本多勝一のレビュー一覧
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15世紀頃のアイヌの少女の成長譚を軸に当時のアイヌの生活を活き活きと描いた物語の前半部。
多分、この物語、昔に朝日新聞の連載で部分的に読んでいて、ハルコロ、ウナヤンケといった登場人物の名に見覚えがあります。
アイヌは狩猟・採集を中心に生活を営んでいたと思いがちでしたが、粟などの穀物栽培の描写やそれを素材にした愛らしい神謡の紹介などもあり、興味深かったです。
ウナヤンケの生い立ちは原作にはなく漫画オリジナルの模様。ただ恋愛がらみの展開はその辺りのエピソードがあってこそ、なぜハルコロと彼が惹かれあったのかなどについて説得力が増していると思いました。 -
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冒険研究所書店の選書の一冊。
南極点到達をかけ、国を背負って究極のレースに挑んだ二人の探検家。
アムンセンとスコット
片方は全員生還を果たし世界の英雄となり、もう片方は全員遭難死する。
アムンセンは当初北極をめざしていたが、アメリカのピアリーが北極点に到達すると知ると、急遽目標を南極点に変え、スコットを驚かせる。
アムンセンは子供のころから極点到達の冒険家になることを目標にしており、生活のすべてを極点到達に費やしていた。
スコットは英国の英雄として数々の実績を積んでおり、職業探検家として国を背負って南極点に挑む。
本書は両隊の行程を並行して記述しており、章立てはドキュメンタリーを -
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本多勝一『アイヌ民族』(朝日文庫)を原作とし、萱野茂が監修についたコミック。全2巻。
1992年に潮出版社から刊行されていたが、長らく絶版となっていたもの。2021年に岩波現代文庫として復刻された。
アイヌの風俗を織り込みながら、大人に向かう少女の心情が少女漫画的に丁寧に描かれていく。
舞台は600年ほど前の北海道。
和人がやってくる前のアイヌの世界である。
ハルコロは主人公の少女の名。「いつも食べる物がある」という意味である。
アイヌの子は小さいうちは名を付けられない。ハルコロと呼ばれる前は、少女はオペレ(おちび)と呼ばれていた。
名前の他にも、大人の女と認められるには「通過儀礼」がある -
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ネタバレしかし、権力格差の大小はどのようにしてチームのパフォーマンスに影響を与えるのでしょうか? 南カリフォルニア大学の組織心理学研究者、エリック・アニシックは、過去五〇年分、五六カ国のエヴェレスト登山隊(計三万六二五人)のデータを集め、登山隊の出身国の権力格差と遭難事故の発生率について調査しました。この結果から、権力格差の大きい文化圏の登山隊の方が、他方の登山隊と比較して、死者が出る確率が著しく高いということが明らかになりました。ちなみに単独登山の場合、死亡率と権力格差になんの相関も見られません。これはつまり、死亡率の格差は、国別の登山技術や体格ではなく、純粋に組織的要因によって生まれるということ