【感想・ネタバレ】住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ちのレビュー

あらすじ

この本を読むだけで、われわれ日本人が夢のような国に住んでいることがよくわかる――ドイツ在住30年、現地で結婚し、3人の子供を育てた著者の集大成、空前絶後の日独比較論!! 日本人が憧れるヨーロッパの文化、街並み、そして生活レベル…特にその勤勉性が日本人に近いとされるドイツに対しては不思議な愛憎感情を抱いている。では、実際のドイツ人の日常生活とは? あまりに不便すぎて日本人ならとても生きていけない…。

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Posted by ブクログ

ドイツついて知りたくて読書。

ドイツ歴30年という著者から見た日本とそしてドイツの比較論。

日本国外へ出て初めて日本の魅力、素晴らしさを知ることは本当に多い。しかし、現在の単なる日本礼賛的なムードは危険だと思う。外を見ようとせず、内向きだけを向き進もうとしているから。

2012年には初めてドイツへ行き、今年は10回近く行く機会があった。ドイツは、アメリカよりは旅行者視点で便利だと思うが、幼い時から抱いていたドイツのイメージとはかなり違っていた。

ドイツ人は、ルール好きで、律儀で、時間にも正確と言われているが、いずれも日本人が思っているのとは違う。また、日本好きでもなく、どちらかと言うと日本嫌いのほうが多いとさえ思われるくらい。

本文に登場する尖閣諸島についてのドイツ語版ウィキペディアの例にあるように、ドイツ在住の中国人や中国系の力でそのような既成事実が作られつつあるのが現実。韓国もまたしかりで、したたかなロビー活動や国家ぐるみでの働きかけの影響は大きい。

日本はこの現実を直視して、しっかりとした対策をしないといけない。むしろ、この点は中韓を見習うべきだと思う。「いつかきっと分かってもらえる」という妄想は、日本人同士で通用する価値観であることを知るべき。

日本はいい国だが、閉塞感がありどこか息苦しい。ドイツは移民が多いためか、職業や業務の分業が進んでおり、旅行者視点でも格差を感じるが、適当な雰囲気が漂っており、居心地は悪くない。

日独の義務教育の比較。労働環境の比較。鉄道の比較。サービス比較は面白い。
双方のいい部分が上手に取り入れられればそれが理想。

やはりどの国も行ってみないと分からないこと多い。

ドイツやヨーロッパのサービスの低さを考えると、人のマナーには問題あるが、中国は少しはまともな国に思えてくるから不思議だ。

本書でもっとも印象に残り、また激しく共感を覚えたのは、
世界の多くの国が、イメージのほうが実態よりも良いなかで、日本は、実態のほうがイメージよりも良い唯一の国ともいえる。(p4)

この点、日本にいるとまったく自覚しないことの1つだが、非常に重要な点だと思う。

読書時間:約1時間10分

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2015年11月10日

購入済み

ちょっと思ってたのと違った

ドイツと日本を比較した軽い読みものだと思っていたら、ドイツの原発の現状について結構なページ数を使って書かれていたのでとまどいました。その後はドイツのあまり知られていないことが色々書かれており興味深かったです。ドイツは日本と同じ時間に厳しい国だと勝手に思っていましたが結構適当であることを初めてしりました。そういう意外なことがいくつかあって面白かったです。

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2014年10月08日

Posted by ブクログ

読後はタイトル通り日本が勝ち!とは思えないのだが、それでもたとえばツイッターなどで断片的な情報を見てドイツを楽園だと思っていると、そうではないと教えてくれる一冊。
残業まみれの日本で暮らしていると定時退社が当たり前のドイツに憧れを抱くが、定時ちょうどに退社すべく神経を張り詰めて働いている環境というのもそれはそれでストレスだろう。足して二で割る…とはいかずとも、足してドイツ寄りに割るくらいでちょうどよい働き方になる気がする。
またドイツがいともスムーズに脱原発に梶を切ったことに関心があったのだが、それはドイツ人ならその後のエネルギー不足で不便な生活を強いられても構わないというメンタルゆえだと思っていたら、そうではない、ドイツ人だって不便な生活をする気は毛頭ないので安易な脱原発は行き詰るだろうという指摘に目から鱗。

就活事情も、長い長い学生時代を経てようやく就職というのも、家庭に経済力がなければ厳しいのでは…。10歳程度でその後の人生を決めてしまうというシステムも、ほ~~んと欧米人って格差社会が好きだな!?と呆れ…。
SNSのちょっとした情報だけでは分からない海外事情を教えてもらえて、視野が広がった気持ちになれる一冊。

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2019年06月17日

Posted by ブクログ

ドイツ語の勉強の参考にと思って読み始めたけど、ドイツの文化を知るのにとても参考になった。特に95ページの東欧から「単純労働者が大量に流入」した影響の記述。第4章ホームレスが岩波新書を読む日本、チャンスは二度だけのドイツ、は日本の良さも理解できて参考になった。そして終章 EUのドイツはアジアの日本の反面教師、は今のTPP交渉にも言及していて、たいへん勉強になった。

