川口マーン惠美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ題名からすると、優劣をつけることに重点をおいているのかと思ったらそうでもなかった。そもそも歴史・文化の違う国同士を比較するのは難しいですね。(汗)それぞれに次の課題が見えてきてるのに上手く移行できていないっていうのが、読書後の感想です。
①大学進学のチャンスは(ドイツ)2回だけ
②小学5年生で人生が決まるドイツ
③日本の義務教育はドイツに完勝!
④ドイツ人だけが放射能パニック?
⑤(電車内のエアコンが故障)車内は60度――技術大国の大嘘
⑥サービスが皆無のドイツ鉄道で
⑦便利を目の敵にするドイツ人
⑧(EUで)なぜドイツだけが憎まれるのか
⑨休暇がストレスのドイツ人
⑩(ドイツ人が)短時間労働+高給でも不満な理由
問題提起としてではなくて、エッセイとして読むと軽くていい感じでした。 -
Posted by ブクログ
欧州連合(EU)は、いつの間にか多くの国々が加盟していますが、現在(2016.1)では、28か国の欧州の国々が加盟しています。今では東ヨーロッパ等のかつての社会主義国も加盟して、欧州地域が一つの国になったような気がします。
しかし、経済格差の異なる国々が一つの貨幣を使うことには、EUに加盟している国も疑問を呈している様ですね。この本は、ドイツに在住して、EU問題を肌に感じている川口女史による、EUに関する最新情報を紹介した本です。
経済の立て直しに苦しむ、EUの一部の国々だけでなく、唯一の勝ち組と言われるドイツにも、様々な問題が起きているようですね。そのキーワードになるのが「難民」のようです。
難民の受け入れに関する合意事項は、海に面している国に不利な内容になっている様で、それが問題となってEU崩壊も起きるかもしれないような気がしました。
この本で新たに気づいたのは、国境を無くすためにEUを結成していたはずが、難民を締め出すためとして、新たに国境(ベルリンの壁の様なモノ)が、築かれ始めた、という記述には驚きました。
以下は気になったポイントです。
・1981年、ギリシアはECに加盟、ユーロ加盟は2001年である。その際、巧みな粉飾があったことは、当時も知らなかったとは思えない。感づいてはいたが、欧州の祖であり、民主主義の本家でもあるギリシアをECに加えたいばかり、見て見ぬふりをしたのではないか(p5)
・冷戦下において、ギリシアの隣国は悉く社会主義、同時にギリシアは、イスラム文化圏に対する防波堤でもあった。1453-1829年まで、オスマン帝国の支配下にあったこの国が、再びイスラムに引きずられてはならないと考えられた(p5)
・ギリシアのユーロ圏離脱が起きれば、EUは一気に弱体化する、まさに民主主義の崩壊への第一歩を意味する(p18)
・アテネでは、政治に参加できるのは、18歳以上の成人男子のみ、紀元前430年当時、3万人。アテネ市民の人口は12万(p22)
・1829年、ギリシアはほぼ2000年ぶりに国として復活するが、首都アテネの人口は4000人程度(p23)
・日本で明治維新が起こった時、天皇を玉座から引きずり降ろそうと思いついた人は存在しなかった(p26)
・2004年と07年の東欧国のEUへの参画は、驚くべき出来事であった。東欧、バルト海の国々も、NATOに組み込まれた(p34)
・EUは7年の枠で予算を編成する、現在の枠は、2014年から2020年。予算が決定したのは、2013年2月だったが、EU歴史が始まって初めて予算が3%も縮小された(p49)
・EUに納めている額と受けている額をプラスマイナスしたとき、持ち出しの国は、ドイツ・デンマーク・ルクセンブルク・イギリス・スウェーデン・オランダ・ベルギー・オーストリア・フィンランドなどの12カ国、あとの16か国は実入りが多い。一人当たりで最も多く貰っているのが、ポーランド(p50、51)
・イギリスはサッチャー首相時代の取り決めで、拠出金の66%を免除されている、これはイギリスの同意なしには変更できない(p54)
・イギリスは、リスボン条約でも多くの例外を勝ち取った、イギリスは、内務と司法の分野においては、どのEU法律を採用するか、しないかを選べることになっている(p62)
・ギリシアのチプラス党首の圧勝を見ていくと、選挙前のギリシアの国状と、ヒトラーが台頭したときのワイマール共和国の国状とが、似ているように感じる(p81)
・ユーロ国は自国のための金融政策がとれないので、ドイツにとってはユーロは常に安く、輸出しやすい環境となり、貧しい国にとっては、ユーロは常に高く、国際競争力は弱まる(p115)
