【感想・ネタバレ】世界一豊かなスイスとそっくりな国ニッポンのレビュー

あらすじ

30万部を突破した『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』と『住んでみたヨーロッパ 9勝1敗で日本の勝ち』に続く、待望のシリーズ第3弾! お隣の国同士なのに、ドイツとスイスは大違い。そこで在独35年の著者が、世界一無愛想な人々が住むドイツからスイスに行って観察したら、日本との共通点の多さにビックリ。世界一豊かな国スイスとおんなじならば、日本人ももっと、幸せを実感して生きたらどう? そのヒントを!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

世界一豊かで幸せな国スイスとよく似ている日本。小さな国スイスができることは日本でもできるはずである。日本の良いところを活かし、考え方を変えれば日本はより良くなる。日本とスイスの共通点・異なる点・改善するべき点について考える。スイスを見習っていけばもっと良い国になっていくだろう。様々な観点から日本とスイスを比較していく。
日本とスイスの共通しているところは、どちらの国も物作りが得意だということだ。元々、日本は機械産業が盛んで特に工作機械では生産額が世界一だった。しかし、2014年には日本は世界一ではなくなってしまった。そんな中、人口が少なく小さな国であるスイスは少しずつ成功している。スイスでは時計産業が盛んだ。スイスメーカーの時計は世界の時計の売り上げランキングで上位3位を占めている。スイスと日本は物作りが盛んな国という点では共通しているが完成度の高い製品という点ではスイスの方が断然上だ。スイスは一つの製品を作るのにかける時間と費用が日本の倍以上である。スイスは、最高級の製品を目指して最高の材料を使い、一つ一つ丁寧に手作業で作り、磨いていく。
日本とスイスで異なるところもある。それは、選挙法である。日本は、国民の代表者が議会に参加し、審議をする間接民主主義である。一方でスイスは国民全員が直接選挙に参加し、審議をする直接民主主義を使っている。直接民主制を行う場合、国民全員が政治の知識をある程度持っていなければ正しい選挙ができない。しかし、間接民主制であれば知識のある人を国民の代表者とするため正しくできる。政治を上手く回すためにはその場の雰囲気や感情で審議する人がいない間接民主制を使うべきだと思う。
また、日本が改善するべきところはの日本の旅館である。現在、日本の旅館の数が減少している。それは、日本人から良い評価を得られず潰れてしまっているからだ。良い評価が得られないのは交通の便や施設の機能性など不便だと感じるところは改善し、日本の伝統は残すということをしていないからだ。外国人に合わせた入りやすい旅館を作るのではなく、日本の良いところは取り入れたまま不便なところを改善し、日本人が満足するような旅館作りを目指していくべきである
また、スイス人は国を守るという意識が高い。国民一人一人が自分の国は自分で守るという考えを持っている。その一方で日本は戦争を放棄したため、最悪の事態を予測して備えるという意識が低い。だから日本もスイスを見習って自国や自国の周りで起きていることを理解し、危険を察知できるようにしておくべきだ。日本人の意識の低さを改善するべきである。
さらに移民問題について、スイスはEUと協定を結んだ結果、EUとスイス間の移動が自由になり働く場所も増えた。しかし、あまりにもスイスに来る移民の数が多いため国民の間で不満が広がり新しく法律を作って、移民の数を制限した。日本は移民を受け入れている。しかし、その目的が経済の格差によるものであるならば移民問題を平和に解決するには仕事で人を雇う側も雇われる側にも不満が残らないよう、平等に行う必要がある。だから、移民政策を進める上でお互いが納得するようなやり方をするべきである。
このように、日本とスイスを比較すると共通点・異なる点・改善点等、色々なことが分かる。スイスを見習い、悪いところは改善し、良いところは広める。日本人がもっと自信を持ち、日本の伝統を海外にアピールできたら日本はもっと成長できるだろう。