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2017年12月06日

Posted by ブクログ

まあだからと言って日本サイコーとかは言わないんですけどねσ^_^;

この本にもありますけどいまの日本が誇らしいのは先人の知恵と行動の結果やと思います。
いまの自分たちはただその遺産を食い潰してないか反省します。
日の丸を見て美しい日本の美しい情景を思い浮かべることすら否定することは次代に何も残さず食い潰していくだけのような気がします。

世界は広いです。
たまたま隣接する国が難癖をつけてくるからって世界の全てではないです。
たまたま否応なしに関係性を求められるだけでこっち見んかったら良いのにと思います。
まあそれは関係性の薄い親日国と積極的に接してこなかった僕ら中堅世代の責任もあるのかなと思います。

これからは台湾やモンゴルやインドネシアやトルコやポーランドといった親日国と積極的に関係性を持っていかないといけないと思います。

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2016年09月09日

Posted by ブクログ

ドイツ在住者から見た日本という視点で日独の現在未来をご意見されている。ドイツ寄りでも日本寄りでもなく中立的で客観的なのが評価ポイント。わかりやすい文章で説得力もあるので納得しながら読み進められた。ただドイツのEUにおける立場は理解できるとしても、EUの理想、つまりヨーロッパの統合(アメリカ合衆国みたいな)からすると少しドイツのエゴが強いと思った(著者の意見に対してだが)。またTPPは経済連合だからEUほど強い結びつきではないと思った所を異論として挙げておきたい。

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2017年03月08日

Posted by ブクログ

☆5(付箋16枚/P187→割合8.56%)

ジャーナリストの著者だけあって、日独を比較する際の視点が色々と面白かった。
時間刻みの宅配便や電車がドイツと比較しても日本は優位なんだなぁ。


・長く外国にいると、日本がつぶさに見えてくることは確かだ。日本の長所は非常に多く、それはとりわけ実用面で際立っている。
一例をあげるなら宅配便。あの複雑なシステムを、あそこまで正確に全国津々浦々まで機能させられる国は、世界広しといえども日本以外にはありえない。時間に比較的正確な国・ドイツでさえ、電車が時刻表通りに走ることは稀なのだ。
ましてや、2時間単位の配達時間指定など、どの国であっても逆立ちをしても無理だ。彼らはそんなことが可能だということさえ信じない。しかし、当の日本人は、これが当たり前だと思っている。
しかし、日本人には欠点もある。たとえば論理性の欠如だ。ドイツ人は哲学的思考が好きで、思考の過程を愛しているが、日本人は議論などさしおいて、一足飛びに結論を出すほうが好きだ。言い換えれば、思考の過程よりも実務の結果に重点を置く。計算式よりも解答なのだ。だからこそ、日本人の手に掛かれば多くのことが完璧に機能するが、その議論は禅問答のようにわかりにくい。

・(尖閣諸島まで)出帆は石垣島の新川港から。小さな漁船である。これで外洋を170キロも行くなんて、信じられなかった。午後八時十五分、いよいよ出帆である。三日月が美しい…「着いたぞ!」という声で目が覚めた。どこに?え!魚釣島?慌てて甲板に出た。午前四時十五分。天候に恵まれたので、たったの八時間で着いたのだ。

・昔、「最後の授業」という作品を国語の教科書で読んだ記憶のある人は多いだろう。アルザスの学校でフランス語を教えてはならないことになり、フランス語教師が最後の授業を行いながら、そのうち悲しみで言葉が途絶え、黒板に「Vive la France(フランス万歳)!」」と書いて授業を終える。占領され、母国語を奪われたフランス人の怒りと悲哀が伝わってくる感動的な教材だった。
このおかげで私は、アルザスなどという遠い国の一地方の名を覚え、ここがフランス領であり、いままた、めでたくフランス領に戻ったのだと長い間信じていた。
だから、そのずっと後、アルザス地方の州府シュトラスブールを訪れたときも、国境を越えた途端に町の雰囲気ががらっとフランス風になったことに気がつき感銘を受け、「この地をドイツ領にしようなどとは、やはり無理な相談だったのだ」と思った。
しかし、少し歴史を勉強すると、アルザス地方は紀元前一世紀にゲルマン民族が住み付き、中世からは神聖ローマ帝国に属していたことがわかる。神聖ローマ帝国というのは、ドイツ人の帝国だ。住民のアルザス人はドイツ系で、当然、フランス語は話したことがなかった。
…五十余年ののち、普仏戦争でプロイセンがフランスを破り、ようやくアルザスを取り戻した。そして、アルザスの学校のカリキュラムからフランス語が削除された。宿命の敵の言葉だから、当然のことだろう。そこで、冒頭の「最後の授業」となるのだが、このときアルザスの学校では、フランス語は国語としてではなく、外国語として教えられていたということを知ると、「最後の授業」の趣はかなり変わってくる。

