沢野ひとしのレビュー一覧
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沢野ひとしさんは、椎名誠のあやしい探検隊などでかなり前から知っていたが今回初めてエッセイを読んだ。終戦時一才であったことから自らの成長が、見たこと聞いたこと経験全てが昭和復興史であり戦後史だ。
ご家族のこと、特にお兄さんとの邂逅、父親との関係、高校以降の椎名誠などのイラストを通じた生活などを読むにつれ時代のおおらかさ、勢いを感じる。時代の高揚感を落ち着いた文章で振り返るセピア色な文章になることがわかった。
自分にはそう感じられた。これは時代を少しでも共にしたからということだろうかだろうか。
今回読んで椎名誠さんにしても沢野ひとしさんにしても家庭がしっかりしていることがわかる。経済力もあり、 -
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昭和期の半生を語る絵日記風エッセイと、おまけ?として21世紀の中国・旧満州紀行記。著者の昭和はノンポリ的な私生活謳歌の人生が世の中の主流となった時代であり、そんな時代にシンクロした世代だったのだろう。共産党シンパの兄の影響もあり学生運動にはどこか冷めた目線が注がれる一方で、バンドや登山といった若者文化の描写には時代の雰囲気が感じられる。
中国紀行の分量は少ないが、最先端だったり最悪だったりする極端な像から離れて、平熱の中国の姿が垣間見れた。
あとがきでは兄への思いが綴られる。この兄弟を来し方を見ると、人生とはどこでどう転ぶかわからないものだと身に沁みる。 -
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沢野ひとし氏の本を初めて読んだ。椎名誠氏の本は中学高校生の頃から読んでいるにも関わらずだ。シーナ氏の沢野氏の描写からなんだか集団に合わせられない暗い変な絵を描く変な人なんだろうと想像して,あえて読もうともしなかった。しかし,シーナ氏関係の本のイラストには沢野氏のイラストがあり,なければないで何となくのさみしさも感じたりする。初めて読んでみると,淡々としたリズムで内面の動きを過剰に振り回さない文体だった。もっと早くから読んでいると本の雑誌界隈の世界観を深く楽しめただろう。アメリカ,ハワイ,フランス,ネパール,と海外での話が多い。どこもいいなぁ。行ってどう感じるのは本人しだいだけど。
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沢野ひとし『山のごはん』角川文庫。
久し振りに読む沢野ひとしのイラスト・エッセイ集。
山で過ごす静かな時間。山の綺麗な空気の中で食べるごはんは美味い。そんな忘れかけていた平穏な日常を思い出させてくれるエッセイだった。
が、しかし、どこかで読んだことのあるようなエッセイが矢鱈と続くなと思って確認したら、過去の刊行作品からの再収録作が大半を占めていた。旧作をタイトルを変えて、新刊のようにしれっと刊行する手口はよく目にするが、この手があったか。見事にやられた。恐るべし角川文庫。
新型コロナウイルス感染禍に見舞われて早3年。旅行や温泉を諦め、真夏でもマスクで引きこもり生活という拷問を受けながら