・スイス国立銀行は、2015年1月15日に突如、スイスフランとユーロとの連動を解除したので、スイスフランは一夜で値上がりした(p117)
・難民に適用されるのは、シェンゲン協定ではなく、ダブリン協定である。難民は、最初に足を着けたEU国で庇護申請をしなければならない。なので、イタリア・ギリシア・ハンガリー・トルコ(200万人)に難民がたまったのは当然(p131、151)
・ハンガリーは、増え続ける難民に困り切り、150キロにわたるセルビアとの国境に、高さ4メートルの鉄条網の柵を作っている(p154)
・スマホは難民の最重要ツールで、あっせん業者との連絡支払いは、すべてオンライン。一般のインターネットではなく、犯罪者の使う秘密ラインで、ダークネットと言われる(p160)
・ドイツが国境検査を行い(2015年9月から)、オーストリアはハンガリー国境に軍隊派遣、チェコもオーストリアとの国境を監視、これは往来自由な、シェンゲン圏内である。シェンゲン協定、ダブリン協定も停止したのは、ドイツであった(p162)
・美しい理念で始まったEUは、難民というかたちで内外価格差が可視化された途端、当初の目標であった統合はそっちのけになった(p178、186)
・EUもアメリカも、自国の農家を巨額な補助金で支援している。EUの予算で一番大きい項目は、農業に対する補助金で、全歳出の45%を占める(p214)
・第二次世界大戦前、ワイマール政権は、あまりにも模範的な民主主義に没頭して、国民の反感を買い、ヒトラーの台頭を招いた。メルケル首相の難民政策は、一つ間違えば、当時の国民感情の再現を促す危険を包有している(p217)
2016年1月31日作成 -
Posted by ブクログ
読書録「住んでみたドイツ8勝2敗で日本の勝ち」3
著者 川口マーン惠美
出版 講談社
p88より引用
“だいたい、働いている人が、自分の労働時
間をあまりにもシビアに見張り過ぎてい
る。”
目次から抜粋引用
“日本の尖閣諸島、ドイツのアルザス地方
日本のフクシマ、ドイツの脱原発
休暇がストレスのドイツ人、有休を取らない日本人
不便を愛するドイツ、サービス大国の日本”
ドイツ在住の作家である著者による、長年
のドイツでの暮らしから見えた日本との違い
を記した一冊。
領土問題から鉄道運営についてまで、他国
に住んでみなければわからない視点で書かれ
ています。
上記の引用は、労働時間の短縮に対するド
イツ人の態度について書かれた項での一文。
あまりにも自分の権利にこだわると、結局自
分の首を自分で締めることになっているので
は、と書かれています。
几帳面で真面目とよく聞くドイツ人の性質で
すが、何事も程々がいいのではないかと思い
ます。
30年をドイツで過したという著者だからこ
そ、生まれた国である日本との違いがよくわ
かるのでしょう。日本しか知らない私は、普
段あたりまえだと思っていることが、とても
恵まれていることだと、改めて思うことが出
来ました。
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Posted by ブクログ
「住んでみたヨーロッパ 9勝1敗で日本の勝ち」がおもしろかったので先に書かれた本書を読んでみた。
残念ながら読んで少しがっかり。内容が悪いわけではないのだが、タイトルが内容とはだいぶ違うように思う。
何しろ尖閣諸島に行ったことから、領土問題、福島の原発問題などから話しが始まっており、少々違和感を感じた。
もっとも、ドイツから見える視点は我々からはなかなかわからないので興味深いのだが、やはりタイトルが気になる。
もちろん全体を通じてドイツに長年住んだ目から見た両国の違いはおもしろい。
休暇の取り方やサービスに対しての考え方の違い。というより日本に比べるといかにドイツのサービスが悪いか鉄道を例にとり説明している。ドイツをしても、日本の時間ぴったりに運行する鉄道というのは神業のように見えるようである。
教育制度についても10歳で進学が振り分けられるなど、確かに問題点があるように見える。しかし、その反面ドイツの学生は十分に勉強して鍛えられており日本の学生が幼稚に見えるというのは、何となく納得できる。
そして考えるべきはTTPだという。ドイツはEUの中で経済的にはもっとも貢献しているにもかかわらず感謝されず、多数決で議論が決められてしまっている。