・登場するときに、ドイツの一般的な日刊新聞である「DIE WELT」を手にした。3月16日付の同紙の一面には、マスクをした背広姿の日本人が目を見開いている大きな写真と、「死の不安に包まれたトウキョウ」という大見出しが躍っていた。
ただ、私からすると、それはどう見ても出勤途中のサラリーマンが信号待ちをしている風景で、目を見開いているのは市の不安のせいでなく、信号を見ているように見えた。だいたい、マスクも放射能を予防するためではない。私が子供のころから、日本人はマスクを愛用しているのだ。
…同年3月24日付のニュース週刊誌「stern」の表紙デザインにも驚かされた。なんと、葛飾北斎の有名が浮世絵「神奈川沖浪裏」と、おそらくは芸者のつもりであろう舞妓さん、そして、侍と一緒に並ぶ自衛隊が合成されている。
特集のタイトルは「驚くべき国民」―もちろん、日本人のことだ。
震災直後こそ、不幸に見舞われても冷静さと感謝の念を失わず、助け合い、耐え忍ぶ日本人の被災者を褒め称えていたドイツメディアだったが、どうも方向転換をしたらしい。
記事を読んでみたところ、日本人は、集団のために自己を犠牲にし、苦しみになれ、しかも、感情のない、あるいは、感情を抑えることを学ばされた国民であるらしい。
その根拠として、「神風特攻隊」「ハラキリ」「赤穂浪士」の話が続々と登場してくる。特攻隊が出撃前に鉢巻を渡されている写真や、武士が鎧姿で正装している絵、そして、明治天皇ご一家の御写真などが、ふんだんに使われている。
なかでも逸品は、終戦後もジャングルで一人戦い続けた小野田寛郎少尉の物語で、ご丁寧にも、ぼろぼろになった軍服を着てサーベルを返還している直立不動の写真まで載せてあった。

・東日本大震災が起こるまでの、ドイツのエネルギー政策の推移を説明しよう。
まず2000年に、当時のドイツ社会民主党(SPD)・緑の党の連立政権と大手電力会社四社との間で、「脱原発合意」が取り決められた。
具体的にいうと、稼働しているすべての原発を、ある一定の量の発電を終えた時点で、徐々に停止していくという取り決めである。しかも、新しい原発はもう作らない。つまり、原発を近い将来に全廃するということを目標に据えた、将来のエネルギー政策に対する決定的な方向付けを行ったのだ。「脱原発合意」は、この連立政権の功績として、当時大きく評価された。
…ところが2009年、SPDが政権から退き、CDUが連立相手を自由民主党(FDP)に変えて以来、状況はにわかに変わった。そして2010年秋、それは決定的になった。「脱原発合意」はひっくり返り、原発の稼働年数を延長する法案が可決されたのだ。
これに対し、SPDや緑の党はもとより、何よりも国民が怒った。与党の想像を遥かに超えるほど、本気で怒ったのだ。
…多方面で評価の高かったメルケル政権だったが、ここに至って、原発に足をすくわれる可能性が強まっていた。バーデン・ヴェルテンベルク州という50年以上保ってきたCDUの牙城が揺らいだ。メルケル首相は窮地に陥った。国民の脱原発への意志を甘く見すぎたのである。
福島第一原発のあと、ドイツ政府があまりにも迅速に脱原発の方向に舵を切り直した事実の裏には、以上のような一連の事情があったことを念頭に入れなければいけない。
事故が起こる直前、メルケル首相は、原発稼働年数の延長という決定で墓穴を掘ったかもしれないという危惧を強く抱いていた。
「手遅れにならないうちに方向転換をしなければいけない。しかし、どうやって?」
そう思っていた矢先に、遠く離れた日本で、原発事故が起こったのだ。

・メルケル首相が脱原発に方向転換をしたのは、政治的圧力、つまり、支持者を失うという危惧が芽生えたからだ。しかし、日本のこのデモは政治的圧力になり得ない。なぜなら、この若者の大半は選挙に行かないからだ。

・ドイツでは、1991年にできた再生エネルギー買い取り法に基づき、再生可能エネルギーで発電された電気は、20年にわたって全量買い取りが保障されている。
巨大なソーラーパークやウィンドパークを経営している会社、あるいは、屋根の上にパネルを付けている一般の家庭や、畑の片隅に風車を一本だけ立てている農家のそこで発電した電気は、すべて20年間、その土地の電力網を持つ送電会社が買い取ってくれる。この固定価格買い取り制度が導入された当時は、画期的な自然保護システムと称賛を浴びた。
ただ、この制度には重大な欠点がある。再生可能エネルギーの生産にはお金がかかるので、それを助成するための買い取り価格というのは、市場の電気の価格よりも高くなる。当然、高く買い取った電機は、そのままでは市場に出せない。そこで、市場価格との差額分を誰かが負担して、埋めなくてはならない。結局、差額分はそっくり電気代に乗せられ、消費者が負担させられている。

