色川武大のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初めて書いた小説は父親を薪割りで叩き殺す話であったー自らの創作のルーツから、父との複雑な関係を描き続けた色川武大の4つの作品を収めた短編集。
作品全ては時系列は異なれど、父親との関係性を巡るものである。叩き殺したい、という明確な憎悪があるわけではないけれど、かといって愛情があるわけでもない。それでも父がただ寂しく亡くなるのだけは避けたいと思い、珍しく能動的なアクションを取る「永日」が印象的。
日本文学の潮流の一つである私小説の流れを色濃く受けている作品である。そしてそこには、私小説というものの意味合い、つまり極めてパーソナルな事柄を突き詰めていけば、万人に通用するユニバーサルな何かが描ける -
Posted by ブクログ
どこか人間的な回路の一部が壊れていたり、制御出来ないと言う事を知っていて、「自分は普通じゃない」と自覚もある。
それは一時的なものであったり、あるキッカケで発露するものであったりする。常に壊れた状態である訳ではない。仕事もしていた。人とも触れ合っていた。
ただ働いて食って寝る…そう言った普通の生活を続けていくことが出来なくなったり、出来なくしてしまうそんな自分が好きになれなかったり排他的になってしまったり…
普通に生きようと変わる努力を続ける二人のやり取りを見ていて、普通とは一体なんなのであろうかと考えさせられてしまいました。
普通じゃない。
マトモじゃない。
気が狂ってる。
普通に見えてもみ