入不二基義のレビュー一覧
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ウィトゲンシュタインの入門書は書くのが難しいだろう。10人いれば10とおりの入門書ができる気がする。そんな訳でこれも一般的な入門書ではない。僕はそもそも独我論というのがまったくピンとこないので,その路線からのウィトゲンシュタインには興味がない。しかも論理学がからきしダメなのもあって,言語哲学そのものにも全く触手が伸びない。それでもウィトゲンシュタインに魅力を感じるのは,彼の生き方にあるのだろうと思っていて,それはそれで間違いではないのだけれど,この本を読んでウィトゲンシュタインの思想それ自体にも,僕の好きなテイストがあるのだということを思い出した。
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タイトルがとっても興味をそそった。
がはっきり言って難しかった。
難解だった。
でも、あとがき(のあとがき)に書いている、
「…平易で分かりやすくて『おもしろい』のではなく、単純なはずなのに難しくて、頭が変になりそうだけれど、それが『おもしろい』でなくては意味がない。哲学なのだから。」
という言葉に激しく同感した。
P.074
「このような窮地から相対主義を救うためには、相対主義を『個人主義的』に解釈することを放棄すればよい。例えば、何が真理であるのかは、『各個人の思い』を超えた『認識の枠組み』に対してこそ相対的である、と考えればよい。」
P.081-
「言い換えれば、Tという主張が言って -
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哲学っぽいお話を集めたエッセーみたいなものです。著者さんもおっしゃってるけど、哲学の深いところまで、というよりは入口までといった感じのものが多いかな。それほど難解というわけでもなく、けっこう楽しんで読めました。
「無関係という関係」「数と時の思考」がよかったですね。
特に後者については、かなり面白く読めました。1というのは多義的である、とかあんまりそういうふうに見たことがなかったから新鮮だったし、時間の流れの観念と結び付けてるのもおもしろかった。人類が数字やときの概念を生み出したってのは本当にすごいことだよね。
逆に若干こじつけの感が強かったのは「さまざまな「迷信」」。これはなんだかよくわから -
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もう一周忌。プロレスをこれまでも語ってきた論者たちの一年遅れの弔辞集です。ターザン山本の「プロレスについて考えることは喜びである。」というキャッチフレーズは大嘘だ、って言い放ち「猪木について考えることは喜びである。」とヤバすぎるエピソード連発する遅れてきた猪木ファン吉田豪。日本が世界に誇る三大偉人として空海と宮沢賢治と猪木と並べる妄想マックス夢枕獏。猪木を1000万人に通じる言葉を求めた人として、村上春樹の横に置くアカデミズム松原隆一郎。久々のターザン節がなんとなく旬じゃない感じのターザン山本。猪木、たけしだけじゃなく、村松友視、古舘伊知郎、ターザン山本に洗脳されまくりの人生突き進み、そして傷
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相対主義を究極まで純化した「極北」には何があるのか、著者が徹底的な掘り下げを行なった過程を論じた一冊。
極めて抽象的な思索が巡らされますが、哲学には全くの門外漢である自分にも決してわかりづらいということはありませんでした。
繰り返される「無限後退」といった循環的なイメージが、自分の持っている相対主義のイメージと重ねやすかったからかもしれません。
かと言って、ありきたりな議論がされているだけかというとそうではなくって、後ろの方まで読み進めた後、前の方の章を読み返してみると議論の浅さが感じられる。
つまり、少しずつ丁寧な論証を積み重ねていく中で「極北」に近づいていっていることを実感できるのです。 -
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父親と子供、子供は父親と母親の間から生まれるから、まず父親が存在しないと、その子供は存在し得ない。
子供がいるから、男性に「父親」という属性が与えられるのであって、父親もやはり子供がいないと存在し得ない。
つまり、どちらか一方が時間的に先じてるわけではない。
こんな、とっても哲学的なことを徒然と書いている。
このパラドクスは言葉を使う限り、決して解決できない問題だけど、その難題を徒然と考えている。それがつまり哲学なのであって、どれだけ勉強しても歳を重ねても、結局その問題に立ち戻るのかいと思ってしまう。
その堅苦しい思考に、詩的エッセンスを加えてみたら
「あらかじめ失わ