・ヨーロッパ全体では原発建設ブームのようだ。とくに、東欧諸国とロシアが原発建設に熱心。ロシアは、天然ガスは西ヨーロッパに高く売れるので、自国で消費するのはバカバカしいと考えている。そこで、自分たちの電気は原発で賄おうとしているわけだ。一方、東欧の国々は、エネルギーについてロシアに首根っこを押さえられたくないから、原発を立てようとする。さらに、そのうちドイツで電力が不足したら、原発で発電した電気を売っていく腹づもりだろう。

・ドイツ人は整理整頓が恐ろしく上手で、どこの会社も棚にファイルが整然と並んでいる。私は、これをすべてなるべくわかりやすくして、同僚の休暇中の代行業務をスムーズにするための知恵だと思っている。

・経済成長の真っ盛り、安い労働力として使える外国人がいなかったからこそ、どんな仕事でも日本人が行うしかなかった。貴重な労働力となる中卒は「金の卵」と呼ばれ、いざ就職が決まると企業が素晴らしい寮を提供して、夜間高校へ通わせ、皆で育てた。使い捨ての外国人相手なら、こんなことはしなかっただろう。
そして、石油ショック後、ドイツ企業が設備投資をせずに、安い賃金でも働いてくれる字の読めない外国人をベルトコンベアに張りつけて、延々と非人間的な仕事をさせていたころ、日本では、単純作業をいかに知的な責任のある任務に変えようかという努力がなされていた。それにより、労働効率は飛躍的に伸び、そのノウハウは後年、「カイゼン」という言葉とともに世界に広がっていったのだ。

・ドイツの小学校は、原則として午前中で終わる。朝は、必要とあれば午前7時45分ごろから始め、10時過ぎの「第二の朝食」という20分ほどの休憩の他は、5分間の休憩で授業を詰め込む。
第二の朝食は、各自が家から持ってくる。ちゃんとサンドイッチのようなものを持ってくる子もいれば、りんご一個の子、お菓子を持ってくる子、また、何も持ってこない子もいる。そして、昼食は原則として自宅でとる。

・時間通りに走らないのもドイツ鉄道の特徴だ。10分ぐらいなら遅れではなく、ピッタリ定刻だと皆が感動する。遅れを告げる車内放送では、次の停車駅でどの接続便がもう行ってしまったかを淡々と教えてくれる。偶然、接続便も遅れていれば、「ラッキー!」ということになる。
もうひとつ信じられないのは、ホームで列車を待っていると、突然、「次の列車には6号車が接続していません。6号車の指定券をお持ちの方は、他の号車で空席を探してください」とか、「次の列車は、号車番号が前後反対になって入ってきます」というビックリ放送が流れることだ。こいったことはしょっちゅうある。

・ドイツ人は蛍光灯は病院のようだといって、とくに嫌う。また、家での食事のとき、たとえ電気を点けていてもテーブルにキャンドルを灯す家庭は多い。彼らの頭のなかで、あの合理性とこのロマンティシズムがいかに共棲しているのか、そのカラクリが私には未だに理解できない。

・ドイツには閉店時間法というのがある。1956年にできた法律で、それによると、飲食店とガソリンスタンドなどを除いたすべての店は、平日は夕方午後六時半、土曜日は午後二時で閉店し、日曜と祝日は終日店を開けてはならなかった。
例外は第一土曜日とクリスマス前の四回の土曜日で、午後六時までの営業が許されていた。それにしても、不便このうえない法律だった。働いている人は、ほとんど買い物をする暇がない。美容院に行くこともできない。だから、土曜日のデパートや市場は、ぞっとするほど殺気立っていた。しかし、この恐るべき法律が、奇跡の経済成長期もなんのその、40年近くも頑迷に続いたのが、ドイツという国なのだ。その後、閉店時間法は少しずつ少しずつ緩み始めて、ついに2006年、各州に委ねられることになった。

・彼ら(ギリシャ)が借金国になってしまった原因は、ドイツではなく彼ら自身にある。2010年7月、ギリシャは1829年の建国以来、初めて公務員の人数を数えた。その結果、どうも勤労者の四人に一人が公務員らしいことがわかった。

・よくわからないのは、これだけEUにガタがきているというのに、日本ではTPPに参加しようと旗を振っている人がたくさんいることだ。EUというのは、加盟国間での「人」「物」「サービス」の自由な移動をめざすシステムであり、TPPは共通の通貨は持たないものの、「人」「物」「サービス」の自由な流通という理念は、EUと原則的にはとても似ている。方向は同じだ。困窮するEUの国に住む私としては、EUとTPPがまったく異なるものだとは決して思えない。
TPPの不都合な部分は「交渉で解決すれば良い」という主張もよく耳にするが、日本がアメリカを相手に交渉で利を得ることができるなら、何も苦労はしない。

