板倉俊之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初読から3回読み直す程に面白かったです。
ストーリーは、少年たちが連続放火事件の犯人探しをするというが中盤までの軸で、後半は解決に向けて思わぬ方向に展開します。
少年たちの日常風景が、ホントに小学生の男の子の感じで、あるある、あったなぁ!と微笑ましいし、主人公の弦太と親友の涼介の相棒感も羨ましいなと感じます。そして、同級生の友達、大学生の友達、家族や教師との関わりを、思慮深い弦太の視点から優しく細やかに描いていて、胸を打たれます。
特に序盤で同級生の茜ちゃんにあるプレゼントをする場面、終盤で母親と対峙する場面は読む度に泣いてしまいました。
ほとんど潔癖ともいえる強い信念を持った弦太の生 -
Posted by ブクログ
国王制となった日本において、犯罪件数を減らすために創設されたトリガー制度。トリガーに認定された者は「悪」と判断した人間を射殺してもよい法律が制定されたというサスペンス。
短編集なのだが、連作となっており前に登場したトリガーの名前があがったりするのは好みの構成だ。しかも最初はトリガーが悪を撃つという内容だったのが、制度を悪用したり逆に殺してはいけないという態度のトリガーが出てきたりと徐々にバラエティに富んでいくのも面白い。
連作短編集らしく最後は総まとめっぽく終わっていくのもなかなか憎い演出だった。バイオレンスがありつつ、ヒューマンな温かみにも溢れていて、さらに現代社会を風刺する表現もあったり -
Posted by ブクログ
【悪の反対は、善ではない。】
人の死を簡単には扱ってはならない。
生殺与奪の法律は吉か凶か、それとも……
読み終わったあとに、本書がお笑い芸人
「インパルス」の板倉さんの著書であることを
知って衝撃を受けた。
板倉さんはめちゃくちゃ器用で
センスもキレキレで面白い。
さらにこんな淡々とした
グラデーションダークな物語もかけるのかと。
後半からはとくに考えさせられる
短編のオンパレード。
トリガーという名前の通り
こころを撃ち抜かれます。
もし将来、この法律が日本にもできたら……
いやできてしまったら……
思考がすすむ本。めちゃオススメです。 -
ネタバレ 購入済み
人が人を殺すと云う事…。
2023年11月読了。
長らく板倉さんのファンであったのに、彼が書いた本を全く読んでいない事に気付き、探していたのだが中々見付からず、ある日偶然何時もは素通りする『ラノベ』コーナーで発見して、直ぐに購入した。
板倉さんの「優しさ」と「銃器への愛着ww」と、「人が人を裁くことの難しさ」が程良くブレンドされた連作短編集だと思った。
こういう《極端な設定》は、『バトルロワイヤル』がヒットした前後に様々な作品が刊行されたが、どういう設定にしてみてもやはり《読後感の悪さ》が目立ってしまい、ブーム的に売れていても「殺伐とした気分が残るだけだ」と思い、この手の小説は読まなかった。
しかし本書は「法治国 -
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インパルスの板倉俊之さんが語る、新しい御伽噺。
桃太郎モチーフのパーフェクト太郎。
泣いた赤鬼モチーフの新訳泣いた赤鬼。
どちらも、人間が善で鬼が悪という昔話の前提を取っ払って、人の心を持つということはどういうことなのか、何が正しいのか、考えさせられるストーリーだった。
戦闘シーンが好きな人は、これでもかと繰り出される描写に血湧き肉躍るかもしれない。私はそんなに好きではないので、途中ついていけず。
妖魔とのエンドレスな戦いの描写は、小野不由美さんの十二国記の陽子が襲われまくる上巻のようだなと思った。
板倉ワールド、コントのみならず、活字でも楽しめた。