色川武大のレビュー一覧

  • 狂人日記

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    「時代を切り取る」というのはこういうことなのか、と今まで知らなかった感覚を知る。(私は感覚が弱いので、こういう風に分からせてもらえないと分からない)情景や、男女の結びつきよう、人付き合いのあり方など全てが古く、色あせてよめるのに気持ちの部分だけが普遍的にリアル。読んでいる中でのこの実感が何よりすごい。

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    2012年09月12日
  • 狂人日記

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    ネタバレ

    ふわふわと夢の中を歩いているような感覚。
    脱力感と、不安とを抱えながら、
    夢か現実かわからなくなる霧の中を
    分け入って、物語をたどっていく。
    そして、たどりついた失望と絶望。
    どうしようもなくつらい世界なのだけれど、
    これを描ききった作者は、この病気で
    亡くなった人のことを想い、書いたのだと
    あとがきで知り、底知れぬやさしさを感じた。
    やさしい、やさしい、繊細な人だったのだろうな。

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    2011年09月28日
  • 離婚

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    第79回直木賞。
    登場人物はたったの2人。夫・誠一と、妻・すみ子。話は2人のなれそめから、6年経って離婚したのに、以降もずるずる付き合っているという話。
    話自体はなんともへんちくりんで滑稽だが、両者の人間味が出ていて密度の高い作品。
    著者・色川武大といえば、別名・阿佐田哲也。麻雀小説でおなじみの作家がこういう作品で直木賞を獲るんだから、きっと器用なんでしょうね。

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    2010年07月15日