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2015年08月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

チェック項目13箇所。【ウィキペディアのドイツ語版】尖閣諸島はすでに1372年、明王朝時代の古文書に記述されており、1534年から中国の領土として認識され、中国の沿岸防御システムに組み込まれていたという、それどころか、尖閣の一部の島は、当時の女帝の手によって薬草商人に貸与されたとのことだ。領土問題が実効支配によって決まる限り、北方領土はもう戻ってこない、竹島もおそらく駄目だ、尖閣諸島でも、日本政府はあからさまな実効支配を避けているが、それを裏付ける軍事力がないのだから当然かもしれない。ドイツは、連合軍から押しつけられた基本法(憲法)を削除や変更も含めれば59回も改正した、軍隊の復活、東西ドイツの統一、EUなど、改正の必要な出来事が多かったこともあるが、2011年11月にも改正が行われている。日本には憲法を改正すれば軍国主義になると主張している人がいるが、あまりにも思考が短絡的すぎる、日本人で戦争に行きたいと思っている若者がいるなら、一度お目にかかってみたいものだ、日本は逆立ちしても軍国主義にならない、それはドイツと同じだ。雄弁に悲しみを語らなくても、日本人は悲しんでいる、ドイツ人とは悲しみ方が違うだけだ、しかし、それを理解せず、感情を出さないのは感情がないからだと決めつけるのは、それこそ自らの感情移入能力の欠如を暴露しているだけではないか。ドイツも日本も、それぞれに自分たちの道を模索している、脱原発に向かって果敢な努力を続けるドイツ、そして、さまざまな可能性を視野に入れて、安全で採算の取れるエネルギー政策を模索する日本。ドイツでは、どんな零細企業でも、病休と有休がごちゃ混ぜになることはない、具合が悪くて休みたいときは、電話一本でOKだ。ドイツ人にとって、有給休暇は純粋な休暇であり、病休とはまったく別ものだ、有休のもともとの目的は、日頃溜まった疲れを取り、心身ともにリフレッシュして仕事に復帰するための英気を養うことである。ドイツでは、突然電車が停まっても、たいてい説明はない。ホームで列車を待っていると、突然、「次の列車には六号車が接続していません。六号者の指定券をお持ちの方は、他の号車で空席を探してください」とか「次の列車は、号車番号が前後反対になって入ってきます」というビックリ放送が流れることだ、こういったことはしょっちゅうある。日本の電車は送れない、駅でない場所で停車すれば、たいてい二秒後にはその理由がわかる、車掌は礼儀正しく、デッキから客室に入ってくるときには、お辞儀までしてくれる。現在、ギリシャとスペインは、に25歳未満の若者の失業率が、それぞれ60%、50%を超えている、ポルトガルとイタリアは、若者の40%が失業者だ、一方、ドイツの若年失業者は、10%を超えない、失業率全体を見ても、コンスタントに6%から7%代を保っている。

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2014年11月22日

Posted by ブクログ

前々から気になっていた一冊。

8勝2敗かどうかはちょっと微妙。7勝3敗くらいな気がしますが、日本っていい国だな。日本って他と比べたらずいぶんマシだな。優れているところも多いな。と改めて感じました。
EU、移民、進学、短時間労働のストレス、電車の脱線等々。知っているようで知らない、聞いたことがあるようで詳しく知らないことがたくさん紹介されています。

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2017年08月19日

Posted by ブクログ

発刊されてからいつかは読みたいと思い、読み始めましたが、もう少し深い考察を期待していたのですが、ライトなノンフィクションという味付けでした。
それでも在ドイツ30年の著者ならではの、ご意見・考察がなかなか面白い。
特に長時間・低生産性型の日本の働き方と、短期間・高生産性型のドイツの働き方の違い。それに対し、短期間集中故にストレスがかかり、長期休暇も全力投球することで、精神疾患の割合がドイツ人に多いという考察には納得ですね。
また、勤勉性では日本人に引けを取らないというイメージがドイツ人にありましたが、鉄道時刻のルーズな面など、役割や責任が明確な故に融通が効かないという、欧米人の個人主義が顔を出したりして、痛快でした。
結論、日本人でよかった(笑

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2017年05月07日

Posted by ブクログ

初めてのドイツ旅行中に読んだので、本に書かれている内容が手に取るように分かるし、痛いほど共感できて良かったです。

夫がドイツ人なので、夫とも情報の信憑性を確認しながらの読書で、楽しかった。ドイツというEUを引っ張る先進国の内情や歴史的背景を見たとき、現在のドイツのあり方にはかなり不安を感じるところであり、子供を育てるにはやはり日本だなと、感じたところです。

教育に関してもドイツのほうが上をいっていると思っていましたが、それは大学の話。小学校は断然日本のほうが良いようです。とは言え日本の集団生活で秩序を重んじる日々の中、出る杭は打たれる間違った意識は子供には植え付けないよう、親が注意を払う必要があります。