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2018年05月13日

Posted by ブクログ

私にとって、欧州の国々では、スイス、フランス、次いでドイツが馴染み深い国です。川口マーン惠美さん、初読みです。「世界一豊かなスイスとそっくりな国ニッポン」、2016.11発行です。とても興味深く読み終えました。海に囲まれ、山に囲まれ、海に山に畏敬の念を抱く両国、自然に支配され、かつ自然に寄り添い、勤勉に働き、安全で清潔で秩序正しい暮らしを営んできた日本とスイス。これからグローバリズムの波にどう対応していくのか・・・。なお、スイスの自然重視・景観維持の農業政策(補助金)は、動物愛護、自然保護、安全な食物が目的とか、素晴らしいと思います。また、各家の地下に核シェルターがあって2w生活可能というのも現実的だと思いました。

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2018年01月26日

Posted by ブクログ

単なる日本vsスイスの比較本ではなく、日本をどうこれから再建していくのか、たくさんの気づきを日本人にもたらしてくれる、
いや、それ以上に、エネルギー政策など日本が表面しか見ずに間違ったEUのエネルギー政策の解釈をし単純に真似ようとしていることにも提言。
日本の将来のために、日本の政治家やメディアを発信する人にぜひ読んでほしい。

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2017年12月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【スイスについて博識な気分になれます】
日本よりもスイスについて知ったのではないか、と思えるぐらい、
分野横断的にスイスについて学べた一冊でした。
突っ込みたいところに著者がどんどん突っ込んで答えてくれます。

・なんでそんなにお金持ちなの?物価も給与も高いの?
著者は、カルヴァンにプロテスタントに成金スイスをたどっています。

・連邦制度と直接民主主義はどうなっているのか。
年に4回も、国民が擬態に対して投票するとか、中には特に議論の内容を知ることもなく投票する人もいる、そして投票率はそこまでよくなく、50%など。
それでも、国民が発動できるレファレンダム制度は、選出された後も議員に緊張感をもたらし、直接民主主義の機能が発揮されていると言える…。

・小国なのにどうやって経済力を保っているの?
まず、スイスは銀行で有名。20世紀の戦時中も、中立国の立場を保ち、守秘義務を以って各国の資金取引がスイスに集まってきたそうです。
2013年に国際的な脱税・租税回避を防ぐ条約に署名するまでは、脱税はとくに規制対象ではなかったとか。
そして、輸出国です。化学・薬品が40%。バーゼルには、ノバルティス、ロシュなど大手製薬会社があります。
時計。製造の95%が輸出です。精密機器の発展は、ユグノー戦争に足られます。この戦争で弾圧されたフランスのカルヴァン派がジュネーブに逃げた際に、手工業技術を持ち込んだとか。

・ユーロは導入せず、強いスイスフランを使い続ける。
スイス独自の通貨、スイスフランが強いそうです。特に執筆当時かな。そしてそれが輸出産業にはよくない。
2011年9月に、スイスは、1ユーロ=1.2スイスフランを最低為替レートとして設定する、という決定をしました!
2015年1月にその上限を撤廃した…直後から一気にまたスイスフランが高騰した、らしい。 現在、1ユーロは0.95 スイス・フラン。
私が1年半前にスイスに行ったときは、ユーロとスイスフランはほぼ同じになるようになっている、って聞きましたが、
だいぶ落ち着いているのかな。

・子ども召使制度、走りませんでした。
1800年から1981年の撤廃まで、里親制度、とでもいうような、貧困家庭・離婚家庭の外国人の子どもを直訳「子ども召し使い」として養子にする、あるいは孤児院に入れる、というような制度があったらしい。これは児童労働として、救済措置が取られたりさ手ているそう。

・農業。
スイスといえば、のどかな農村景観。本当に緑の芝生にカウベル響いてました。
でも、農業人口の割合は日本より全然低いらしい。
世界戦争を背景に、1940年~45年に実施されたヴァーレン計画という農地拡大政策で、農地がほぼ2倍になったとのこと。
食料安全保障に欠かせない農家を保護するために、輸入品への高関税、輸入制限、買い取り保証などが実施され、
1999年には、関税政策から直接補助に政策が変わった。これも国民投票による決定。
先日読んだ本にも合ったけれど、とにかく農村景観は国益と位置付けられ、補助金額は今や農業予算の7割、らしい。

