色川武大のレビュー一覧

  • 狂人日記

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    HSPを自称している人々に、読んで欲しい、これこそ他人に迷惑をかけてしまうことを恐れ、視覚、聴覚が繊細すぎるがゆえの幻、が、ある主人公なのだ。HSPを自称するということは、繊細を売りに出している、商売にしている時点でそれは繊細でもなんでもない、HSPという薄汚い膜をはることで孤独ではないことに安堵する健常者であろう、
    って色川さんに現代を描写されているみたいで、

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    2025年06月21日
  • 狂人日記

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    ものすごい迫力で
    幻視、幻覚、幻聴の世界が繰り返される
    自分の見ているものが
    他の人にも見えているものなのか
    わからずに混乱
    わかっているのにつらい

    あまりにも細かい描写で
    作者の体験談かと思った
    しかし
    あとがきで友のことが書かれていた
    が、こんなにもその世界を語れるのは
    すごすぎる
    あるいは
    誰もが少なからず経験しているのかもしれない
    そう思わせる

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    2025年01月30日
  • 百(新潮文庫)

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    再読した『連笑』を含めて、自身の家族関係を扱った短編集。作品ごとにテーマは弟、自身の病等少しずつ変わるが、一番大きな背景は父親だろう。今なら「毒親」と呼ばれかねない際立った個性を持つ(しかも働かない)父親と、なぜか緊張しながらもこだわり続ける著者の不思議な親子の関係性が興味深い。特に老耄が極まり入退院に至った経緯が描かれる『永日』は感動的。

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    2024年10月14日
  • 狂人日記

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    タイトルがタイトルなだけに狂ったような想像をしてたけど、主人公はこの世の全ての人間と紙一重な場所にいて誰よりも他人を求めて繋がることを最後まで諦めなかった、幻覚か現実か自分なりに探りながら読み進めていくのが面白くてでも気持ちは浮かばなくて、終盤にかけてどんどん辛く思いながらも健常者のふりをして生きる事がどういう事なのか人間の在り方を考えさせられたり本当の優しさや敏感で鈍感で矛盾しているのが人間だと思ったり、大切な人に読んでほしい純文学の宝だと思います

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    2024年06月26日
  • 狂人日記

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    タイトルが『狂人日記』ですが、「狂人」という言葉と裏腹に、精神病院に入院している主人公の語り口はいたって冷静です。現実と虚構を繰り返す中、自己の状況を細やかに分析して内省しています。ただ、その冷静に語る心の内が、ところどころ読み手の胸を刺す言葉がいくつもあり、どんどん話しに引き込まれました。

    主人公は幻覚や幻聴はあれど、病気で働くことが叶わず、一緒に暮らしている女に対して申し訳なく思っているところは、まったく健常者と同様です。それだけに、余計に気に病んでいます。逆に、当人が病気であることに甘えて、周りの人たちに依存できれば、少しは気分も楽にもなるのにと、気の毒なところも感じました(それができ

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    2023年11月08日
  • 狂人日記

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    思い浮かべるのは島尾敏雄の『死の棘』、武田泰淳の『富士』。
    一人の人間が作品に執着出来る範囲を遥かに超えており、純粋に屈服させられてしまう。
    とりわけこの作者のひたむきと言える作品へのエネルギーと凄みの加え方は読後も後年印象に残る。
    読書体力は要すが名作。

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    2023年09月29日
  • 百(新潮文庫)

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    大好きな作家・色川武大の大好きな一冊。自身の卑屈な部分を非常に繊細で絶妙に表現している。同時に、とても純粋な人間性を持っていた方なんだというのも見てとれ、読後のくどさがない。親との確執、愛情、自己との葛藤、自嘲……。誰もが持つ泥臭さを、美しい文体で著した一冊。何度でも読み返したくなる。

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    2023年04月12日
  • 狂人日記

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    もう読みたくない!ってくらい落ち込む。それくらいリアリティがあった。「自分も将来こうなっちゃうのかなあ…」って気分にさせられました。

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    2023年01月15日
  • うらおもて人生録(新潮文庫)

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    これは時代を超えて読まれる本。
    座右の書にする。

    参考になったことは枚挙に暇がないが、取り急ぎメモしたポイントは以下の通り。

    人生を俯瞰して眺める。9勝6敗の勝ち星・負け星を目指す。適当な負け星を拾っておく。

    禍福は糾える縄の如し

    あたらしい世界に入っていったときは、納得するまで眺める。新しい職場では、まず白紙。能力を隠したり、とぼけたりする必要はないが、要領やテクニックは最初は出さない。小さなところでは先に陣を張った人を尊重する。礼儀、あらゆるものの下につきながらも、眺めてる。他人の様子を実例にする。基本セオリーを多く発見する。

    大きなところでは、自分の生地をいくらか配慮しつつ、出

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    2022年10月08日
  • 狂人日記

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    幻覚と現実が区別なく淡々と記される。それでも根底にあるのは誰しもがかかえる孤絶で、主人公のあこがれる健常者という在り方自体がなによりもの幻想なのだと思える。その幻想を支えるのが病だ。「いつか病気が治ったとき、空には何もないだろう」という一文が胸を打つ。

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    2022年09月11日
  • うらおもて人生録(新潮文庫)