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2015年08月26日

Posted by ブクログ

タイトルだけ見ると非常に下らなそうだけど、読んでみたら意外(?)とマトモで内容のある本。急に決まったドイツの脱原発政策の危うさや、EU唯一の勝ち組と言われているドイツさえも、長期的には著しく国益を棄損するのではないかという危惧が、在住者ならではの冷静な視点から述べられていて興味深い。ちなみに「8勝2敗」的な比較的下らない内容は、最後の方でチョロっと書かれていて、「ドイツの鉄道はサービスの概念がない」「ドイツの義務教育は質・量とも低い」「ベルリンの夜は繁華街でも暗い」「ドイツでは日曜日は店が開いていない。平日も夜6時でしまってしまう」ということみたい。そして、日本のダメなところは「議論・討論ができない」「英語ができない」「ハングリー精神がない」のように見えているみたい。ハングリー精神はその通りだと思うけど、伊藤博文や森鴎外のような明治初期の功労者クラスと比べられても正直言って困る。議論・討論に関しては、日本語に起因した日本文化との関係もあるし、これが非関税障壁として日本を守っている部分もあるので、一概に悪いとは言えないと思う。そして、英語に関しては、成毛真さんの説を引用するまでもなく「10人に1人くらいが使えれば十分」なのであって、日本人の半分以上が英語ペラペラなんてことになったら「日本」は亡びてしまう。まあ、何をもって「日本」だと見なすかで、この辺の考え方は着地点が異なるんだけど…。

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2015年02月01日

Posted by ブクログ

ドイツ駐在を控え手に取ってみた。読み終えた感想としては、8:2というよりは五分五分という印象を抱いたが、ドイツが皆が思うほど薔薇色ではなく、日本は日本人が卑下するほど悪い国ではないということを再認識できた。EU加盟のデメリットに苦しむドイツの未来に、日本はどう学ぶことができるかが重要だと感じた。

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2024年03月11日

Posted by ブクログ

個人的にはヨーロッパ編の方が面白かったがこちらも面白い。日本のサービスを当たり前だと思ったら国外では生きていけない。でもやっぱり日本の労働は見直しが必要だと思う。

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2021年10月05日

Posted by ブクログ

文章の歯切れのよさがよく、読みやすい。両方に住んだ人でなければ書けない本だろう。日本の宅配便や鉄道ダイヤの正確さは日本以外はありえないらしい。時間外労働を厭わない日本人だからこそ可能なのか。

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2019年08月12日

Posted by ブクログ

タイトルから日本とドイツの生活様式の違いや考え方の違いの本かと思ったら・・・尖閣諸島をからの領土問題、東日本大震災からの原発問題から始まります。
タイトルを裏切るまじめな内容でした。
が、読みやすい、わかりやすい。
きっちりがちがち真面目マニュアルなドイツ人!というイメージが少し変わりました。
技術大国、WW2敗戦国等共通点はあるけれど、立地条件が違い過ぎるからか、国民性の違いかそれぞれに一長一短。
でもそこに住んでるからこそそれが当たり前なことに気付かない面白さ。

鉄道の適当さにはビックリ!
日本の鉄道が時間通りに来るのは世界的に見ると凄い事、というのは知っていましたがここまでとは;

教育については日本国内だけではなく、国外にも出ていかねばならぬ現代、このままではいかんだろうとは思います。
中学高校大学と学校で週何時間も勉強して、塾にも通って、受験勉強までしても英語はしゃべれない。
TPPで外国の(主にアメリカ)の基準が一杯入ってきたら、きっと英語が必要不可欠になる。
しゃべることも出来ない大多数の日本人はどうなってしまうんだろう・・・。生活できるの?

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2016年06月05日

Posted by ブクログ

最近よくある日本アゲアゲ本かなぁと思ってましたが、ドイツ在住の著者が書いたコラムをネットで読んでとても興味深くおもしろかったので購入してみました。
タイトルはあれですが、ドイツを通して見える日本の問題もちゃんと取り上げられています。
そしてドイツという国をあまりにも知らなかったんだなあと驚きました。知ってみると、昨今のドイツが抱える問題も理解しやすい。
実直、規律正しい、経済好調、ドイツに対して抱くイメージはプラスのものが多く、それだけにVWに関する一連の問題の発覚は衝撃でした。この本自体は事件前に書かれたものなので、直接VW問題に言及されているわけではありませんが、その背景は透けて見えるようです。

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2015年10月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本とドイツを様々な観点から比較した本という
点に興味を持ち手に取った、が
冒頭が「私は尖閣諸島に行った。」で「え、これ
そんなに政治的な本?」と少し面食らった
その後、ドイツとフランスのアルザス地方の話に入っていく