・ホテルとホスピタリティ
1893年にローザンヌにホテル学校ができたらしい。
19世紀ヨーロッパの観光業の黎明期の最中にあり、
このホスピタリティ産業は功を奏し、
今もローザンヌの学校はエリート養成学校として、
修了までに150万フランがかかってでも、
応募する人は絶たない。

・軍事。
もともとスイスの成立は、1291年のスイス誓約同盟から。
傭兵輸出を国策産業として、スイス貴族がヨーロッパ各国と契約し、
18世紀後半のルイ16世の窮地でも、スイス傭兵が近衛兵として仕えていたらしい。
そのフランス革命後、国民思想の広がりと共に傭兵産業は下火へ…
それでも今日は、スイス兵がバチカンを守る。唯一許されているらしい。

そして核シェルターの収容可能率は、全人口の114%。
1960年からの、各家庭に地下核シェルター設置義務は、
2012年に緩和され、最寄りの公共シェルターに家族分確保していればOKに。
欧米は割と核シェルターちゃんと持っているんだね。ノルウェー100%、などなど。
日本 0.02%はないも同然だね。

そして永世中立国の軍事は、男性の徴兵義務、女性は任意。

・アルプスの世界最長トンネル。
2016年に、17年がかりで掘ったゴッタルド基底トンネルが完成したらしい。
鉄道用。57キロ20分。世界一長いトンネルらしい。
スイスを通過するトラックで、渋滞が問題らしい。

・移民。
1999年のEUとの二カ国協定では、いろいろな分野で自由貿易等の協力に同意。
2008年のシェンゲン条約加盟で、人の移動も自由化された。
執筆当時、4人に1人外国人という。
高給労働者、低賃金労働者の双方がいるという。
そして、2014年、イギリスのEU離脱可決の裏で、
スイスもこのシェンゲン条約に異を唱えるような新法案の議論がなされていた…
この法案は、EU移民も制限する内容が入っていたが、
調べたところ、2020年に否決さてていました。

・スイス、と、日本
アルプスは、今では観光地として人気が高いですが、
もともとは危険なアルプスの峠を越えるのは、難所とされていたそう。

著者は、このスイス人と自然との共生の中に「崇高美」があり、
これが、危険や荒涼への負の感情、強い恐怖感に裏打ちされている、といいます。
畏怖の念。
スイスで美術館を訪れた際に、山の絵がたくさんあるなーと少し日本との親近感を感じました。
貨幣の展示を見たときも、手先の器用さ、精巧さに日本と似たような部分を勝手に感じた。

「日本にある無限の資源」について論じられている松下幸之助の文章も引用されていましたが、
本当に、多様な自然景観、気候、勤勉さ、清潔さ、…日本にも誇りに持てる者がたくさんある。

あまり比較にこだわらず、他国のすばらしさを知って、自分たちの素晴らしさも見いだせる視点を持っていこうと思いました。

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2024年06月14日

Posted by ブクログ

今は豊かなスイスだけれど
過去には 人身売買も盛んだったり
傭兵を出稼ぎさせて稼いでいたり
悲惨な歴史があってこその 努力ともいえ
成功例をそのまま真似ても
うまくいくかなぁと疑問に感じますが
内容はとても面白くて
スイスの賢明さに脱帽でした

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2018年11月17日

Posted by ブクログ

ドイツ在住の著者の今回はスイス論。本書を読むと日本と似ている部分と全く異質な点がよくわかる。
ヨーロッパで各国に囲まれて歴史を重ねただけあって、日本にはない悲しい歴史と合理性を併せ持つ素敵な国だとよくわかる。
物価の高さはやはり半端ないので永住するには覚悟がいる国だと再認識。日本もスイスの良いところを見習えばまだまだ存在感を上げられる余地は残ってると思う

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2019年06月12日

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