本多勝一のレビュー一覧
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本多勝一『アムンセンとスコット』朝日文庫。
何年か振りに読む本多勝一のノンフィクション。ノルウェーのアムンセン隊とイギリスのスコット隊による南極点到達を争う史上最大のレースを2つの隊の行動を同時進行で描く。
貴重な写真が多数掲載され、臨場感あふれる非常に面白いノンフィクションだった。読み進めれば、偉大なる二人の探検家のそれまで歩んで来た人生の違いにも触れ、同じ目標に向かうプロセスを明確にしながら、勝者と敗者となった原因を浮き彫りにしている。
20世紀の初頭に前人未到の南極点到達を目指した二人の探検家。イギリスのスコット隊が南極点に向けて出発するとそれから2ヶ月遅れてノルウェーのアムンセン -
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※再読
プロジェクトでなんか上手くいかないと感じるときは、①答えるべき問いがそもそも違う、②(問いに対する)メッセージが研ぎ澄まされていない、③メッセージの伝え方が良くない、の3点だと思います
この本は(②・③)の処方箋として、事あるごとに読み直しています
文章の修飾の順序で、これ(以下)はあまり意識しておらず、、、反省
・大状況から小状況へ、重大なのから重大でないものへ
以下については改めてメモ
・修飾する側(かかる文)とされる側(うける文)を意識
– 節が先で句が後
– 長い修飾語が先、短い修飾語は後
・かかる言葉と受ける言葉をできるだけ直結する
・順序は
– 長い方を先に
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作文技術を体系的に習ったことが無いので読んだ。
分かりやすい文章を書くには、修飾する側の語順や読点の位置などの誰でも習得できる技術が重要であることを知った。そのような文法的な技術に加えて、自分の実感を伴わない浅い表現(紋切り型の表現)ではなく自分が感じたことの本質を自分の言葉で伝えることができれば、より魅力的な文章を書けるようになる。巷で使われている言葉を使って楽をしてしまうことを「通念化の衝動」と表現していたが、自分はよくそれをしてしまうなと感じた。それっぽい文にはなるが、そこに書き手独自の捉え方は消えていて、面白みがない。
最後の方の章で文章のリズムについて書かれていた。今まではなんの -
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学びは多いが、著者の偏屈さに耐えなければならない。
日本語の構文を分析的に説く中で、翻訳に言及する部分がある。「翻訳とは、シンタックスを変えることなのだ」とあるように、語・句の意味だけ考えて外国語を頭から訳しても日本語として適切な文にならないというのはその通りだろう。多くのビジネス系の訳本の読みにくさに合点がいった。
ひと通り原則論を述べた後で、ルポのテンスや文のリズムの取り方に触れる。ここでは分析とまではいかないが、著者の工夫によって名文に施された配慮がわかるようになっている。
現場経験に培われた著者の日本語運用能力は確かである一方で、表現に対する許容範囲は狭い。結局、なぜ面白い落語の語 -
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読みたかった本。本田勝一の著書は久しぶりだ。ノルウェーのアムンセン隊とイギリスのスコット隊の二つの探検隊が、当時、人類未踏の南極点到達をあらそい、一方は大成功の歓喜とともに帰還したのにたいし、他方は敗れた上に帰りみちで全員死亡する悲劇に終わったという記録。
これを分析して、片方が優れていたり、もう片方に不足していたりという事を教訓として見い出すのは重要だ。確かに馬ゾリより犬ゾリの方が、食料を現地調達できる点で優れている。準備や経験による違いも大きい。結果として勝ち負けはあるし、負けは即ち部隊の全滅という悲惨さだから、ここから学ぶ意味は大きい。
しかし、それは決してスコット隊を貶めるものでは -
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本多勝一(1932年~)氏は、長野県生まれ、千葉大学薬学部卒、京大農学部卒、朝日新聞社に勤務した、新聞記者・ジャーナリスト・作家。京大在学中に山岳部に所属し、今西錦司、梅棹忠夫等から探検やフィールドワークのノウハウを受け継ぎ、ヒマラヤ遠征などを行う。朝日新聞社入社後も、国内外各地の現地を行い、『極限の民族』三部作(『カナダ・エスキモー』、『ニューギニア高地人』、『アラビア遊牧民』)、ベトナム戦争、アメリカにおける黒人やインディアンの問題などの様々なルポルタージュを発表し、注目を集めた。『日本語の作文技術』(1976年出版、1982年文庫化)は、続編を含めて累計発行部数100万部を超えるロングセ
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やはり点の論理的な打ち方を説明した部分が内容として特徴である。
語順についてはp86の要約を参照。❶❷が最重要
❶節を先に、句をあとに。
❷長い修飾語ほど先に、短いほどあとに。
❸大状況・重要内容ほど先に。(←これはよくわからん)
❹親和度(なじみ)の強弱による配置転換
また漢字と仮名については、決まりはなく前後で多く続かないように切り替えれば足りる。
点についてはp130の要約を参照。
❶長い修飾語が2つ以上あるとき、その境界にテンをうつ。(重文の境界も同じ原則による)
❷原則的語順が逆順の場合にテンをうつ。
③筆者の考えを示す自由なテン。
8章 無神経な文章は、個人的に同意できるとこ -
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・修飾語被修飾語の距離は近く
・修飾の順序は節を先に、句をあとに。句の連続は誤解を招く
・修飾は長いものを先に、短いものを後に
・大状況から小状況へ、重大なものからそうでないものへ
・親和度の高い単語は近くにあると混乱するので配置を遠ざけるなど工夫する
・句読点のテンの意味は、思想の最小単位を示すこと
・語順が逆順の場合にもテンをうつ
・長い修飾語が二つ以上ある時、その境界にてんをうつ
・重文の境目、述語が先に来る倒置文、驚嘆、挿入句の前後
日本語もプログラミング言語も語であり、根源的な性質が同じものであることがよくわかる本。
そして改めて日本語の難解さあるいは用法を誤ることで齟齬が生まれや