ドイツというと几帳面真面目なイメージが付いていたが
鉄道はシステムもサービスも全然ダメで大学は良いが
義務教育は日本のほうがかなり優れていて、東日本大震災の
原発事故に大パニックを起こし、仕事と休暇をきっちり
分けすぎるため、休暇に力が入りすぎてさらに疲れるだけ、だったり…

現在、難民やVW不正で日本でもニュースで見ない日がないドイツ
彼らはどこに向かっていくのでしょうか。。

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2015年09月24日

Posted by ブクログ

文化の比較本としてはなかなか面白いのですが、読んだイメージからは8勝2敗じゃなくて五分五分って感じを受けました。
なんでこんなタイトルにしたんだろうねぇ。

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2015年08月06日

Posted by ブクログ

ドイツと日本との比較本。
ただ、最初のネタが原発&憲法と内容がちょっと重い。
(でも、物凄く大事なことを書いてくれてるので是非読んで欲しい)
3章以降から読むと気楽に楽しく読めるし、
憧れの的であったドイツに対して、「日本も良いよな」って思える。

タイトルはちょっと無理矢理感がある…。

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2015年02月05日

Posted by ブクログ

ドイツと日本の日常生活を比較するほのぼのとした本かと思いきや、領土問題や原発などの政治的な話もおり混ぜた内容。

ドイツに長年暮らす日本人筆者独自の視点から、痛快な語り口で書かれており、勉強になった。

ドイツはもっと整然とされ全てが効率良く回っている国かと思っていたが、実態はそのイメージとは異なることはわかった。

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2021年08月04日

Posted by ブクログ

ドイツは日本と似た技術者大国で、おまけにともに敗戦国であるため、日本と同じような社会なのかと思っていましたが、本書を読んでびっくりしました。やはり、完璧な国はなく、どの国も問題を抱えているのですね。
日本にも様々な問題がありますが、良いところま沢山あるので、良いところは伸ばし、悪いところは改善されればいいのですが。

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2024年04月27日

Posted by ブクログ

原発トラウマ強いのね! 30年暮らした筆者の体験談がみっちり。ドイツが日本をどう報道したか?チェルノブイリの恐怖を知ってるだけに、日本に対する警戒心爆上がりしてしまった感情、分からなくもない。
ただし、ドイツ長いせいか2013年発行だからか。日本の義務教育の良さを上げていて、齟齬を感じてる。教師はクタクタ不登校は増え続ける。ドイツの格差の大きさは、日本のこれからを暗示しているようだ。

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2025年12月02日

Posted by ブクログ

読みやすかったし面白かった。
途中の原発周りの話は細に入りすぎていたが、全体的には、マクロで状況を理解できてよかった。

日本とドイツを比べ優劣をつけてみることだったり、
同じ状況を照らし合わせて、状況を判断してみたり、
単純化されており非常にわかりやすかった。

優劣の部分では、教育での
エリート教育はドイツに部があり、義務教育は日本に部があると言うのは、なるほど、と言う感じ。
義務教育が充実しておりあまり落第者を出さない仕組みは俊逸なのだと改めて認識した。

エリート教育はいまいちだが、個々の課題認識は日本全体で共有されており、そのうち改善されそうな気もしている。

一方、今から弱者を救う義務教育を充実させるということの難易度は高そうで、長期目線で見ると、日本の方が教育がアップデートされる余地がありそうだなと思った。

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2021年02月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

題名からすると、優劣をつけることに重点をおいているのかと思ったらそうでもなかった。そもそも歴史・文化の違う国同士を比較するのは難しいですね。(汗)それぞれに次の課題が見えてきてるのに上手く移行できていないっていうのが、読書後の感想です。

①大学進学のチャンスは(ドイツ)2回だけ
②小学5年生で人生が決まるドイツ
③日本の義務教育はドイツに完勝!
④ドイツ人だけが放射能パニック?
⑤(電車内のエアコンが故障)車内は60度――技術大国の大嘘
⑥サービスが皆無のドイツ鉄道で
⑦便利を目の敵にするドイツ人
⑧(EUで)なぜドイツだけが憎まれるのか
⑨休暇がストレスのドイツ人
⑩(ドイツ人が)短時間労働+高給でも不満な理由


問題提起としてではなくて、エッセイとして読むと軽くていい感じでした。

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2020年04月29日

Posted by ブクログ

タイトルと内容があまりマッチしていないかな.日本はすこぶる便利な国であることは紛れもない事実.ででも幸福か?とは別問題.まあ最終的にはどこに住んでも本人次第.