日本もTTPに加入すれば輸出産業が有利になるなどという簡単な話だけではなく、アメリカ主導で多数決で経済政策が縛られてしまい、ちっとも日本のためにならないと警告している。確かに、「グローバリズムという病」でも同様なことを考えさせられる。アメリカの「俺にももうけさせろ」という多国籍企業にとっては日本はTTPのいいカモなのだろう。 -
Posted by ブクログ
まだ一度も足を踏み入れたことはないが、食についても、歴史あり、情報発信源であるヨーロッパ。Time Machine理論でヨーロッパ経済について学ぶことは、今後の日本経済に起こることの参考になると思い、気にはしているが、一般の人々の生活はなかなか知る機会がない。
そんな中、日本人が書いたヨーロッパの生活書籍が平積みされてあったので、手に取ってみた。
なるほど、読めば読むほど、日本は良い国であることがわかってくる。詳細は読んでいただきた。
しかし、今後はグローバリゼーションの波に飲み込まれていくのは免れないことであろう。となると、この本に書かれていることがやはり起こってくるのであろうか。
その時、ドイツの方式を選択するのか、ノルウェー方式を選択するのか、日本方式として新たなやり方を考えるのか。日本にいながら、考えさせられる一冊となった。 -
Posted by ブクログ
ドイツで30年あまり住んでいる著者による日本ではなかなか報道されないヨーロッパの問題点についてのレポートである。
タイトルがとても挑発的なのでどういうことかと興味を持って購入したが、常識的な日本人の感覚で見たヨーロッパの暮らしの中で感じる様々なコラムだ。
ドイツの内容が多いことはやむを得ないが、ヨーロッパでの泥棒の話から始まり、リズム感のないドイツ人の話、計画的なノルウェー人の話、スペインの残酷な闘牛、ドイツの公共事業のひどさ、日本よりひどい食品偽装、ドイツでの教会税、ドイツと日本の第2次大戦への向き合い方の違い、奴隷制度の遺産、歌舞伎とオペラの比較、同性愛者について、移民について、EUとヨーロッパの都市などについていろいろと書かれている。
知らなかったことも多く、必ずしも日本がいいとは言えないが、考えさせられることも多い。
特に、泥棒や移民問題は感覚的にわかりにくいが移民を受け入れることのリスクを考えさせられる。日本は海に囲まれているのでまだいいのかもしれないが、日本でも既に多くの外国人が働いており人口が減るからと言って移民を安易に受け入れることのリスクを考えさせられる。
確かに日本の中にいると気がつかない恵まれた部分も多いとは思うが、それらが大量の国債を発行し借金で作られているのかと思えばそれほどいいとは思えないように感じる。それにしても、国民性の違いとはかなり大きいものなのかも知れない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本のイメージを誤解させるようなタイトルで、内容もそれと合っていないなんとも編集者の意図が見え隠れする本です・・・
そもそも尖閣諸島のことやEU加盟国の経済問題についてかなりページが割かれていて、日本とドイツを比較する構成になっていないし、表題の、何をもって8勝2敗なのかは最後までわかりませんでした。
とはいえ、内容は興味深いところもあります。
ドイツ人と日本人は似ているというイメージが覆りました。
例えば勤労観。
働く事に社会奉仕的な意味ややりがいを感じて働いているのは日本人だけ。
また、公共サービスは皆無でサービス大国の日本とは180度異なるし、鉄道の正確さも日本が圧勝。
一方で議論を学ぶ教育制度が日本には無いとことかは負けてる。
へえ~、と思う一方で著者の「有給休暇」の理解は非常識だったり、EU内で存在感があるのはドイツが優秀な軍隊を持っていることも一つの理由だと言ってみたりで、著者にはちょっと不信感を覚えました。 -
Posted by ブクログ
正直、需給が一致してないのではないかと思う。そのことでだいぶ星の数を下げている。
というのも、前書きなどに見られるような日本とドイツとのギャップを(読者として)求めていたのに、第一章は著者が尖閣諸島に向かう内容を置いている。いきなりの肩透かしなのだ。しかも、内容的にはかなり思想的に(右に)偏っているのだから、これはちょっとね。
有給の件などを見ていても、どうも著者はドイツボケし過ぎていて、冷静に日本側を見ているか不安が残るし、自身の経験に基づかないうろんな情報も書いてしまっている様子が見受けられて、信憑性にもだいぶ疑問が残る。
一方で、ドイツの鉄道事情などはまさに「そうそう、こういうのが読みたかった」的な話であり、それだけに全体的に見るともったいない印象が残った。
そんな次第で、星三つ半相当の評価としたい。