そこから一歩踏み出した「触れる展示」を考えるシンポジウムを基にした論集。
「してあげる」人の文章だなーとか、なるほどそんな風に作られているのか、とか、面白そう行ってみたい!とか、内容も質も色々。
私は美術系の人じゃないけれど絵を見るのは好きだ。絵を「読む」ことを覚えたら、見るのが前より楽しくなった。
同じように、ただ漫然と触れるのではなく手で読むことを意識したら、今まで「私が」ないがしろにしてきた触覚を再発見できそうだ。
目や手でなぞるだけの「見る」なら簡単だ。これは何でどこがどうなっていてどう作 -
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天文学者が共著の一人ですが、
宇宙の本ではありません。
副題にもあるように点字・点図など、
触常者の文化について書かれた本です。
また、
ユニバーサルデザインについての本でもあるかもしれません。
自分も著者のひとり、嶺重さんとは、
いろいろな活動をともにしてきました。
さわって感じる絵本の企画も行わせていただきました。
(企画としては倒れてしまいましたが…)
プラネタリウムで働いていると、
耳が聞こえない方はまだ来られるのですが、
目が見えない方はなかなか足を運んでくれません。
こちらとしても何をしていいのかわからない、
互いに躊躇してしまうと思います。
でも、目が見えない方にも宇宙は感じ