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2018年10月09日

Posted by ブクログ

読書録「住んでみたドイツ8勝2敗で日本の勝ち」3

著者 川口マーン惠美
出版 講談社

p88より引用
“だいたい、働いている人が、自分の労働時
間をあまりにもシビアに見張り過ぎてい
る。”

目次から抜粋引用
“日本の尖閣諸島、ドイツのアルザス地方
 日本のフクシマ、ドイツの脱原発
 休暇がストレスのドイツ人、有休を取らない日本人
 不便を愛するドイツ、サービス大国の日本”

 ドイツ在住の作家である著者による、長年
のドイツでの暮らしから見えた日本との違い
を記した一冊。
 領土問題から鉄道運営についてまで、他国
に住んでみなければわからない視点で書かれ
ています。

 上記の引用は、労働時間の短縮に対するド
イツ人の態度について書かれた項での一文。
あまりにも自分の権利にこだわると、結局自
分の首を自分で締めることになっているので
は、と書かれています。
几帳面で真面目とよく聞くドイツ人の性質で
すが、何事も程々がいいのではないかと思い
ます。
 30年をドイツで過したという著者だからこ
そ、生まれた国である日本との違いがよくわ
かるのでしょう。日本しか知らない私は、普
段あたりまえだと思っていることが、とても
恵まれていることだと、改めて思うことが出
来ました。

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2015年03月22日

Posted by ブクログ

「住んでみたヨーロッパ 9勝1敗で日本の勝ち」がおもしろかったので先に書かれた本書を読んでみた。
残念ながら読んで少しがっかり。内容が悪いわけではないのだが、タイトルが内容とはだいぶ違うように思う。
何しろ尖閣諸島に行ったことから、領土問題、福島の原発問題などから話しが始まっており、少々違和感を感じた。
もっとも、ドイツから見える視点は我々からはなかなかわからないので興味深いのだが、やはりタイトルが気になる。
もちろん全体を通じてドイツに長年住んだ目から見た両国の違いはおもしろい。
休暇の取り方やサービスに対しての考え方の違い。というより日本に比べるといかにドイツのサービスが悪いか鉄道を例にとり説明している。ドイツをしても、日本の時間ぴったりに運行する鉄道というのは神業のように見えるようである。
教育制度についても10歳で進学が振り分けられるなど、確かに問題点があるように見える。しかし、その反面ドイツの学生は十分に勉強して鍛えられており日本の学生が幼稚に見えるというのは、何となく納得できる。
そして考えるべきはTTPだという。ドイツはEUの中で経済的にはもっとも貢献しているにもかかわらず感謝されず、多数決で議論が決められてしまっている。
日本もTTPに加入すれば輸出産業が有利になるなどという簡単な話だけではなく、アメリカ主導で多数決で経済政策が縛られてしまい、ちっとも日本のためにならないと警告している。確かに、「グローバリズムという病」でも同様なことを考えさせられる。アメリカの「俺にももうけさせろ」という多国籍企業にとっては日本はTTPのいいカモなのだろう。

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2015年02月14日

Posted by ブクログ

第1章 日本の尖閣諸島、ドイツのアルザス地方
第2章 日本のフクシマ、ドイツの脱原発
第3章 休暇がストレスのドイツ人、有休をとらない日本人
第4章 ホームレスが岩波新書を読む日本、チャンスは二度だけのドイツ
第5章 不便を愛するドイツ、サービス大国の日本
終 章 EUのドイツはアジアの日本の反面教

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2015年01月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本のイメージを誤解させるようなタイトルで、内容もそれと合っていないなんとも編集者の意図が見え隠れする本です・・・
そもそも尖閣諸島のことやEU加盟国の経済問題についてかなりページが割かれていて、日本とドイツを比較する構成になっていないし、表題の、何をもって8勝2敗なのかは最後までわかりませんでした

とはいえ、内容は興味深いところもあります。
ドイツ人と日本人は似ているというイメージが覆りました。
例えば勤労観。
働く事に社会奉仕的な意味ややりがいを感じて働いているのは日本人だけ。
また、公共サービスは皆無でサービス大国の日本とは180度異なるし、鉄道の正確さも日本が圧勝。
一方で議論を学ぶ教育制度が日本には無いとことかは負けてる。

へえ~、と思う一方で著者の「有給休暇」の理解は非常識だったり、EU内で存在感があるのはドイツが優秀な軍隊を持っていることも一つの理由だと言ってみたりで、著者にはちょっと不信感を覚えました。

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2014年12月25日

Posted by ブクログ

 正直、需給が一致してないのではないかと思う。そのことでだいぶ星の数を下げている。
 というのも、前書きなどに見られるような日本とドイツとのギャップを(読者として)求めていたのに、第一章は著者が尖閣諸島に向かう内容を置いている。いきなりの肩透かしなのだ。しかも、内容的にはかなり思想的に(右に)偏っているのだから、これはちょっとね。
 有給の件などを見ていても、どうも著者はドイツボケし過ぎていて、冷静に日本側を見ているか不安が残るし、自身の経験に基づかないうろんな情報も書いてしまっている様子が見受けられて、信憑性にもだいぶ疑問が残る。
 一方で、ドイツの鉄道事情などはまさに「そうそう、こういうのが読みたかった」的な話であり、それだけに全体的に見るともったいない印象が残った。

 そんな次第で、星三つ半相当の評価としたい。
 

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2014年11月17日

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