荒このみのレビュー一覧
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レットが娘のボニーを溺愛し、甘やかしすぎてわがままになってしまったのは、スカーレットがレットと結婚した後もなお、アシュレーへの未練が残っていることが筒抜けだったことが原因であると思う。
最終巻である本書は、スカーレットがレットとの過去を懐かしむ描写、「今までレットは自分を愛していなかったと思っていたが、実は愛していたのでは?」と思う瞬間、盲目的に肯定していたアシュレーへの不満が募るシーンが目立つ。
また、スカーレットはここに来てようやくメラニーの大切さに気づくのが、グッとくる。メラニーが「もしかしたらスカーレットとアシュレーの関係性、気持ちに気づいていながら優しくしてくれていたら」と妄想し -
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アシュリーへの好感度が巻数を重ねるごとに下がっていく。そもそもメラニーと結婚した時、スカーレットが完全に諦めてくれるようにスカーレットを完全に拒むべきだったし、そうでなければスカーレットと結婚すべきだった。そして何より、メラニーほど優しい妻はいないのだから、メラニーを溺愛し、スカーレットを拒絶することだってできたはず。過去に囚われ前に進めないくせに男のプライドも完全に捨てられない、なよなよした性格に苛立ってしまう。そしてこのアシュリーに対する苛立ちはまた、レットの発言によってより強固にさせられるのである。
もちろんスカーレットもアシュリーが自分のせいで苦しんでいるということになぜ気がつかない -
Posted by ブクログ
前巻に引き続き、後書きや注釈が良い。マミーを固有名詞と捉えて読んでいたが、偶然黒人乳母の名前がマミーであったのではなく、普通名詞をあたかも固有名詞のように、「もの」のように扱っている当時の黒人に対する向き合い方が滲み出ていることに気づけなかった。アマルガメーションについてあえて触れていないのは、物語の本筋ではなかったからなのか、触れたくなかったからなのかはわからない。
レット・バトラーが南部の人々を常に馬鹿にしたような振る舞いは、既に南北戦争の結末を知っている我々にとっては単にムカつく男だとは捉えにくい。むしろ、先見の明があるという魅力を感じてしまうので、彼を無意識に高く評価してしまう。
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Posted by ブクログ
ネタバレ出産後、ウエスト20インチ(約50cm)で太いだなんて(笑)
スカーレットは考えなければならないことでいっぱい。
その場で感情で言葉を発すると相手を傷つけたり。
「明日考えよう」今考えると潰れそうになるから。
そして、ちゃんとその時その時で反省して考えなかったからこんなことに…感情に任せて突っ走りすぎた。
自分のための行動だと行動力があるのに、周囲の人たちのことについては無視して行動しない。
メアリーが感謝していることについても、表面は助けていたように見えるが、結局スカーレットは自分のためにしたことだ。
(それでも大変な目にあってたのだからスカーレットはよく頑張った。メアリー以外の人にはわ -
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Posted by ブクログ
出色のヒロイン、スカーレットの物語は、過去に読んだアイン・ランドの「肩をすくめるアトラス」にあった次の一文を思い起こさせる。
「円は自然にかなう運動であり、私たちの周囲の無生物界にあるのは円運動だけだと人は言うけれど、直線が人間の記章なのだ、と彼女はおもった」
スカーレットは行動する。摂理にかなう円運動ではなく直線を引こうとする。彼女の直線運動はたいていの場合、惨めで呪わしい結果を生む。愚かなのだが愛さずにいられないのは、愚かさゆえ。
よりどころ、たよるべき人を貪欲に求めて鞍替えしていく姿は、浅ましい。だが悪徳も魅力と思わせる描き方がされている。彼女の生き方が呼ぶ波紋を通して、南北戦争前 -
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アフリカから奴隷としてアメリカに連れてこられた黒人が、アメリカという国家の中にあるが、白人と同等の権利を得られないことでアメリカ人になることができず、「アメリカの黒人」として存在せざるを得ない、ということについて、「アメリカの黒人」の誕生の様子を南北戦争前後の時代の文学作品から分析したもの。ストウ夫人の『アンクル・トムの小屋』や、ヘイルの『リベリア・またはペイトン氏の実験』などが取り上げられている。
奴隷解放論者は、奴隷を解放することには賛成だが、「アマルガメイション」は望んでいない、という事実が驚きだった。「奴隷を解放すること=黒人と共生すること」とは絶対になっていなかったということがよ