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    劣等生に対する人生の生き抜き方を教えてくれる本。戦争、退学、博打打ちなど経験し「どろどろ時代」も過ごしてきた著者が、様々な場所で様々な人を観察してきた経験を基に、人生をしのぎ勝つ方法を教えてくれる。
    特に、9勝6敗論、先制点を取得、自分の駄目なところを守り育てる重要性は、いつも目の前のことや自分のことで必死になってしまう自分に対して、とても必要な観点だと感じた。


    この本に出会えてよかった。



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    2022年03月26日
  • 狂人日記

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    正気を失うという言葉を体感できる
    主人公の脳内と現実が混じり合い、精神が崩壊していく様子の表現が素晴らしい。
    所々生々しいのも良い。
    1回読むだけで十分。

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    2022年03月16日
  • うらおもて人生録(新潮文庫)

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    とても面白かった。
    いままでと違う視点、感性を知れたよう。会うべき時に会うべき人と出会うように、本もまた然りだなと思う。

    人生の中には幾つかのフェーズがあって、そのいくつかのフェーズを経ていないとわからない観点のお話だなあと随所随所で思った。
    自分の弱さやどうしようもなさ、しょうもなさに気づいて受け入れられているかどうかは人生のすすめかたにおいて大きく影響することだなあと思う。でもそれって、簡単じゃないなって思う。だって若さはそういうことを美しいほど綺麗に拒絶したりして、勝手にだいぶ深い傷を負ったりすることだから。それって誰もが通ることで、ありきたりで格好悪くてどうでもいいねって言いたくて

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    2021年11月18日
  • うらおもて人生録(新潮文庫)

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    色川武大 「 うらおもて人生録 」プロ論であり人生論。若い人 向きに書いているが、若い時には わからない 現場感がある

    著者の博打打ち人生から プロとして細く長く生き抜く術を論じた良書。共感する言葉が多々ある

    共感点
    *プロはフォームの世界
    *9勝6敗を狙う
    *運をコントロールする〜運は 公私を問わず 生涯で通算すると、プラスマイナスゼロになる
    *生きているだけでも、かなり運を使っている

    プロはフォームの世界
    *プロは強弱を問題にしない〜プロに弱い者はいない
    *プロは ほぼ一生を通して メシが食えねばならない
    *選手の目標は 年間打率であり、通算打率
    *フォームは 今日まで 守ってきた核

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    2021年08月13日
  • うらおもて人生録(新潮文庫)

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    名著。
    2020年8月18日讀賣新聞朝刊に「没後30年 底知れぬ魅力」と色川武大の記事が出ていた。人気だそうだ。
    ほぼ日の読書会第1回課題図書。以前から「麻雀放浪記」とか、「友は野末に: 九つの短篇 」は読んだことがあった。「霧中の読書」 荒川 洋治 がこの本を絶賛していて、まずこれから読めと、言われて、読んでみた。
    暖かい気持ちになれた。劣等生でもいいんだ。
    「9勝6敗を狙え。8勝7敗では寂しい。10勝を狙うと無理がでる」有名な文章である。
    新聞連載であった。

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    2020年08月18日
  • 私の旧約聖書

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    正直まだすべては理解できないけど
    作用と反作用のような自然の摂理は昔から変わっていないことは想像がついて、今の世の中を見るときのヒントになると思う。

    自分の成長とともに読み返したい。

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    2019年06月01日
  • P+D BOOKS ばれてもともと

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    「色川武大の文章」の魅力について考えた時、ふと分野は異なるが「桑田佳祐の歌」と近い点がいくつか思い浮かんだ。

    どちらも、その魅力の要がtone(色川さんの場合は文体、桑田さんの場合は正に声そのもの)であり、大げさに言うなら「作品が何について語っているか(書評の対象が何かとか、歌詞がどうとか)以前に、その声だったり文に触れるだけで受け手を惹きつけてしまうような圧倒的な強度」である。

    あとは「才能や感性でさっと作っているように見えて、かなり冷静な自己批評の視点を持ち合わせている感じ。また、それを作品に落とし込むバランス感覚」だ。
    また、どんなに人間のロクでもない部分を描いても、根っこの部分の品

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    2019年03月30日
  • うらおもて人生録(新潮文庫)

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    開始3ページでこの著者はとんでもなく優しい人、なのではないかという気がしました。
    そして、全編通して読んでみて、当たっていた、と思いました。

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    2019年01月15日
  • 百(新潮文庫)

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    退役軍人の父親との親子関係をつづった私小説短編集。

    起きていることをあるがままに受け入れるということは
    実は大変なこと。でも、この親も、この子(著者)も、それ
    が出来てしまう。出来てしまうと言うよりは、そうする
    ("身幅で生きる")ことしか知らないと言った方がいい
    のかもしれない。

    逃げることなく、面と向かう。ただこれだけのことに凄み
    すら感じてしまう。

    苦くてざらついた小説。読み応え十分。

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    2018年11月18日
  • 狂人日記

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     小説を読んでいて「これ、俺のことじゃないか?」と思えることってあると思う。
     ちょっとおかしな人だったら「断りもなく俺のことを書きやがって」と著者にクレームを入れる、なんてこともあるだろう(実際にあった訳だし)。
     僕はそこまで頭がおかしく……って書くとまずければ……純情無垢じゃないから、そんなことはしないけれど、読んでいる間「これ、この狂人、俺にそっくりだよな」とずっと思っていた。
     生き方が似ている、というか、他人への接し方、外の世界への接し方、社会との折り合いのつけ方、要するに己自身への接し方、それらがまるで自分を客観的に見ているように描かれている。
     そりゃそうだよ、こんな生

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    2018年01月06日